NTTアドバンステクノロジ株式会社

IOWN/プレIOWN

IOWN構想の具現化に向け、 まずプレIOWNから関連ビジネスを本格始動

(2020年6月号掲載)

NTTアドバンステクノロジ(以下:NTT-AT)は、NTTのIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想の具現化に貢献すべく、2019年10月「IOWN推進準備室」をいち早く設置。さらに本年4月には「IOWN推進室」へと体制強化を図り、IOWN関連ビジネスの本格展開を開始しました。IOWN推進室は、要素技術の研究開発を推進するNTT研究所と、その技術を応用・事業化するNTTグループ会社やパートナー企業との間をつなぐフロント・コーディネータの役割を担い、将来コンセプトの可視化、IOWN/プレIOWNの展開支援、IOWN基盤技術の確立・実用化をワンストップで推進します。

以下では、NTT-ATのIOWN関連ビジネスの取り組みについて紹介します。

IOWN関連ビジネスの本格展開を視野に、推進準備室から推進室へと体制を強化

NTTが、10年先を見据えて従来の通信システムを超えて持続的成長を支える新たな社会情報基盤の実現を目指す長期事業ビジョン「IOWN構想」を2019年5月に発表しました。これを踏まえ、NTT-ATは、同年4月に策定した中期事業計画の5本柱(①トータルソリューション、②セキュリティ、③クラウド・IoT、④AI&ロボティクス、⑤グローバル)に加え、「IOWN」をもう一つの重点事業領域と位置づけ、同年10月に「IOWN推進準備室」をいち早く設置しました。そして、半年間の準備期間を経て、IOWN関連ビジネスを本格始動すべく本年4月に「IOWN推進室」へと体制強化を図りました。

本年2月以降、IOWN構想の具現化に向け、NTTグループ各社内でIOWN推進室の設立が始まりましたが、NTT-ATは社長直轄組織としてグループに先駆けてチャレンジを始めています。

IOWN構想は、①圧倒的な省電力化とシンプルなオペレーションを実現するオールフォトニクス・ネットワーク(APN)、②現実世界をサイバー空間に再現して新たな付加価値を創造するデジタルツイン・コンピューティング(DTC)、③ICTリソース全てを柔軟に制御し調和させるコグニティブ・ファウンデーション(CF)の3つの要素からなっています。

当面(中短期)は“プレIOWN”の具体化に注力

IOWN推進室では、2020年は“プレIOWN”の具体化に向けた本格始動の年と位置付けており、ここ1〜2年のうちにNTTグループ各社やパートナー各社と連携して先行技術を活用したIOWN構想の早期具現化(これを“プレIOWN”と呼びます)を実現していきたいと考えています。その取り組みの基本方針として、自治体向けのまちづくり防災アプリや、RPA等のDX(デジタルトランスフォーメーション)商材の自治体展開の強味を活かし、下図に示すように災害時にも通信・電力が利用可能な自律分散型の地域コミュニティ創生に取り組んでいきます。

IOWN/プレIOWN推進に向けた取り組みの基本方針

 

具体的には、「効率・柔軟な無線利用」、「効率化・安定的エネルギー供給」、「超省電力デバイス・ネットワーク基盤」の技術領域に注力していきます。

●地域エッジ構想/地域創生ネットワーク、ルーラルエリアの光+無線化の展開

地域が抱える課題・ニーズの解決に向けた、NTT東日本の地域エッジ構想「REIWA(Regional Edge with Interconnected Wide-Area network) 」やNTT西日本が取り組む地域創生ネットワーク、そしてルーラルエリアの光+無線化に対して、現時点で盛り込めるIOWNの先行技術要素を入れ込みつつ、“プレIOWN”として見せていけるよう、関連技術の目利きをしつつ、NTT事業会社とともにネットワークアーキテクチャやサービス検討を進めているところです。

関連技術として、エッジコンピューティング環境向けのソリューションとしては、NTT-ATの光配線切替ロボット「ROME(Robotic Optical Management Engine)」、NTT研究所の高速FPGA技術を活用して製品化したネットワークトラフィックを可視化・監視する「@FlowInspector」をはじめ、他社が持つオプティカル関連技術を目利きすることが考えられます。

●スマートシティを起点としたマルチオーケストレータ展開

社会全体でDX化が加速度的に進みつつある中、データを収集してリアルタイムに状況を見える化できるようになりました。次のステップは、データを分析・予測して、実世界の制御から未来をシミュレーションして実世界にフィードバックして新たな価値を提供することです。これは、IOWN構想におけるDTC(デジタルツイン・コンピューティング)の考え方そのものです。

NTTグループは、スマートシティをIOWN構想の具現化の場の一つと位置づけ、既に導入済の米国ラスベガス市をはじめとして、国内外での拡大を図っているところです。例えば、本年3月には、スマートシティビジネスの事業化に向けたトヨタとNTTの資本提携が発表されました。

スマートシティビジネスの本格展開には、DTCに加え、ICTリソースを迅速かつ柔軟に提供するソフトウェアのCF(コグニティブ・ファウンデーション)とそのキーテクノロジーであるマルチオーケストレータが重要です。

NTTグループのみならず、それぞれの強みを持った幅広いパートナーと協力し、IOWN構想による新たな社会情報基盤の実現に貢献するために、スマートシティを起点にしたマルチオーケストレータ展開にNTT(NTT研究所)を支えるメンバとして参画していきたいと思います。

中長期はIOWN構想の具現化に向けたNTT研究所における研究開発の弾込めを支援

IOWN構想では、2030年のサービス開始を目標に、2024年には仕様を提示するロードマップを描いています。NTT-ATでは、NTT研究所と一緒になって基盤技術の確立・実用化を行っている強みを活かして、2030年に向けて引き続きNTT研究所の無線を含むネットワーク、環境エネルギー、デバイス関連を中心に、研究開発の弾込めを支援していきます。

昨今の自然災害の巨大化・頻発化と、その被害状況を振り返りますと、人々の生活や企業活動がいかに通信と電力の上で成り立っているかがよく分かります。NTTグループはこれまで、通信の世界で「つなぐ」を使命にしてきました。今後は、平時に高効率・柔軟で使い勝手のよいネットワークを提供することはもちろん、災害時でも通信・電力が利用可能な地域コミュニティを作っていくことが必要だと考えています。防災の観点からは、通信と電力は切っても切り離せないからです。

昨年発足したNTTアーバンソリューションズは、ICT・エネルギー等を複合化し、地域の課題解決、および個性豊かな街づくりを推進しています。また、NTTアノードエナジーは、NTTグループの保有するアセットや技術を活用し、分散エネルギーリソースを利用する、新たなエネルギー流通の仕組みづくりをパートナー各社とともに進めています。これらの営みともしっかり連携させていただきながら、低消費電力で人手のかからないプレIOWNを具体化し、IOWN構想が目指す持続可能な新しい社会情報基盤作りに貢献していきたいと考えています。

NTTアドバンステクノロジ
取締役 IOWN推進室長 辻ゆかり

私どものミッションは、NTTグループを支えながら技術イノベーションを起こしていくことです。IOWNにおいてもその役割を果たし、IOWN構想が目指す持続可能な社会基盤作りに貢献していきたいと思っています。

お問合せ先

NTTアドバンステクノロジ株式会社 経営企画部 コーポレート・コミュニケーション部門

E-mail:inquiry@ml.ntt-at.co.jp