EcoSCOPEを採用した海外のユーザ事例

アプリケーションの本番環境への移 行にEcoSCOPE を活用した事例

米国中南米で公益事業を営む企業 は、SAP R/3 による新規の請求書発 行アプリケーションを本番環境へ移 行する計画を立てていた。標準的な ストレス・テストとロード(負荷)・ テストが行われ、予測レスポンス・ タイムは25 秒と設定された。そこで アプリケーション・テスト・グルー プは、QALoad を使用してプロキシ 環境を作成し、EcoSCOPE を使って パフォーマンスを分析。アプリケー ション特性に関する情報を収集した ところ、実際のレスポンスが1 .5 分も かかることに気づいた。すぐに EcoSCOPE のネットワーク遅延レポ ートを調べると、ネットワーク・レ スポンス・タイムは適切な値を示し ている。問題は、アプリケーションか サーバ、あるいはクライアントのい ずれかだ。アプリケーション・リス トから、最も遅いレスポンスを示し ていたのがSAP と分かり、それを使 用しているサーバのうち、最も使用 率の高いものがNFS と判明した。そ こでInteractive Viewer からNFS サ ーバの詳細を調べると、クライアン ト・カンバセーションのサイズとレ スポンス・タイムが異常に大きい値 であることが分かったのである。

このグループは、NFS サーバか問 題の中心と確信。EcoSCOPE でNFS サーバとSAP R/3 のレスポンス・タ イムを調べると非常に悪く、絶えず トラフィック量が多いことも分かっ たのである。

調査の結果、SAP アプリケーショ ンに必要なドライバがNFS サーバに あるために、エンドユーザからのト ランザクションごとにアクセスして いたのだ。結局、すべてのSAP ユー ザのWS に適切なGUI ドライバをロ ードすることで問題は容易に解決し たのである。

アプリケーションの時間帯ごとのトラ フィック分析で問題を解決した事例

複数のリモート・サイトを持つ医 療機関では、特定のミッション・ク リティカルなアプリケーションを EcoSCOPE によって定期的に監視し ている。そのため、重要なアプリケ ーションの特性はすでに熟知してい た。IT 部門は、とくにビジーな一定 の期間中、バックボーン上で実行さ れている、すべてのクリティカルな アプリケーションでパフォーマンス が低下していることを検出した。

EcoSCOPE のアプリケーション・ リストと使用率ランキング・レポー トをチェックしたところ、レスポン ス・タイムの遅延以外はすべて正常 であることが分かった。そこで Interactive Viewer を使って時間帯 ごとに使用率の高いアプリケーショ ン一つ一つについてトラフィックを レビューしたところ、バックアップ 以外のアプリケーションについて は、すべて使用状況が通常通りであ ることを確認した。バックアップが、 従業員が患者の情報にアクセスする 時間のピークとなる正午から午後4 時の間に実行されていたのである。 この情報を手がかりに、NT サー バのクロックの午前と午後が逆転し ており、夜間のバックアップが午後 に実行されていたことが判明したの である。EcoSCOPE によって一般的 なネットワーク管理ツールでは得ら れない情報を得ることで、ユーザに 影響が及ぶ前に解決したのである。

電子メールのパフォーマンス問題を 解決した事例

大手コンピュータ企業のカリフォ ルニア・ラボのエンドユーザは、電子 メールの送受信に1 〜2 日もかかる と不満をもらしていた。既存の管理 ツールとRMON のデータ解読に2 週 間を費やして何の成果も得られずに いた。そのとき、トライアルの目的で EcoSCOPE が導入されたため、電子 メールのトラフィックの詳細だけを 切り分けて見られるようInteractive Viewer のトポロジー・マップをフィ ルタリングしたところ、カリフォル ニアから送った電子メールは、本社 のメール・サーバに送られ、そこから 多くの電子メール・レプリケーショ ン・サーバやゲートウェイを介して、 日本へ送られていることが即座に示 されたのである。これによって、バッ クボーン・ルータの設定に誤りがあ ったことが判明したのである。

パフォーマンス問題から危険なセキ ュリティ違反を検出した事例

国際ファイナンス企業では、ディ ーラー・トレーディング・アプリケ ーションのレスポンスがロンドン〜 東京間のWAN 接続上で著しく低下 していた。2 〜3 秒の遅れが何百万 ドルもの損失ともなり得るため、非 常にクリティカルな問題だった。

WAN リンクは、ディーラー・トレ ーディング・アプリケーションが単 独で使用しており、帯域不足から来 る問題だと思われていた。それを検 証するために通信事業者にWAN ト ラフィック・レポートを求め、それ を分析するとCIR (Committed Information Rate )をつねに超えた 状態にあり、トラフィックはTCP/IP のみであることが分かった。当然、 通信事業者は、リンクのアップグレ ードを提案したのである。

同社のアメリカ拠点でEcoSCOPE を使っていると知った担当者たちは、 アップグレードを決断する前に、そ れを使用して調べることにした。す ると驚いたことに、アプリケーショ ンの使用率ランキング・レポートか らWAN リンクの50 %以上をX Windows が占めていたのである。リ ンクしたサーバとクライアントのIP アドレスを特定した結果、東京のエ ンジニアがロンドンのサーバにアク セスしていたことが原因だと判明し たのである。

以上、海外の様々なユーザ事例を 見ても分かる通り、EcoSCOPE の詳 細なパフォーマンス測定と優れたレ ポート機能は、アプリケーション・ パフォーマンスの問題の原因と解決 法を理解するために必要な情報を提 供してくれるだろう。

*部署、役職名については本記事取材時点 での部署、役職名を使用しています。