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ICTソリューション総合誌 月刊ビジネスコミュニケーション

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大幅な低電力化が可能な光電子融合型光パケットルータを開発

~光信号と電気信号の利点を活かした新型ルータ~

NTT先端技術総合研究所

NTTは、将来の高速大容量光パケットスイッチネットワークを目指し、消費電力ならびに遅延を大幅に低減させる、光の高速性と電気の機能性を融合した光電子融合型光パケットルータ技術を確立し、同技術を用いて作製したプロトタイプにより消費電力の低減、及び信号変換に伴うデータの遅延の大幅な低減を実証した。

今回作製したプロトタイプは、今までにNTTのフォトニクス研究所(以下、NTT研究所)が開発した様々な光デバイス技術を集積して光ラベル処理器、波長ルーティング型光スイッチ、光電子融合型共有バッファを実現しており、光信号のもつ高速大容量、低遅延性と電気信号のもつQoSサービスやマルチキャストなどの高機能性を効果的に融合した特徴をもっている。これにより、現在の電気ルータでは全ての光パケットを電気に変換して処理する必要があるのに対して、本技術では光電気変換を最小限に削減できるため、 将来的に消費電力(1/10)ならびに遅延(1/100)を大幅に低減できる可能性があり、将来の高速大容量光パケットスイッチネットワークの実現に大きく前進することが期待される。

開発成果のポイント

光電子融合型光パケットルータは、それぞれ4つの入出力ポート(1ポートあたり4波長)を持ち、光パケットのラベル部分を電気信号に変換して書き換える光ラベル処理器、光パケットのまま波長変換技術を用いて出力ポートを制御する波長ルーティング型光スイッチ、高速な光信号を電気の並列信号に変換し電子メモリで処理する光電子融合型共有バッファで構成されている。

今回、非同期任意長の10Gbpsバースト光パケットに対する8×8のスイッチング動作を実証した(フル実装時には16×16のスイッチングを実現することが可能)。

①光ラベル処理部

光ラベル処理部では、NTT研究所が独自に開発した光クロックトランジスタアレイ(OCTA:Optically Clocked Transistor Array)と呼ばれる、クロック再生機能・シリアル信号からパラレル信号への変換機能・パラレル信号からシリアル信号への変換機能を1チップの光電子回路で実現したデバイスを用い、極めて高速かつ低消費電力にラベル処理を行うことを実現している。

②光スイッチ部

光スイッチ部では、NTT研究所が独自開発した二重リング共振器型波長可変レーザとAWGを用いて波長ルーティング型光スイッチを実現した。これにより、小さな駆動電流で高速な波長スイッチングと小さな波長ドリフトを実現した。

③共有バッファ部

共有バッファでは、NTT研究所が開発した全光シリアル-パラレル変換器で、光パケットを電子回路に書き込みできるレベルまで低速な並列信号に変換する。また、衝突回避のための「バッファリング機能」をはじめ、波長レイヤ間をスイッチする「波長変換機能」、パケットを複製する「マルチキャスト機能」、「QoSサービス」、TTL(Time To Live)カウントを用いた「3R再生機能」などの高度な機能を持つことができる。

本ルータは、アルカテル・ルーセントのベル研究所と、昨年5月に締結した共同実験契約に基づき、相互接続のためのインタフェース仕様が設計されており、今後、動作検証のため相互接続実験を進める予定である。また、NTT研究所が開発している個々の光デバイス及びサブシステム技術では、40Gbps以上の動作実証がすでに得られており、デバイスの更なる高速化・低消費電力化を進めるとともに、光パケットルータシステムの高性能化の研究開発をさらに進展させ、超大容量光パケットスイッチネットワークの実現を目指している。

お問い合わせ先

NTT先端技術総合研究所
(NTTフォトニクス研究所)
企画部 広報担当
TEL:046-240-5157
URL:http://www.ntt.co.jp/sclab/contact.html

NEWS(2009年10月)

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