株式会社NTTデータ

デジタルトランスフォーメ—ション

デザイン志向のデジタルトランスフォーメーション推進はネクストステージへ

(2021年3月号掲載)

NTTデータは、20197月に米国STAR Global Consulting Inc. (所在地:米国・カリフォルニア、以下:Star社)と資本提携契約を締結し、国内外でデザイン志向のデジタルトランスフォーメション(以下、DX)プロジェクトを推進してきました。(本誌2019 Vol.56 No.10

日本国内では、C&M事業部(菊山事業部長)が中心となり、また海外では、主に欧州OpCo(事業会社)のデザイン部門(Tangity等)とStar社海外拠点との協業を弊企画部にて支援してきました。本稿では、この協業でのトピック及び今後本協業が深化していく中で、お客様のDXに向けた新たな価値創造についてご紹介します。

Star社との協業の方向性 

Star社は、シリコンバレーに本社を構え、世界各国に拠点を置く、デザイン志向のコンサルティングファームです。同社は、お客様の新たなビジネス企画推進に際し、対象とする市場の洞察からアイデアの提案、ハードウエア、ソフトウエアも含めたコンセプト開発、プロダクトの完成までをお客様と「共創」しながら素早く成功に導くことを特徴としています。そうした強みを最大限に発揮するため、Star社は6つの業種に特化しています。(*)

これらの業種において、クライアント企業が市場で勝つための戦略定義や、市場に対してより強い影響力を持つ革新的なプロダクト構築を支援してきた実績があります。(https://star.global/jp/)

さて、近年デザイン志向のアプローチが注目されてきましたが、Star社とNTTデータとの協業は、こうしたデザイン志向をベースにしながら、お客様のビジネス全体に波及する戦略立案やプロトタイプ構築で終わる事のない実サービスへの展開に至るいわばビジネスプロセス全体の支援へと深化してきました。

(*)自動車&モビリティ/健康&ウェルネス/フィンテック/コンシューマーエレクトロニクス&IoT/工業&製造業/アドテック&マーケテック

Star社との協業実績(プロジェクト紹介)

Star社との資本提携から約1年半が経過し、複数のプロジェクトを実施、または推進中です。これらのプロジェクトの中で特筆すべきものをいくつかご紹介します

1. モビリティ・コマースプロジェクト

(Mobility-UX への取り組み)

エンドユーザー個人を理解したパーソナルリコメンドをコアとし、リコメンドや広告の受容性を上げるためのサービス・UXの開発に取り組んでおり、実証実験を進めています。このプロジェクトでは、国内の複数企業との協業によって推進しています。具体的には、位置情報・ユーザーの好みに応じた目的地サービスをシームレスに提供し(AIパーソナリティー)、「移動」と連動した新しい発見の提供によって、エンドユーザーとの新たな関係構築を目指したプロジェクトです。(図1)

図1 モビリティ・コマースプロジェクト

2. Friday PMプロジェクト(オフィスの動線管理

Covid-19の影響で、世界中の企業では働き方改革が求められており、今後オフィスの有効活用が求められていますが、未だ試行錯誤が続いています。Star社では従前よりオフィス内の動線管理にAIによる画像認識、データ分析技術などを用いたソリューションを開発しており、ニューノーマルのオフィス空間(新しいカスタムメイドのハイブリッドワークプレイス)の実現のため、Friday PMと名付けたプロジェクトをC&M事業部と日本で実証実験を進めています。(図2)

図2 Friday PM

 

3. 新しいモビリティHMIの実現

NTTデータのデザイン組織であるTangityの主要メンバーである欧州のOpCo(事業会社)とStar社との協業で、欧州の老舗輸送機器メーカーの次世代製品のHMIプロトタイプ構築を共同で推進しています。これは単にUI/UXの検討に留まらず、運転者と機械の新しい関係性の構築からアプローチしたプロジェクトです。Star社は欧州(ミュンヘン)に大規模なデザインチームを有し、またモビリティ分野で経験豊かなエキスパートを有していることから、Tangityとの連携が実現しています。

デザイン志向のDX推進はネクストステージへ

本稿で紹介したプロジェクトは、いずれもデザイン志向を核としながらも、エンドユーザーとお客様企業との今後の関係変化を定義し、仮説検証を行っているものです。Star社との協業の中で培われたデジタルトランスフォーメーションへのアプローチでは、「エンドゲーム」という考え方が出てきます。これはお客様企業が目指す「将来のビジネス像」を指す言葉で、デザイン志向には欠かせない概念です。将来のサービスをより具体的に想定し、現実のオペレーションを理解しながら、その将来像へ至る道筋を具体化していきます。その過程で重要なのは、全てのステークホルダーの「共感」を得る事にあります。

デザイン志向のアプローチは、UI/UXを中心としたデザインプロセスの改善を目指したプロジェクトに留まらず、お客様の新たなビジネス、特に最近はエンドユーザーデバイスの進化やネットワークの高速化に伴い、エンドユーザーとの直接な接点を自社事業に取り込む新たなビジネスモデルの構築の必要性が高まっており、「共感」を重要視した新しいビジネスモデルの検討は重要なアプローチです。

今後Star社との協業による価値創出は、お客様のビジネスプロセス全体へ拡大進化させ、一貫したサービス提供を目指していきます。

お客様の「共創」パートナーとして

今後、デジタルトランスフォーメーションの進展に伴い、NTTデータのお客様のビジネスだけでなく、NTTデータ自身のビジネスも大きく変化しようとしています。従来は、確実なシステム構築によってお客様のビジネスへ貢献が中心でしたが、その競争力は維持しつつも今後はお客様と新しいビジネスを「共創」するパートナーとしてよりアクティブな役割が求められます。そうしたITをベースにした付加価値の高いサービスの提案実現のため、本協業を更に深化させていく予定です。

NTTデータ 製造ITイノベーション事業本部 コンサルティング&マーケティング事業部 ビジネスコンサルティング統括部コンサルティング担当

東谷昇平 Shouhei.Touya@nttdata.com

Security、DatacenterCloudDesignの事業に従事。DXKSFEmployee ExperienceEX)だと思う今日この頃です。

STAR Global Consulting Inc.

Star日本法人は、Star Global Consulting, Inc.の日本法人として2018 9 月に設立されました。日本国内でも多くの産業領域の企業様との取り組みを開始しております。

お問合せ先

株式会社NTTデータ 製造ITイノベーション事業本部 企画部 事業企画担当

連絡先 大濱 Hiroki.Oohama@nttdata.com