世界中で、IPの柔軟性と光ファイバやワイヤレスブロードバンドの高速性を生かしたFMCや動画配信などの多様で高度なサービスを実現する次世代ネットワーク化の動きが加速している。NGN の構築は、これまで別々に設備を持っていた固定電話網、携帯電話網、インターネットを統合して通信設備コストの大幅な削減を図るととともに、現在のインターネットで広く利用されているベストエフォートによるEメールやWebに加え、利用者の移動性(モビリティ)も加味した電話、映像などのサービスや、QoS(通信品質)やセキュリティを確保し、安心・安全に利用できることを大きな狙いとしている。NTTは2005年11月にNGNのロードマップを公表、本年7月には12月から開始するフィールドトライアルの参加者募集とインタフェースの公開を行った。NTTではこのフィールドトライアルの結果を踏まえて、2007年下期には商用サービスを開始し、2010年には3000万ユーザーの獲得を目標にしている。
12月のフィールドトライアル開始を間近に控えた10月、NGNをグローバルな視点から読み解くことを狙いにNGN技術のキーワード、世界の通信キャリアの取り組み、国際標準化の動向などを解説した書籍が刊行された。
本書は、次世代ネットワークの最新標準化動向をやさしく解説するとともに、安心・安全、電話網マイグレーション、FMC、IPTV、IMS、SIP、Megaco、IPv4/IPv6、光ネットワーク技術を平易に解説。日本を含む各国通信キャリアの最新の取り組みや相互接続に向けた取り組みなど、NGN実現に向けた動向も解説している。ネットワーク関連の仕事に携わる方々のみならず、NGNに興味のある方々、これからNGN関連の業務に携わる方々にとって最適な書である。NGNに関連する用語や基本的な仕組みを調べるための実務書としても、お手許におくことをお勧めしたい。
(2006年12月号)