3D映像を実際に触感できる「Tangible-3D技術」を開発
-リアルタイムに、“ふれた感覚”を実感できる実写3D映像の配信を実現-NTTコムウェア
NTTコムウェア株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:今井 郁次、以下 NTTコムウェア)は、リアルタイムの実写3D映像を触ることができる次世代のコミュニケーションインターフェース、「Tangible-3D技術」を開発した。
この技術はNTTコムウェアが2005年に開発した、裸眼で3D映像を体験できるシステムを基に研究開発をしたものだ。
概要
NTTコムウェアでは既に、カメラ2台を使って撮影した実写映像を、リアルタイムに3D合成して配信するシステムを開発しており、「Tangible-3D技術」はその技術を拡張したもの。撮影した映像を画像処理し、ソフトウェアで被写体の触感情報をリアルタイムに配信する処理を実現した、世界でも最先端の技術。配信された3D映像は専用の眼鏡を必要としない3Dディスプレイ(*1)で表示させることができ、同時に配信された触感情報は専用の触感デバイス(*2)で再現することができる。
図1 「Tangible-3D技術」握手体験のイメージ
この技術によって、遠隔地の実写映像を3D映像として立体知覚すると同時に、専用装置により実際に被写体にふれた感覚を実感できる、という新しい体験が可能となる。
例えば、この3D映像と触感情報の同時知覚により、受信側がリアルタイムに擬似的な握手体験をすることが可能だ。
まずカメラ2台を使って発信側の手の映像を撮影。この映像は3D映像合成および触感情報の抽出が行われ、リアルタイムに受信側に配信される。配信された発信側の手の映像は、眼鏡を必要としない3Dディスプレイ上で、3D映像として表示。同時に、発信側の手の触感情報は触感デバイスを通じて受信側の手へ伝えられ、“手を握る”“手を合わせる”といった触感が体感できる。
今回のモデルでは、映像から腕の姿勢、位置、手の動きなどを触感情報として抽出し、手の位置や大きさ、移動することで発生する応力、手の硬さなどを再現するしくみとなっている。
- ①カメラ2台を使って発信側の手を撮影
- ②映像処理により、3D映像合成および触感情報抽出を行い、リアルタイムに配信
- ③配信された“発信側の手”の3D映像を3Dディスプレイに表示
- ④同時に配信された“発信側の手”の触感情報を触感デバイスで再現
- ⑤3D映像と触感情報の同時知覚により、受信側は擬似的に握手を体験可能
今後の展開
現段階では送信側と受信側が1対1の構成で実証実験を行っているが、今後は1対多の構成、双方向の構成を実現するための検討および実証実験を進める予定だ。また、専用のモニターで、3D映像を体験するために、現状では視聴位置が1点に限定されているが、今後は様々な位置からの視聴を可能にするための技術についても研究を進めていく。
今後の発展利用イメージ
本技術により、今後以下のような新しいネットワーク上のサービスやコンテンツを提供することが可能になると考えている。
(1)Tangible-3D博物館
博物館等に本技術を適用すると、化石等の展示物について立体視しながら触感を得ることができる。また、触感側のクライアント数を増やすことで、同時に複数のユーザーがひとつの展示物を見てふれることも可能となる。
(2)Tangible-3D遠隔教室
陶芸等の遠隔教室に本技術を適用すると、教師が製作の解説をしながら生徒に作品を立体的に見せると同時に、形状などの直感的な情報を触感として伝えることができる。これにより、従来は遠隔教室では実施できなかった分野にも遠隔教室システムを適用することが可能に。
(3)Tangible-3Dテレビ電話
テレビ電話に本技術を双方向にして適用すると、立体テレビ電話で会話をしながら握手をしたり、手元にある物体を相手に触ってもらったりすることもできるようになる。
これにより、今までよりも高度かつ直感的なコミュニケーション手段の実現が可能となる。
【用語解説】
- *1:3Dディスプレイ
- 従来のディスプレイのように映像を2次元平面のみで表示するのではなく、さらに奥行き方向を付加して立体的な表示を可能にしたもの。
- *2:触感デバイス(※本技術の実証実験で使用した触感デバイスは図を参照
- 人間が物体に触れた際の触覚や力覚等の触感情報を、モーター等の制御によって人工的に表現する装置。触感デバイスの種類により再現できる触覚の種類やレベルは異なる。今回の技術では、手に取り付けたワイヤーと金属アームを利用した装置がそれにあたり、物体の大きさや形、硬さを再現することが可能。主に、医療やアミューズメント分野で利用されている。
NEWS(2007年8月)
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