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ICTソリューション総合誌 月刊ビジネスコミュニケーション

ビジネスコミュニケーション
営業人材の育成戦略

第3回:商品タイプ別の人材育成

-購買の意思決定メカニズムが重要-

前回は人材育成の観点から、製品ライフサイクルの各段階において営業人材に求められるケイパビリティについて紹介した。今回では、育成戦略に大きな影響を与えるもう一つの観点、すなわち商品のポジショニング/性質について言及し、それぞれの商品タイプに応じてどのような育成方針を採るべきかについて弊社の考え方を述べたい。

商品/サービスのタイプ分類

理想的な営業人材に求められるケイパビリティは多岐にわたる。顧客との信頼関係を築き、顧客のニーズを顧客以上に理解し、時には顧客を教育しながら最適な提案をし、時には短時間の説明で顧客に「買いたい」と思わせなければならない。また、他社のサービスと比較した場合の自社の優位性を説明できなければならないし、これらの前提となる業界知識も必要だ。しかし、営業担当者にこれらのケイパビリティを全方位的に身につけてもらうには、時間もコストも掛かりすぎる。従って、どういったケイパビリティを重点的に育成していくのか優先順位を付けるべきだ。もちろん製品ライフサイクルの考え方は、ケイパビリティの優先順位を決定するのに有効であるが、売るべき商品/サービスのタイプによって想定される購買の意思決定のメカニズムの違いにも留意する必要がある。このような観点から、弊社で考える商品/サービスのタイプ分類の考え方、およびそれぞれのタイプで特に重要となる営業担当者のケイパビリティを図1に示した。

図1 営業人材に求められる重要ケイバビリティ(商品タイプ別)
図1 営業人材に求められる重要ケイバビリティ(商品タイプ別)

(1)価値売り切り-スペック重点型

「価値売り切り-スペック重点型」の商品における購買の意思決定メカニズムは比較的単純だ。商品の必要性とお得感が伝われば、顧客は購入の意思決定を下す。ポイントは“短時間で簡潔に”伝える事だ。時間をかけて仔細に説明することは、顧客が求めていないため、むしろ購買意欲を削いでしまう。必要性とお得感を短時間で簡潔に伝えるケイパビリティを育成するには、販売シナリオを作成し、徹底的にそれを演じさせるように仕向けるのが有効だろう。実演販売やテレビショッピングは、この典型だ。このタイプの商品としては、家庭用品や消費財などが挙げられるだろう。

(2)価値売り切り-サービス重点型

「価値売り切り-サービス重点型」の商品を買う顧客の意思決定に影響を及ぼすのは、商品の機能や性能、品質そのものではなく、その商品を購買、所有、利用することで得られる優越感や満足感である。従って、営業担当者には、購買時において顧客の満足感、優越感を高めるケイパビリティが重要だ。そのためには、顧客に“歓迎している、大切にしている”ことを言葉と態度の両方で伝える必要がある。自社の 商品の“販売”には直接関係のない顧客の話にも応じる必要があるだろう。但し、こういった商品は営業担当者が顧客に向き合う前、すなわち企業のマーケティング戦略/戦術で大方の勝負がついている事にも留意したい。ブランドイメージや店舗の内装などがそれにあたる。営業担当者には、これら企業が発するメッセージと整合のとれた振る舞いが求められる。このタイプの商品としては、高級ブランド品、宝飾品などが挙げられる。

(3)関係継続-スペック重点型

「関係継続-スペック重点型」の商品は継続してその商品の機能等を購入することが前提となっている。そのため、顧客は商品購入に当たって慎重であり、自分のニーズにあっているかどうかチェックするために他社商品との比較検討を行うことが多い。顧客の関心は、価格の場合もあるし、機能やアフターサポートの場合もあり様々であるため、営業担当者には、まずそれを見抜くケイパビリティが求められる。その上で、自社の優位性を示せれば、顧客の購買の意思決定を後押しできる。これらのケイパビリティを育成するには、ニーズを把握するための適切な質問から、他社比較、自社優位性のアピールまでの一連の流れを体系的なスクリプトに落とし込み、営業担当者にその基本パターンを叩き込んでもらうことが有効だ。

また、このタイプの商品に関しては顧客が現状の問題点に気づいていない場合も多い。このような場合は、商談に入る前に顧客の気を引くためのきっかけ作り、すなわち、現状をクイックに診断し課題を指摘できるケイパビリティが重要となる。個人の才能に委ねられがちなこのケイパビリティを育成するには、顧客がどういう商品を使っていればどういう課題を抱えているかをパターン化し、現場で活用できるきっかけ作りのツールを提供するのが有効といえるだろう。このタイプの商品としては、FTTHや法人向けの簡易ソリューションなどが挙げられる。

(4)関係継続-サービス重点型

「関係継続-サービス重点型」の商品を購入する顧客は、購入後に期待した満足感が得られるかどうかに関心がある。一方、商品の性質上、購入前にそれがわかることは稀であり、顧客は本質的に判断に足る十分な情報がないままに購買の意思決定を下さざるを得ない状況にある。従って、営業担当者が顧客と信頼関係を構築できるかどうかが何よりも重要であるといえる。但し、顧客との信頼関係は、誠実さの積み上げによるものであり、一朝一夕に築けるものではない。それを承知の上で、敢えて初対面の相手との信頼関係を築くのに必要なケイパビリティを挙げるとすれば、質問力と課題設定力だろう。まず、顧客の質問や要望にストレートに答えるのではなく、質問や要望の元となっている原因を確認する質問力が重要だ。そうすることで、顧客を理解しようとする真摯な姿勢をアピールできる。しかし、それだけでは不十分だ。それとあわせて、顧客の話を理解したうえで、自社や自分の得意領域の課題を再設定するケイパビリティも重要となる。とはいえ、これらのケイパビリティは簡単に身につくものではない。(2)、(3)で提示したやり方で基礎のケイパビリティを身につけつつ、OJTによる長期的な育成が不可欠だろう。法人向けのソリューション等はこのタイプの商品といえるだろう。

購買の意思決定が育成方針を決める

これまで一貫して述べてきた事は顧客の「購買の意思決定」が重要であり、それが営業人材の育成のあり方を決める、という考え方である。限られた時間、限られたコストの範囲内で、効率的に営業人材を育成していくには、このような観点から育成すべきケイパビリティに優先順位を付け、かつその目的に応じたツールでケイパビリティをサポートすべき、というのが弊社からの提案である。

お問い合わせ先

アクセンチュア株式会社
通信・ハイテク産業本部パートナー
冨永 孝
takashi.tominaga@accenture.com
同マネジャー
小林 洋介
yosuke.kobayashi@accenture.com
アクセンチュア株式会社 通信・ハイテク産業本部パートナー 立花 良範
アクセンチュア株式会社
通信・ハイテク産業本部パートナー
冨永 孝
アクセンチュア株式会社 通信・ハイテク産業本部パートナー 立花 良範
アクセンチュア株式会社
通信・ハイテク産業本部マネジャー
小林 洋介

IT Experss

2012/08/23更新
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