次世代光通信技術を日米間海底ケーブル「PC-1」へ商用導入決定
~PC-1の通信容量を最大10Tbpsへ拡張~NTTコミュニケーションズ
NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)は、太平洋横断ルートにおける次世代光通信技術「デジタルコヒーレント」(*1)を用いた100Gbps光通信実証実験に世界で初めて成功したことを受け、本技術をNTT Comグループが保有する日米間海底ケーブルシステム「PC-1」に商用ベースで適用できることを確認し、2013年半ばを目途に導入することを決定した。これにより、PC-1の設計通信容量を現行の3.2Tbpsより、約3倍の最大約10Tbpsまで引き上げることになった。
PC-1の通信容量拡大について
昨今のクラウドコンピューティングやスマートフォン・タブレット型端末の利用者増加、アクセス回線のブロードバンド化の浸透による音楽・動画配信、SNS・ミニブログ等のインターネットサービスの利用増加などにより、世界的なデータ通信需要が爆発的に伸びている。
PC-1は日米間を最小遅延で結ぶ海底ケーブルであり、東日本大震災時にも日米間の通信を支えるルートとして活躍し、NTT Comの主力通信サービスである「グローバルIPネットワークサービス」や「Arcstar Universal One」、グローバルに展開する各種クラウドサービスを提供する上での主要海底ケーブルである。
2011年10月に行った実証実験では、日米間約9,500kmでのデジタルコヒーレント技術を用いた100Gbps光通信に世界で初めて成功した。光の特性上、太平洋を横断するほどの長距離で100Gbps高速通信を安定的に実現するのは困難と言われていたが、PC-1は、中継器の間隔調整や光学特性を考慮した光ファイバーの配置など、ネットワーク設計が工夫されていることから、本技術を商用導入し、通信帯域を大幅に拡大する目途を立てることができた。
PC-1の特性について
光ファイバーにおいて実際に提供できる帯域幅は主に、①波長分割多重により1ファイバーに多重できる信号の数と、②その信号自体が伝送可能な帯域、によって決まる。信号の数を増やすには、伝送中に累積する光雑音による信号対雑音比(SN比)の低下や、非線形効果による信号品質の劣化を抑えることが必要。
PC-1は光学特性を考慮した設計(中継器の間隔や光ファイバーの配置など)となっており、SN比の低下と非線形効果による信号品質の劣化を極力抑えることを可能とし、大幅な帯域増加を実現可能としている。
図1 PC-1の特性(クリックで拡大)
NTT Comは、今後もPC-1に最先端技術を積極的に取り入れ、増え続けるトラフィックを世界中に高速かつ安定的に配信できるネットワークを提供できるよう引き続き努めていく。
*1 デジタルコヒーレント技術:偏波多重や位相変調などの変調方式により周波数利用効率を向上させるとともに、コヒーレント受信とデジタル信号処理を組み合わせることで大幅な受信感度向上を実現する次世代伝送方式のこと。
お問い合わせ先
NTTコミュニケーションズ株式会社サービス基盤部
TEL:03-6700-7512
NEWS(2011年12月)
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