ICTソリューション総合誌 月刊ビジネスコミュニケーション

ビジネスコミュニケーション
第15回:iスター・フレームワーク
NTTデータ 技術開発本部 副本部長 山本修一郎
NTTデータ 
技術開発本部
副本部長 
山本修一郎

概要

今回はエンタープライズモデリングのための非機能要求分析手法としてiスター・フレームワークを紹介する[1][2]。iスターとはdistributed intentionalityということで、スター(*)が分散を意味している。複数の意図の間の因果関係を分析することがiスター・フレームワークの目的だ。iスター・フレームワークでは、社会的アクタ、ソフトゴール、タスク、資源から組織を構成すると考える。社会的アクタは相互に依存し合いながら、提供される資源を用いてタスクを遂行することによりソフトゴールを実現する。

iスター・フレームワークの構成

表1 iスター・フレームワーク・モデルのノード
表1 iスター・フレームワーク
・モデルのノード

アクタ(関係者)、ゴール、タスク、ソフトゴール(非機能要求)、資源の概念によりシステム要求を定義する。iスター・フレームワークでは、これらをグラフのノードで表現し、相互の依存関係を記述する。表1にこれらのノードに対する図形要素を示した。

ゴールでは判断条件や状態を明確化し、タスクによりゴールの達成手順を定義する。

iスター・フレームワークには、アクタ間の依存関係を分析する戦略依存(Strategic Dependency, SD)モデルと、アクタ内の依存関係を分析してゴールを比較評価するための戦略原理(Strategic Rationale, SR)モデルの2つがある。SDモデルとSRモデルで現状(as-is)の業務とシステム導入後(to-be)の業務を比較分析することにより、ビジネスプロセスの変革に適用できるという特徴がある。

表2 iスター・フレームワークのモデル
表2 iスター・フレームワークのモデル

表2ではSDモデルとSRモデルの用途を比較している。SDモデルでは、アクタ間の依存関係を、ソフトゴール、ゴール、タスク、資源を用いて記述する。SRモデルでは、ゴール間の相互依存関係、目的手段関係、タスク分割関係などを用いて依存関係の具体的な存在理由を説明する。


表3 SDモデルの関係
表3 SDモデルの関係

SDモデルでは、表3に示すように、ソフトゴール、ゴール、タスク、資源に関する4種の依存関係を記述する。これらの依存関係は、3項組み(依存関係を持つアクタ:depender、依存内容:dependum、依存内容を提供するアクタ:dependee)で表現される。たとえば、AはソフトゴールSに関してBに依存している。このとき、依存関係を表すDの方向で、この依存関係の向きを示す。図1に示した例では、自動車保険の契約者は、自動車の修理費用の支払いを保険会社に提供してもらうという因果関係を示している。自動車の所有者:depender、自動車保険の支払い:dependum、保険会社:dependeeということになる。ここで、自動車の所有者、保険会社がアクタで、自動車保険の支払いが資源である。

図1 SDMの依存関係の例
図1 SDMの依存関係の例
表4 SRモデルの関係
表4 SRモデルの関係

SRモデルでは、ゴール間の依存関係をラベルつきの矢印で分析する。ラベルには表4に示すように、+で肯定的な依存関係を示し、-で否定的な依存関係を示すことができる。

以下では、iスター・フレームワークによるビジネス組織に関するゴール分析の例をSDモデルとSRモデルで説明しよう[3]

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