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ICTソリューション総合誌 月刊ビジネスコミュニケーション

ビジネスコミュニケーション
第122回 要求仕様の保証性国立大学法人 名古屋大学 情報連携統括本部 情報戦略室 教授 山本修一郎

国立大学法人 名古屋大学 情報連携統括本部 情報戦略室 教授
(前NTTデータ フェロー システム科学研究所長)山本 修一郎

今回は、自然言語で記述された要求仕様に基づいて、品質特性を保証する方法について紹介する。自然言語による要求仕様の記述法としてUSDMを対象にしよう。保証方法については、本連載でも紹介している保証ケースを用いることにする。

すなわちUSDMで記述された要求仕様に対して、システムが期待される品質を満足していることを確認する方法について考えてみようということである。

USDMによる要求記述

USDM(Universal Specification Description Manner)では、対象ごとに、要求を理由と説明とともに対応付けて記述している。たとえば、話題沸騰ポットでは、次のように記述されている[1]

話題沸騰ポットは電気ポットのことなので、以下では電気ポットということにする。この電気ポットの蓋があり、蓋について2個の要求(pot-220とpot-221)がある。また要求ごとに、なぜ、その要求が必要になるかを「理由」欄で明記する。

さらに、要求ごとに、要求を実現するための「仕様」を対応付けて記述できるようになっている。たとえば、pot-220には、pot-220-11、pot-220-21、pot-220-31という3個の仕様が対応付けられている。

図1 USDMの記述例

図1 USDMの記述例[1](クリックで拡大)

安全性要求の抽出

USDMは、要求と仕様を対応付けて階層的な表形式で記述できるので、要求と仕様の追跡性を容易に管理できるという特徴がある。しかし、USDMで記述された要求仕様について、安全性を確認しようとすると、要求がなぜ必要になるかという目的が、要求の下位項目として記述されているので、要求ごとに調べる必要があり、網羅的に安全性要求を摘出する点で必ずしも効率的であるとはいえない。

そこで、USDM記述に基づいて、要求理由一覧表を作成してみる。要求理由一覧表は、USDM記述に基づいて、対象ごとに、要求と理由だけを抽出した一覧表である。この要求理由一覧表を前述の電気ポット[1]に対して作成した例を下表に示す。ここで、記述を簡略化するため、pot-220などをp220とした。また、p330の対象名は、原文では、「温度制御行為をしない(アイドル)」となっていたが、他の記述のように体言止めになっておらず、統一が取れないだけでなく、わかりにくいので、「温度制御停止行為」とした。

このように、USDMで複数ページにわたって記述された要求と理由を、要求一覧表ではまとめて一覧できるため、わかりやすいという特徴がある。

また理由欄から、安全性についての理由を探すことも簡単にできることがわかる。表1では、安全性についての理由を青で示した。この結果から、安全性に関する要求には、p221、p250、p260、p330、p500という5個の要求があり、それ以外にはないことが分かる。なお、これらの要求の対象は、それぞれ、蓋、解除ボタン、給湯ボタン、温度制御停止行為、エラー検知である。

表1 電気ポットの要求理由一覧表(クリックで拡大)

表1 電気ポットの要求理由一覧表


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第59回以前は要求工学目次をご覧下さい。


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