NTTグループのソリューションガイド

ICTソリューション総合誌 月刊ビジネスコミュニケーション

ビジネスコミュニケーション
第18回:ゴール分析 応用編つづき
NTTデータ 技術開発本部 副本部長 山本修一郎
NTTデータ 
技術開発本部
副本部長 
山本修一郎

RPPG-7(電子タグ内に個人情報を記録する場合における情報収集及び利用の制限)

【記述】

電子タグ内に個人情報を記録して取り扱う事業者は、当該事業者が取り扱う個人情報の件数にかかわらず、個人情報を収集または利用する場合は、当該電子タグ内に記録された個人情報に関して、利用目的を本人に通知、または公表するように努める必要がある。

また、当該情報を利用目的以外に利用する場合には、消費者本人の同意を得るよう努める必要がある。

【分析のポイント】

本文には努めるべきことだけが記述されていて、その目的となる記述がないので、親ゴールをRPPG-7のタイトルを見ると情報収集及び利用の制限が目的なのだとわかるだろう。

【ゴール図】

RPPG-7に対するゴール図を図3に示す。親ゴールは「電子タグ内に記録された個人情報に関して情報収集及び利用を制限する」ことである。サブゴールには「利用目的の周知」と「個人情報を利用目的以外に利用する場合消費者本人の同意を得る」こととがある。「利用目的の周知」のサブゴールは「個人情報の利用目的を本人に通知する」と「個人情報の利用目的を公表する」である。

図3 第7(電子タグ内に個人情報を記録する場合における情報収集及び利用の制限)
図3 第7(電子タグ内に個人情報を記録する場合における情報収集及び利用の制限)

RPPG-8(電子タグ内に個人情報を記録する場合における情報の正確性の確保)

【記述】

電子タグ内に個人情報を記録して取り扱う事業者は、当該事業者が取り扱う個人情報の件数にかかわらず、個人情報を記録する場合は、当該電子タグ内に記録された個人情報に関して、次の事項を満たすよう努める必要がある。

  1. 電子タグ内に記録された個人情報を使用する目的と内容に照らし合わせて、正確かつ最新の内容に保つこと。
  2. 消費者の求めに応じて、当該消費者に関係する電子タグ内に記録された情報及び電子タグの識別情報からひも付けされる当該消費者の個人情報を開示し、また当該消費者の求めに応じてこれらの情報の間違いを訂正すること。
  3. 電子タグ内に記録された情報の滅失、き損、改ざん及び漏えいを防止すること。

【分析のポイント】

RPPG-7と同じように本文の中には、個人情報に関して努めるべきことしか記述がないので、やはりタイトルから親ゴールを「電子タグに記録された個人情報の正確性を確保する」として決める。サブゴールは箇条書きになっている3個の条件からそれぞれ探せばよい。たとえば、2番目の条件だと、「消費者の求めに応じること」が必要であり、その内容には「消費者の個人情報を開示する」ことと「情報の間違いを訂正する」ことの2つがある。

【ゴール図】

RPPG-8に対するゴール図を図4に示す。親ゴールは「電子タグ内に記録された個人情報の正確性を確保する」である。サブゴールには「利用目的と内容に照らし合せて正確かつ最新の内容に保つ」「消費者の求めに応じる」「電子タグ内に記録された情報の漏えい、滅失、棄損等を防止する」がある。

図4 第8(電子タグ内に個人情報を記録する場合における情報の正確性の確保)
図4 第8(電子タグ内に個人情報を記録する場合における情報の正確性の確保)

RPPG-9(情報管理者の設置)

【記述】

事業者は、電子タグに関するプライバシー保護に係る情報の適正な管理及び苦情の適切かつ迅速な処理を確保するため、これらに責任を有する情報管理者を設置し、連絡先を公表する必要がある。

【分析のポイント】

この文の前半に、目的が記述されており、後半でその手段が記述されている。つまり目的には、「電子タグに関するプライバシー保護に係る情報の適正な管理」及び「苦情の適切かつ迅速な処理を確保する」という2つがある。また、手段には「これらに責任を有する情報管理者を設置」することと「連絡先を公表する」ことの2つがある。

【ゴール図】

RPPG-9に対するゴール図を図5に示す。親ゴールは「電子タグに関するプライバシー保護に係わる情報を適正に管理する」ことと「電子タグに関するプライバシー保護に係わる苦情の適切かつ迅速な処理を確保する」ことの2つである。サブゴールは「情報管理者を設置する」と「連絡先を公表する」である。図5では、2つの親ゴールごとに各サブゴールへ詳細化している。

図5 第9(情報管理者の設置)
図5 第9(情報管理者の設置)

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