NTTテクノクロス

U-motion® デジタル目勘®

AI と IoT で農業を変える! 牛の行動モニタリング「U-motion®」 豚体重推定システム「デジタル目勘®」

(2019年11月号掲載)

著しい高齢化の進展に加え、後継者や労働力不足が懸念されている日本の農業界の発展には、ITを活用した「スマート農業」や「アグリテック」の取り組みが不可欠となっています。NTTテクノクロスは、“AIとIoTで農業を変える!” をキャッチフレーズに、AIやIoT、ビッグデータ分析に関する高い技術力/知見を活かしつつ、酪農・畜産分野に強みを持つパートナーとのアライアンスを基軸に農業ビジネスを積極的に展開しています(図1)。以下では、最近特に注目を集めている牛の行動モニタリング「U-motion®」と、豚の体重推定システム「デジタル目勘®」の2つのソリューションを紹介します。

タグで牛の行動や状態を 24 時間モニタリング・分析し、健康状態を判断する「U-motion®

酪農・畜産農家での労働力不足による技術力の低下や経験不足等から、きめ細かな見回りによる繁殖機会や疾病、起立困難等の早期発見ができず、経済損失が増加しています。

NTT テクノクロスでは、農業ベンチャーのデザミスと連携し、牛の首につけたタグ1つで牛の行動や状態を24時間・365 日モニタリングするサービス「U-motion®」を提供しています。本サービスは、NTT テクノクロスが開発したタグに内蔵された複数センサーで得られたデータをクラウドに収集・分析し、採食、飲水、反芻、動態、起立、横臥、静止の 7 つの行動を 24 時間 365 日リアルタイムに見える化。また、NTT テクノクロスとデザミスが開発した独自のアルゴリズムでこれらの行動データを分析し、牛の発情兆候や疾病兆候、起立困難等の異変を自動で検知してアラート通知を行います。適切な処置(駆け付け等)による、事故や病気の未然防止、さらには深夜におよぶ見回り作業の負担軽減など管理業務の効率化に寄与するサービスです(図 2、写真 1)。牛の状態は、スマホ/パソコンからいつでもどこでも把握できます。

初期導入費用は不要で、利用料のみ(1頭あたり、約 500 円/月)のクラウド型サービスです。

図1
図1 NTT テクノクロスにおける農業ビジネスのアライアンス状況

 

 

図2
図2 牛の行動分析サービス「U-motion®」の概要

 

 

写真1
写真1 タグを装着した乳牛

 

すでに全国数万頭以上の牛に導入されています。例えば、流通会社のダイエーグループである鹿児島サンライズファームは、2017年から実験的に活用してきた「U-motion®」から期待以上の効果が得られたとして、本年6月にはオリジナル国産和牛「さつま姫牛」のさらなる品質向上と安定供給を目指し 2021 年度までに約 4,000頭の牛に導入することを決めました。

「U-motion®」により、牛の行動分析だけでなく、牛に関する固有情報(飼料情報、投薬履歴等)を管理することで、「食の安全」を確保していき、生産・飼育、流通・販売のサプライチェーンをつくることを目指しています。

 

専用端末で撮影した豚の画像から、AI技術を用いて体重を推定する「デジタル目勘®

 

豚は出荷後の重量と背脂が等級判定の基準となるため、体重測定は売上に直結する重要な作業です。例えば、カット歩留が 65%として、体重124kgを超える豚は等級がダウンし、価格も下がります。しかし、体重計に追い込む豚の体重測定は非常に重労働であり、手間がかかります。豚1頭の体重を測定するだけでも大変で、多くの豚を定期的に計測することは非常に困難です。このため養豚業者の多くは、長年の経験から目視によって体重を推測(業界用語で “目勘” という)していますが、この方法は熟練者でないと難しく推定精度にバラツキが多いという課題がありました。

この課題を解決するため、NTT テクノクロスは伊藤忠飼料と共同で豚の3Dデータを撮影可能なカメラを搭載した専用の小型端末を独自に開発し、世界初となるソウトウェアと専用端末が一体となった小型・軽量の豚体重推定システム「デジタル目勘®」として本年10月より伊藤忠飼料のルートで販売しています。

「デジタル目勘®」は経験を要さず、手元の専用端末で豚を上から撮影するだけで手軽かつ一律に体重を測定できるシステムです(図3)。
専用端末は約837gと小型軽量、片手で持てます。しかも交換式の充電池 1 本で2.5時間駆動します。端末側で計算処理を行うため通信環境は不要で、誰でもどこでも手軽に豚の体重を推定できます。

また、NTT グループの AI 技術「corevo®」の1つである NTT テクノクロス独自の画像認識技術と機械学習で構築した計測ロジックにより、2.8秒で豚の形状から体重を推定し、誤差 4.5%の推定精度を実現しました。ソフトウェアは発売後も継続して改良を実施し、精度向上や新たな機能が追加された場合も、購入者は無償でバージョンアップを受けられます。
「デジタル目勘®」の主な導入効果として、①経験の浅い人にも熟練者の目勘を提供、②出荷時の体重を推定し、出荷の安定化を図る、③体重測定の重労働を省力化があげられます。

販売価格(税別)は、ソフトウェア利用料が1台あたり月額1万5000円、端末本体が1台あたり51万8000円です。

 

図3
図3 豚の体重推定システム「デジタル目勘 ®」の概要

 

 

 

 

NTT テクノクロス
IoT イノベーション事業部
[左]副事業部長 櫻井 義人氏
[中]第一ビジネスユニット
マネージャー 田中 久子氏
[右]第一ビジネスユニット
統括マネージャー 冨田 清次氏

お問合せ先

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