NTTファシリティーズ

脱炭素化に向けたソリューション

「低炭素化」から「脱炭素化」の流れを踏まえ、独自の「Fグリーン電力」を提供

(2018年7月号掲載)

地球環境問題が深刻化する中、2016年11月の「パリ協定」発効を契機に、世界的に「脱炭素化」(CO2を排出しない)の流れが加速しています。多くの国が温暖化対策の目標を定めそれに向けた取り組みを始めているほか、政府や自治体の施策を踏まえて、世界中の多くの企業が様々な取り組みを進めています。
本稿では、今後の企業経営を左右するといっても過言ではない「脱炭素化」の世界的な潮流を解説するとともに、企業の取り組みを支援するNTTファシリティーズが近々提供開始する予定の「Fグリーン電力」の概要を紹介します。

「低炭素化」から「脱炭素化」へ
グローバルで加速する地球温暖化防止の潮流

地球温暖化対策の新しい国際ルール「パリ協定」が2016年11月4日発効されたのをきっかけに、それまでの温室効果ガス排出削減に向けた「低炭素化」から、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「脱炭素化」への流れが加速しています。パリ協定は、2015年にパリで開かれた温室効果ガス削減に関する国際的取り決めを話し合う「国連気候変動枠組条約第21 回締約国会議(COP21)」で合意された、温室効果ガス削減に関する国際的取り決めです。パリ協定では、世界共通の長期目標として「産業革命前からの平均気温の上昇を1.5~2℃未満に抑制すること」を掲げています。その目標達成のために、今世紀後半には世界の温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることがうたわれています。

パリ協定には途上国も含む200 近い国と地域が参加しており、世界各国は温暖化対策の目標を5年ごとに自主的に策定・提出し、目標達成に向けた対策に取り組むことになっています。日本は中期目標として、2030年度の温室効果ガスの排出量を2013年度の水準から26%削減する目標を定めました。そして、新たに作成された「地球温暖化対策計画」のもとで、具体的な取り組みが進められており、国や自治体、産業界と様々なレベルで、脱炭素化に向けた取り組みが始まっています。

日本の中期目標「2013年度比で26%削減」に向けた2030 年のエネルギーミックスにおいては、再生可能エネルギーを今後の主力電源の1つとして位置づけています。日本で作られているエネルギーの内、再生可能エネルギーの割合は2010 年度で約10%でしたが、政府はこれを2030年度には22%~24%程度まで引き上げる意向を示しました。

脱炭素化に向けては、エネルギーの使う量を極力減らす徹底した省エネに加え、CO2を排出しない再生可能エネルギーの導入に向けた官民一体の取り組みが不可欠です。官民が一体となって脱炭素化を目指す取り組みとしては、2009年11月にスタートした住宅向け余剰電力買取制度に加え、2012年7月に開始した再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)があげられます。さらには、再生可能エネルギーの地産地消による地域経済活性化を目指す「地域新電力」の取り組みもあげられます。地域新電力とは、再生可能エネルギーなどによる電力を、発電した地域の中で消費することで、脱炭素化を図るとともに、地域経済の活性化を図る取り組みです。岩手県北上市や山形県、群馬県中之条町、静岡県浜松市、大阪府泉佐野市、鳥取市など、すでに多くの地方自治体が参画しており、20 を超える地域新電力が存在します。今後も、ますます地域新電力の数は増えていくと思われます。

これらのFIT、地域新電力等の官民一体の取り組みにより、太陽光発電をはじめとする各種再生可能エネルギーの導入が進みました。

世界のエネルギー市場を見ると、脱炭素化のトレンドを受け、太陽光発電や風力発電をはじめとする再生可能エネルギーの市場が年々拡大しています。これまで日本はヨーロッパ諸国と比べ、再生可能エネルギーの導入が遅れていましたが、先のFIT や地域新電力等の取り組みに加え、2018年5月に公表された国の中長期的なエネルギー政策の指針となる「第5 次エネルギー基本計画」の改定案に再生可能エネルギーが「主力電源」として位置付けられたことで、脱炭素化に向け今後ますますの導入拡大が図られる予定です。

注目を集める企業の脱炭素化への取り組み

脱炭素化は、世界のあらゆる企業にとって重要な課題になりつつあります。政府や自治体による施策を踏まえて多くの企業が様々な取り組みを進めており、特に再生可能エネルギーの活用は、様々な企業が実践しています。その中で国際的な動きとして注目されているのが、科学的知見と整合した温室効果ガスの削減目標を審査・認定する国際イニシアティブ「SBT(Science Based Target)」と、事業運営に必要な電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標に掲げる企業が加盟する「RE100(Renewable Energy 100%)」の活動です。SBT 認定企業は、再生可能エネルギーの活用だけにとどまらず、省エネ活動なども含めて目標に取り組みます。2018年5月末時点で日本企業は20社が認定を受け、申請中の企業も多数あります。またRE100には2018年5月末時点で世界全体で130社以上、日本では7社が加盟しています。

脱炭素化の動きは企業規模の大小を問わずに広がっています。例えば、日本の大手自動車メーカーは、CO2ゼロなどを目指す6つの長期チャレンジビジョンを発表し、部品供給企業などにも脱炭素化を求めています。また、アメリカの大手IT企業も、部品供給企業や協力工場に脱炭素化を求めています。製造設備を自社で保有していないこの企業は、取引先企業と協力しながら、製造から販売までのプロセス全体で使われる電力を、再生可能エネルギー由来のものへと転換していっています。

このように、脱炭素化は大企業や一部の先進的な企業だけの問題ではありません。脱炭素化に取り組むことは、企業にとって競争力を強化する絶好の機会になるかもしれません。脱炭素化に向けては、省エネ・創エネ技術をはじめとする技術革新が重要な課題になります。イノベーションによって、革新的な技術の実現や普及が進めば、新たな需要を生み出し、経済成長にもつながるでしょう。

あらゆる企業にとって脱炭素化は避けて通れないテーマです。NTTグループも例外ではありません。もはや脱炭素化はコスト要因ではありません。企業はいち早く対応することで、企業価値やブランドイメージの向上、社会貢献に加え、新たなビジネススキームによる経済成長へとつながることが期待できます。

NTTファシリティーズが提供する脱炭素社会実現に向けた新ソリューション

「Smart & Safetyで、持続可能な社会の実現に貢献し続ける」を使命に、事業を推進するNTTファシリティーズでは、NTTグループの省エネルギー対策や建物や通信電源等のファシリティマネジメント等により培った、ICT・エネルギー・建築の融合技術を最大限活用し、地球温暖化対策がクローズアップされる以前から取り組んできた再生可能エネルギーの導入や、エネルギーマネジメントシステムの技術開発など、脱炭素社会の実現に必要な技術・サービスの開発を加速させています。

例えば、提供された電力を効率よく活用するこれまでのエネルギーマネジメントシステムをさらに発展させ、発電から消費、電力取引、発電事業の経営に資するシミュレーションツール、さらには水素活用までも含めた統合型エネルギーマネジメントシステムの開発を進め、来たるべき脱炭素社会の実現に貢献していきます。
また本年4月には、太陽光発電所の構築・運用に対する豊富なノウハウをベースに、FITを活用しない太陽光発電所の構築に着手すると発表し、土地の選定を進めるためのパートナー募集を開始しました。

NTTファシリティーズは、FIT売電を行わず、太陽光発電所で発電したグリーン電力を、再生可能エネルギーを活用したいお客様に直接届ける「Fグリーン電力」の営業を本年7月より開始します。脱炭素化に取り組むお客様に太陽光発電所からの電力と不足部分の電力とを合わせて提供し、脱炭素化とRE の普及拡大を両立し、脱炭素社会実現に向け貢献することを目指しています(図1)。

図1 NTTファシリティーズの「Fグリーン電力」の概要

Fグリーン電力の提供方法は2種類あり、1つは自社の太陽光発電所の発電電力を既存の送配電網(一般送配電事業者の所有する送配電網)を使って供給する方法です。供給力を拡大するため今回、沖縄県および島しょ部を除く全国で、5000m2(平方メートル)以上の平たんな土地を対象に、太陽光発電所用地の提供を希望する地権者様や、遊休地情報をお持ちの施工会社様、太陽光発電所の構築経験をお持ちの施工会社様などの開発パートナーの募集を始めました。

もう1つの提供方法は、企業の敷地内に自家消費型(オンサイト)の太陽光発電所を構築し、そこで発電した電力をお届けする方法です。

「Fグリーン電力」の大きな特長として以下の点があげられます。

  • ・初期投資及び保守費用なしでグリーン電力が利用可能
  • ・太陽光発電所の電力と不足電力を合せて一元的に提供
  • ・太陽光発電所から提供した電力は、CO2排出量がゼロ
  • ・オンサイトの太陽光発電所は非常時の電源としても活用可能

NTTファシリティーズは、今後も脱炭素社会の実現に貢献すべく、再生可能エネルギーの普及・拡大に向けた革新的な新技術の開発を含めた取り組みを強化・加速する方針です。

 

NTTファシリティーズ
ソリューション本部 スマートエネルギー部
【左から】
主査 中井美絵 主査 宮沢史子
田原由梨    桐本喬晴
田中良  課長 佐藤健介

「脱炭素化は一企業だけでなく世界的な潮流となっています。このサービスを通じてお客様とともに持続可能な社会の実現に貢献します。
私達や子供たちの未来を守るために全力で取り組みます。」

お問合せ先

株式会社NTTファシリティーズ ソリューション本部 スマートエネルギー部
TEL:03-5444-5080