NTTグループのソリューションガイド

ICTソリューション総合誌 月刊ビジネスコミュニケーション

ビジネスコミュニケーション

100km圏級広域光アクセスにおける仮想ネットワーク構築の実証実験に成功

~デジタルデバイド地域のユーザーでも低価格で超高速ブロードバンドが利用できる技術を開発~

OKI

OKIは、この度「適応ネットワーク構成技術」を開発し、既存のGE-PONシステムと次期大容量光アクセスの10G-EPONシステムの経路切替実験に成功した。この実験により、局装置(OLT)とユーザー装置(ONU)の接続を仮想化することで、100km圏級のユーザーが低価格で超高速のブロードバンドを利用でき、多様なサービスにも柔軟に対応できる光アクセスシステムが実現できることを実証した。


近年、光アクセス系システムにおいてはFTTHの導入が急速に進んできた。しかし、既存のGE-PONシステムによる光ネットワークではサービス提供エリアが20km圏級にとどまり、サービスエリアの広域化には多くの交換局設置に係わる投資が必要で、過疎地域を含む不採算地域などでは「デジタルデバイド」が生じ、デジタルデバイド地域のユーザーは超高速ブロードバンドサービスを受けることが困難な状況になっていた。また、ブロードバンド利用者が今後増大する多様なサービスをストレスなく受けられるためには、伝送容量等の変化に柔軟に対応できる高い適応性も加入者系の光ネットワークに求められていた。

OKIは、これらの課題を解決するため、局装置(OLT)とユーザー装置(ONU)の接続を仮想化することにより、新規に交換局を設置することなく広域なサービスエリアに対応できる「適応ネットワーク構成技術」の確立を目指し、2009年から、独立行政法人情報通信研究機構(NICT)より受託した委託研究「広域加入者系光ネットワーク技術の研究開発」として取り組んできた。そして、日本電信電話(NTT)の協力により、北海道札幌、恵庭、千歳の各NTT東日本ビルを光ファイバで結び、総伝送距離100km級の広域加入者系光ネットワークを模擬したテストベッドを構築して実証実験を行った結果、柔軟な光アクセスシステムが実現できることを実証した。


今回、OKIが開発した「適応ネットワーク構成技術」には、局装置(OLT)とユーザー装置(ONU)の接続を柔軟にする、OKI独自開発の光ハイブリッドフィルター(OHF)技術と適応ネットワーキング技術が組み込まれている。OHFは、これまでメトロ・コアネットワークで利用されていた波長分割多重(WDM)に加え、光符号分割多重(OCDM)を組み合わせることで160chの多重信号からのAdd/Dropが可能となる多重数拡大技術を実現し、これまでの波長フィルターより透過損失の低いフィルターを実現した。また、適応ネットワーキングは、これまでパワースプリッターで分岐していたPONシステムを集中制御ノードとパッシブなOHFを用いてリングやカスケード状に接続してネットワークインフラを構成する。この構成により分岐による損失を低減する広域化技術を実現し、集中制御ノードによりWDMおよびOCDMのチャネル割当を制御することで、OLTとONUの接続を物理接続によらず論理的なスター状となる仮想化技術を実現した。

本実験では、WDMとOCDMのハイブリッド光信号の伝送、パッシブなルーティングによる既存GE-PONシステムにおける線路障害の面的な冗長切替え、および既存GE-PONから10G-EPONへのサービス切替えを、他ユーザーに障害なく実現できることを確認した。

今後OKIでは、さらなる効率化のためにマルチチャネル帯域制御技術やOLT駆動制御技術などを開発し、今回開発した適応ネットワーク構成技術と組み合わせることにより仮想化アクセスシステム技術を確立して、仮想PONシステムの早期実用化に取り込んでいく予定だ。

お問い合わせ先

●OKI 研究開発センタ
TEL:048-431-5480

NEWS(2012年4月)

ニュース

NTTグループ関連

SIer・ベンダ


会社概要 NTT ソリューション 広告募集 ページ先頭へ
Copyright:(C) 2000-2017 BUSINESS COMMUNICATION All Rights Reserved. ※本サイトの掲載記事、コンテンツ等の無断転載を禁じます。