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第99回 保証ケース議論分解パターン国立大学法人 名古屋大学 情報連携統括本部 情報戦略室 教授 山本修一郎

国立大学法人 名古屋大学 情報連携統括本部 情報戦略室 教授
(前NTTデータ フェロー システム科学研究所長)山本 修一郎

本稿では、ブルームフィールドが示した保証ケースに関する7個の議論分解パターンについて紹介する[1]。議論分解パターンを再利用することにより、保証ケースを効率的に作成することが期待できる。

議論分解パターン

議論分解パターンでは、表1に示したように、①解決したい保証ケース作成上の問題、②議論分解パターンが適用される典型的な議論状況、③議論上の問題に対する議論分解パターンによる解決方法、④議論分解パターンの利点と欠点からなる特徴、⑤議論分解パターンを活用して保証ケースを作成するときの留意点や適用事例を記述する。

これらの項目はソフトウェア開発のためのパターン体系を記述するための項目を参考にした[2]

議論分解パターンを用いて、保証ケースを作成する上での分解問題の種類と、それに適用できる保証ケースの種類を対応付けることができるので、保証ケースの分解方針と解決策の再利用が期待できる。

表1 議論分解パターンの構成要素

表1 議論分解パターンの構成要素

基本パターン

表2では、ブルームフィールドが示した保証ケースに関する7個の分解パターン[1]をまとめている。

以下では、これらの議論分解パターンについて解説する。

表2 議論分解のパターン

表2 議論分解のパターン

アーキテクチャ分解パターン

【分解問題】

複雑なシステムに対して保証ケースを作成する必要がある。

【分解状況】

アーキテクチャ分解を適用する場合の前提となる状況は、アーキテクチャが明確化されていることである。

【解決策】コンポーネントをシステム構成に従って複数の下位コンポーネントに分解

対象システムが2つのサブシステムAとBで構成されるとき、図1に示すように、分解することができる。図1では、分解の根拠となるアーキテクチャを示すために、前提として「システム構成の定義」を記述している。またサブシステム間に相互作用がある場合、この相互作用についての主張も記述する。

図1 アーキテクチャ分解の例

図1 アーキテクチャ分解の例(クリックで拡大)

【特性】

(利点)システムのアーキテクチャに従って、保証ケースを自然に作成できる。このため、システムのアーキテクチャと保証ケースとの対応関係の一貫性を確認しやすい。

(欠点)システムのアーキテクチャが定義されていなければ、アーキテクチャ分解パターンを適用できない。

【留意点】

(1)コンポーネント間の相互作用を明らかにする必要がある。

(2)アーキテクチャが満たすべき性質を主張として明確に定義する必要がある。

(3)分解根拠を示す前提ノードを上位の主張ノードに接続するか、戦略ノードに接続するかを決める必要がある。

機能分解パターン

【分解問題】

システムの機能に対して保証ケースを作成する必要がある。

【分解状況】

機能分解を適用する場合の前提となる状況は、システムの機能が明確になっていることである。

【解決策】主張を機能構成に従って分解

対象システムが複数の機能で構成されるとき、機能ごとに下位の主張を作成することにより上位の主張を分解できる。

たとえば、図2に示すように、検索システムが提供する機能に従って分解することができる。図2では、分解の根拠となる機能構成を示すために、前提として「検索システムの機能定義」を記述している。この検索システムの機能には、キーワード入力機能、データ管理機能、キーワード検索機能、検索結果出力機能があることが分かる。

図2 機能分解パターンの例

図2 機能分解パターンの例(クリックで拡大)

【特性】

(利点)システムが提供する機能に従って、保証ケースを自然に作成できる。このため、システムの機能構成と保証ケースとの対応関係の一貫性を確認しやすい。

(欠点)システムが提供する機能構成が定義されていなければ、機能分解パターンを適用できない。

【留意点】

適用する際の注意事項として、次の2点がある。

(1)機能が漏れないように、機能構成の網羅性を確認する必要がある。

(2)機能分解根拠を示す前提ノードを上位の主張ノードに接続するか、戦略ノードに接続するかを決める必要がある。

属性分解パターン

【分解問題】

システムの属性に対して保証ケースを作成する必要がある。

【分解状況】

属性分解を適用する場合の前提となる状況は、確認すべきシステム属性が明確になっていることである。

【解決策】主張を機能構成に従って分解

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