NTTデータ

pipitLINQ®

活用が拡大する預貯金等照会電子化 ソリューション「pipitLINQ®」

(2020年5月号掲載)

全国の行政機関と金融機関において、NTTデータが提供している預貯金等照会業務の電子化サービス「pipitLINQ(ピピットリンク)」の活用が拡大しています。背景には、書面と人手で行っている公的照会と呼ばれる「預貯金等照会業務」のDX(デジタルトランスフォーメーション)化ニーズがあげられます。統一フォーマットの電子データによる預貯金等の照会業務をセキュアな環境で実現する「pipitLINQ」は、行政機関、金融機関双方での人的負担や事務処理コストの大幅な削減と照会時間の迅速化に加え、国の施策である「デジタルガバメント実行計画」の実現にも貢献する革新的なサービスです。

電子化と統一フォーマットで、「預貯金等照会業務」の大幅な業務効率化とコスト削減実現

デジタル技術を活用して生産性向上や新サービス創出による競争優位性の確保を目指したDX推進の取り組みは、企業はもちろん「デジタルガバメント実行計画」を踏まえた行政機関でも加速しています。

例えば、行政機関が金融機関に要請する預貯金等照会は、異なる書面様式と人手による作業のために多大な労力とコストがかかっています。加えて、郵送による書類のやりとりのために、照会・回答に時間がかり、迅速な対応が難しいという課題がありました。この課題を解決する革新的なサービスが、NTTデータが2019年7月にサービス開始した預貯金等照会業務の電子化サービス「pipitLINQ」です。

本サービスは、7中央省庁、3地方自治体、7銀行、5生命保険会社が参画する勉強会での徹底的な課題の洗い出し、3自治体4部署、1銀行と信用金庫1行が参加した実務検証を経て、商用化されました。以下に本サービスの概要(図1)と主な特長を示します。最大の特長は行政機関と金融機関をpipitLINQでつなぎ、導入機関間で統一フォーマットの電子データによる預貯金等照会を行うことで、紙でのデータを取り扱う人的負担や郵送によるコストおよびタイムラグ、各機関での書面様式の違いによる処理の煩雑さが軽減され、迅速かつ適正な業務の実現を図ることができる点です。

図1 pipitLINQの概要と特長

・セキュアかつ低コスト

pipitLINQは、NTTデータが提供する高い信頼性とセキュリティを有したコミュニティークラウドサービスである「OpenCanvas®」上に構築します。また、35年以上にわたり日本国内のバンキングサービスを提供してきた「ANSER®」サービスなどの実績ある既存の仕組みを最大限活用することで、非常にセキュアかつ低コストのサービスを実現しています。

統一フォーマットによる全体効率化

 すべての導入機関が統一のフォーマットで照会データをやり取りするため、相手機関による書面仕様の差異を意識することなく効率的に業務が遂行できます。この統一フォーマットは、中央省庁、地方自治体、金融機関等の各関係機関が参加するNTTデータ主催の勉強会を通じて得られた数多くの意見が反映されており、各機関によって異なる多様な業務ルールにも柔軟に対応可能です。

さまざまなソリューションとの組み合わせによるさらなる効率化

 NTTグループが開発した純国産RPAツール「WinActor®」などとの併用や、基幹システムとの連携機能構築等により、預貯金等照会業務のさらなる効率化が可能です。中央省庁や地方自治体、金融機関における豊富なシステム構築ノウハウを生かし、お客さま個別の現状業務やシステム環境に応じたさまざまな解決策を提案します。

「pipitLINQ」の導入効果と導入拡大状況

金融機関や行政機関双方に、「pipitLINQ」の導入により、それぞれ次のような効果が期待できます。

●金融機関での導入効果

①大幅な業務効率化

 業務を煩雑化していた様式の異なる紙の照会票が統一的な電子データになることで、システムによる自動化が可能となり、大幅な業務効率化が可能です。実務検証を実施した銀行では、業務プロセスの自動化を含めると、年間約61%〜99%の業務効率化が見込めるとの結果が出ております。

②人的ミスの排除

 電子データによる自動化に伴い、従来の人による判断、転記等の作業が不要となるため、人的ミスが排除でき、回答結果の精度向上が図れます。

③セキュアかつ低コスト

 金融機関側では国内バンキングサービスとして多くの金融機関に導入し高い信頼性とセキュリティを有した基盤、35年以上の実績のあるNTTデータの「ANSER」の仕組みを活用することで、非常にセキュアかつ低コストのサービスを提供可能です。

●自治体等行政機関での導入効果

①依頼〜回答確認の期間の短縮

 依頼/回答が郵送対応から電子化されること、口座特定方法が統一されること(カナ氏名、生年月日のみ)等により、依頼〜回答期間の大幅短縮が可能となります。実務検証を実施した自治体の例では、金融機関からの回答は平均で約16日短縮。最大2カ月かかっていた照会も1〜3日で回答可能になるとの結果化が出ております。

②業務効率化

 金融機関への照会依頼及び回答受領が電子データで授受可能となることにより、紙による仕分け、封入・封緘等の作業が不要となり職員の稼働が削減できます。また、統一フォーマットでの授受により既存システムとの連携等が容易で更なる業務効率化が可能となります。実務検証を実施した自治体では、業務プロセスの自動化を含め、年間約29%〜55%の業務効率化が見込めるとの結果が出ております。

 これらのこれまでの課題を解決する大きな導入効果が期待されることから、全国の金融機関や行政機関で「pipitLINQ」の導入拡大が加速しており、2020年3月現在、金融機関では22機関(予定含む)、行政機関では60機関(予定含む)で採用されています。

更なる利用者の利便性向上を図り、社会課題の解決を目指します

「pipitLINQ」は、金融機関や行政機関等が幅広く加入することで、より一層の効率化が進むことから、今後も加入を呼びかけるとともに、継続的なサービス拡充を並行して実現することで、デジタル・ガバメントの実現を推進し、2021年度末までに120金融機関、300自治体への導入を目指しています。

また統一フォーマットについては、マイナンバー等を視野に入れた設計となっています。今後、行政機関と金融機関をつなぐ全国統一的な連携基盤として保険会社・証券会社へと拡大し、さらに民連携を進めることによって、例えば煩雑な相続手続きをワンストップで行うなど、利用者の利便性を向上させるサービスへ繋げる計画です。NTTデータはpipitLINQにより政府が進めるデジタルガバメントの実現に寄与し、広く社会課題の解決を目指していきます。

 

 

 

NTTデータ
第二公共事業本部
社会保障事業部社保第三統括部
第六システム担当課長
山田 圭

「pipitLINQはあくまでもNTTデータが目指すデジタル・ガバメント実現の第一歩。今後は、利用者の利便性向上や社会課題の解決にもつなげていきたい」

お問合せ先

株式会社NTTデータ https://pipitlinq.jp/

■行政機関向けお問い合わせ:pipitlinq@kits.nttdata.co.jp

■金融機関向けお問い合わせ:adp@kits.nttdata.co.jp