株式会社NTTデータ
第一金融事業本部
カード＆ペイメント事業部長
坪谷 哲郎氏

カード決済ビジネスを取り巻く環境の変化として、2009年12月の「割賦販売法」の改正や、2010年の「資金決済法」、「貸金業法（総量規制）」の改正などが挙げられます。

資金決済法の改正により、為替業務が銀行以外にも開放され、国内外の送金事業者が送金サービスの提供を始めようとしています。当社としては、この改正に対応したビジネス展開も視野に入れております。

一方で、貸金業法の改正、総量規制によるキャッシング取引の減少や、改正割賦販売法の返済可能見込額調査義務によるショッピング取引への影響が懸念されます。現在、国内のショッピング市場は飽和状態であり、今後の大きな成長は期待できません。また、カード決済が始まった当初は、加盟店様には売上増に繋がるツールとしてご利用いただいていましたが、現在はカード利用が当たり前の時代となっています。

こうしたビジネス環境の中、競合他社との差異化を図り、当社の優位性を打ち出すため、カード決済に必要な機能をワンストップで提供する総合ASPサービス「PastelPort®」による初期コスト、ランニングコストの削減や、「非接触IC決済」、「モバイルレジ®」、「ネット口座振替受付ゲートウェイサービス」等のサービスにて、多様化する決済手段への対応も行っています。

昨年25周年を迎えたカード決済総合ネットワークシステム「CAFIS®」は、お陰様で月間トランザクションが3億件を越える国内最大の決済インフラとして成長し、24時間365日便利で安心なサービスを提供し続けております。

また、同じく国内最大の共同利用型 決済端末向け情報処理センタ「INFOX-NET®」も10周年を機に昨年、「INFOX ®」ロゴの変更、緑化支援活動を実施しました。「売上集計関連サービス」や「INFOX－NET LAN接続」などのサービスも多くのお客様にご導入いただいております。

「CAFIS」、「INFOX」、「PastelPort」だけでなく、インターネット電子取引（EC）を行うネットショップ様向けの決済代行サービス「BlueGate®」、加盟店様とクレジットカード会社様をオンラインで接続し大量のデータ送受信を行うクレジットデータ伝送システム「CDS®」も国際ブランドが推奨するセキュリティ対策基準「PCI DSS」に完全準拠しておりますので、セキュリティや信頼性の高いソリューションとしてお客様にご好評を頂いております。

事業領域の拡大として注目されているグローバル化については、海外ネットワークとの接続取組みを推進しており、2006年の中国銀聯センターとの「CAFIS」接続に次ぎ、2010年1月に台湾FISCとの接続サービスを開始しました。その国独自の決済手段をそのまま日本国内で利用できるよう今後、他アジアの国々へも展開していきます。また海外拠点も活用し、将来的には海外のローカルビジネスへも取り組んでいきたいと考えます。

当社ではこれからも、お客様に安心してご利用いただける信頼性の高い先進決済サービスを提供し、社会インフラの一環を担っているという誇りをもって事業を推進して参ります。