Linuxカーネル性能評価・故障解析ツール「LKST」
を機能拡充、オープンソースとして公開
オープンソースソフトウェア・プロフェッショナル
・サポートサービスを強化
NTTコムウェア
NTTコムウェアは、オープンソースソフトウェア(OSS)のLinuxカーネル性能分析・故障解析ツールとして定評のある「LKST(Linux Kernel State Tracer)」(*1)の機能拡充を実施し、さらに可視化ツール「LKSTView」を新たに開発してソースコードを公開した。これらの機能拡充により性能分析や故障解析の時間が大幅に短縮される。
開発の背景
NTTコムウェアではLKSTを使用し、商用システムの開発・保守サポートとしてLinuxカーネルの故障解析「オープンソースソフトウェア・プロフェッショナル・サポートサービス」を実施している。この実績から、さらに故障解析の時間短縮を実現するため、LKSTにカーネルのメモリ関連情報の取得機能を盛り込む必要性や利用者の解析データのビジュアル化に対するニーズをいち早く認識し、開発に着手した。
LKSTは、2002年に日本の4社協業(IBM、NEC、富士通、日立)の成果の一つとして公開されたツールで、その後、2004年~2005年にかけて、「独立行政法人 情報処理推進機構(IPA、理事長:藤原武平太)」(*2)が、日本OSS推進フォーラム(代表幹事:桑原洋)の開発基盤ワーキンググループと連携して実施した「OSS性能・信頼性評価/障害解析ツール開発」プロジェクトで機能拡充され、OSSに関わるベンダ、SIer、エンドユーザなどで広く使用されている。
機能拡充、開発概要
■LKST:
カーネルのページ情報詳細の取得/分析機能を追加
(ページ状態遷移のトレース、ページキャッシュヒット率やカーネル先読み機能の有効性、ページキャッシュ検索時間の確認などが可能)
■LKSTView:
データを可視化し、ブラウザ上でグラフ表示、データ管理が可能
ページ確保/開放の動きやページキャッシュの検索時間等、詳細情報の分析が可能となる。また同時に公開したLKSTViewを用いることで、グラフ作成の最適化や、ブラウザ上でのグラフ表示、データ管理が可能となり、故障解析時間の大幅な短縮が実現される。既に、オープンソースソフトウェア・プロフェッショナル・サポートサービスの基本ツールとして10件を超える案件に適用し、50%以上の時間短縮(例:ファイルシステムの入出力高負荷時の性能劣化問題の特定時間を15時間から6時間に短縮)の効果を確認している。
なお開発にあたっては、VA Linux Systems Japan株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役:上田哲也)との技術交流を行っており、今後も連携して機能改善、サポートを実施予定だ。
ソースコードの公開
下記サイトにて公開中。
http://sourceforge.net/projects/lkst/
【用語解説】
- *1:LKST(Linux Kernel State Tracer)
- カーネルの状態遷移情報を記録するイベントトレーサ。プロセスコンテキストスイッチ、シグナル送信、割り込み、メモリアロケーション、パケット送信など、様々なイベントでカーネル情報を採取し分析できる。
- *2:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
- 経済産業省所轄の独立行政法人として、ソフトウェアや情報処理システムの発展及びIT人材育成を支える活動を展開している。また日本OSS推進フォーラムの事務局を担当しており、同フォーラムと連携して事業を実施している。
URL:http://www.ipa.go.jp/software/open/forum/
「OSS性能・信頼性評価/障害解析ツール開発」事業のURL:
http://www.ipa.go.jp/software/open/forum/development/index.html