三重県熊野市、宮城県南三陸町の２自治体と、NTTデータ、NTT東日本、NTT西日本の3社は、メールを活用した防災情報伝達システムの有効性についての実地検証（フィールドトライアル）を、平成18年6月6日より開始した。

防災情報は、全ての人に確実に、正確に伝える必要がある。本トライアルでは、最適な情報提供の内容やタイミング、配信対象のグルーピングなどの全体的な管理・運用面の検証や、携帯端末を利用した情報収集の簡便性の評価などを行う。また、一般のメールサービスとは独立した専用ネットワークから防災情報の配信を行うことで、災害発生時でも一般メールのアクセス集中に伴うメール配信遅延などの影響を受けることなく、確実・迅速に防災情報を提供する方式についての検証も行う。

背景

防災への取組みの中でも、災害発生時におけるタイムリーな災害情報の提供など、住民に向けた各種防災情報の伝達方法の検討は、大きな課題の一つとなっている。

災害発生時の住民への緊急の情報提供手段としては、従来から利用されている防災行政無線などに加えて、メールを利用した情報提供手段が注目されつつある。しかし、災害などの緊急時には一般メール配信網の通信量が一時的に増大することで、メール配信遅延などが発生するおそれがあり、より確実な情報伝達の仕組みが求められている。こうした状況を背景に、三重県熊野市、宮城県南三陸町と、NTTデータ、NTT東日本、NTT西日本の各社は共同して、住民に向けた有効な防災情報の提供に向けた防災情報一斉提供システムの実地検証を行うこととした。

トライアルの概要

本トライアルでは、トライアル参加者へメール配信を行う。参加者は、受信したメールから特定のURLへアクセスし、さらに詳細な情報の取得や安否情報の登録、質問項目への簡単な回答などを行うことができる。

本トライアルに用いる防災情報伝達システムでは、東京に検証用センターを設置。管理者である自治体 は、検証用センターにインターネットを経由して接続し、トライアル参加者へのメール配信状況や応答状況を確認することができる。

以下に、実施内容の例を示す。

• 防災に役立つ一口知識を週に数回メール配信
• 防災行政無線で放送している市民への連絡事項をメール配信
• 避難誘導等を喚起するためのメールを検証期間中に数パターン配信
• 防災訓練のシナリオに沿って、危機感を訴えかけるメールを配信

これらを実施することによって、(1)確実、正確な情報伝達のための管理・運用面等の課題抽出、(2)本トライアルに用いるシステムの機能性、参加者の操作性等の課題抽出、(3)本トライアルに関する住民の意識調査について検証する。

検証期間は平成18年6月6日～9月1日までの3ヵ月間で、三重県熊野市、宮城県南三陸町の住民、職員などが参加して実施される。

実施にあたっては、NTTデータがシステムの構築・運用、検証全体の企画、立案、運営支援、アンケート調査等による評価の実施を行い、NTT東日本、NTT西日本が避難誘導に関わるシステムの開発項目及び有効性検証を担当。トライアル終了時に、運用性、操作性、システム技術性などの評価を行い、その結果を踏まえ、三重県熊野市、および宮城県南三陸町では、さらなる住民の安心安全を確保するために、引き続き防災情報の確実な伝達手段を検討していくとしている。なお、NTTデータでは、今後さらに検証を重ね、システムの製品化を目指していく方針であるという。