NECは、次世代の移動通信規格LTE（Long Term Evolution）で導入が予定されており、自律的にネットワークを最適化する機能として期待されるSON（Self Organizing Network）を、世界で初めて３次元で検証するシミュレータを開発した。また本シミュレータを用いて、横浜市中心部（6km2）を例に、仮想的に設置した25基地局において、NECが開発中のLTE SONのシステム特性を評価した。その結果、基地局間のハンドオーバに必要な情報が自動的に最適化され、通信の遮断が防止されることを確認した。加えて、時間帯に応じた基地局の自律的なスリープ制御により、通信品質の劣化なく省電力化が達成できることも検証した。

SONは、運用中の基地局や端末から、無線信号の受信レベルやデータ転送速度などのネットワーク品質の測定データを適宜収集・分析し、自律的に基地局の送信電力などの設定を変更できる機能である。これにより、移動通信事業者は測定器を用いた電波状況の測定などの現地調査の頻度が大幅に削減でき、ネットワーク品質が向上することが期待されている。

今回NECが開発した「LTE SON用３次元シミュレータ」は、LTEのシステム性能を、３次元の電波伝搬特性を考慮して算出する評価基盤であり、高層ビルなど立体的な建物等がある都市環境においてSONの有効性を検証できるものである。