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ICTソリューション総合誌 月刊ビジネスコミュニケーション

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NTTが独自に開発した映像配信客観品質評価技術が、世界的な性能評価コンテストを経て国際標準規格に採用

NTT

日本電信電話(NTT)がITU-T SG9に標準化提案していた映像配信サービスの客観品質評価技術が、世界的な性能評価コンテストを経て国際標準に採用され、ITU-T勧告J.247として正式に発効された。本技術は、NTTのサービスインテグレーション基盤研究所が、IPベースの映像配信サービスの「ユーザ体感品質(QoE:Quality of Experience)」を客観的に推定する評価技術として開発したもの。映像配信サービスにおける客観的な品質確認・監視を可能とするものであり、 映像配信サービスの健全な発展に寄与するものとして期待される。

パソコンや携帯電話のユーザー向けの映像配信サービスが急速に普及している。このような新サービスを適切な品質で提供するためには、映像配信サービスの品質(QoE)を的確に捉えることのできる品質評価技術が必須である。ところがこれまで、映像配信サービスに用いられる多様な符号化方式・ビットレートによる符号化劣化や、IPネットワーク特有の劣化であるパケット損失による劣化映像の評価技術が存在しなかった。こうした中、NTT研究所では、その主観品質評価設備・ノウハウを最大限活用して構築した膨大な品質データベースに基づいて、人間の知覚特性を考慮した、符号化及びパケット損失による劣化に対する「劣化量推定モデル」を確立し、それに基づいて実際の映像を分析することによってQoEを推定し、視聴者の視点に近い感覚で客観的に映像品質を評価する技術を開発した。

この評価技術をITU-Tに標準化提案し、ITU-Tにおける足かけ5年にわたる世界的な性能評価コンテストを経て、ノミネートされた9機関の提案のうちNTT方式を含む4方式が、2008年8月13日に正式な勧告J.247として承認され、2008年8月22日に公開された(http://www.itu.int/rec/T-REC-J.247/en)。

技術のポイントと採用のメリット

このたび国際標準となった技術は、映像の画素情報を比較することで品質を定量化する、いわゆるフルレファレンス型客観品質評価技術であり、①基準/劣化映像の時空間整合処理、②符号化による劣化量推定モデル、③パケット損失による劣化量推定モデルの手順を経て重み付け加算を行うことで映像品質推定値を算出し、画質劣化が主観品質に与える影響を推定する(図参照)。

映像品質客観評価モデル
映像品質客観評価モデル

サービス提供中のQoEの監視・管理は「インサービス品質管理」と呼ばれ、メディア品質評価技術の重要なアプリケーションの1つとされている。国際標準として承認された本技術を採用することで、以下のようなメリットが期待できる。

①ユーザーからのクレームに対して迅速な切り分け・対処を行うことで、CSを向上できる。

②ユーザーが体験している品質を“視聴者”の感覚で監視することで、品質劣化によるユーザーへの影響の拡がりを軽減できる。

③現時点では目視で行っている「配信前コンテンツの品質チェック」を自動化することにより、サービス提供者の人件費を削減できる。

お問い合わせ先

日本電信電話株式会社
情報流通基盤総合研究所
企画部広報担当
TEL:0422-59-3663
E-mail:islg-koho@lab.ntt.co.jp

NEWS(2008年10月)

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