私が気になる3つの技術



日本電気
光ネットワーク事業本部
副事業本部長
広崎 膨太郎




インターネットの爆発的な発展と IT 革命の急速な進展は、膨大なデー タ通信容量の需要を生み出しつつあ る。この膨大な需要を支えるのがオ プティカルネットワーキング技術で ある。DWDM (Dense Wavelength Division Multiplexing )などの技術の 発展により、光ファイバの通信容量 は飛躍的に増加しつつある。

そしてこの通信路容量の増大は、 本格的な電子コンテンツ流通の拡大 につながって行くものと考えられ る。そこで重要になる技術が、コン テンツ配信技術である。この技術の 利用により、ユーザにとって如何に ストレスの無い形でコンテンツを届 けることが出来るかどうかが、今後 のビジネスの鍵を握ることになる。

このようにネットワーク上にコン テンツが増加した場合に、次に重要 となるのが、データ(コンテンツ) の選択技術である。ユーザにとって は、如何に素早く必要なコンテンツ を見つけだすかが重要であり、また コンテンツの配信側にとっては、如 何に適切なターゲットユーザにコン テンツを届けられるかが重要であ る。このために、大量のデータから 必要なデータを発見する技術、つま りデータマイニング技術に注目した い。

オプティカルネットワ ーキング技術

DWDM 技術により既に100 波長 を超える光多重化が実現されている が、同時に個々の波長を通信路の1 つの単位「光波パス」として管理/ 制御する技術が必要になっている。 光波パスの制御技術としては、静的 なパス設定を行う光クロスコネクト 技術に加えて、動的なパス制御を行 う技術が注目されつつある。つまり、 通信容量の需要に動的に対応して必 要な大容量通信路をリアルタイムで 提供することを可能にする考え方で ある。特に、MPLS (Multi Protocol Label Switching )のシグナリング 技術を導入することにより、IP ネ ットワークとの親和性を図る技術 が、新たなオプティカルネットワー キング技術として注目される。

コンテンツ配信技術

一方コンテンツ配信技術について は、コンテンツサーバの分散配置、 ユーザの近くへのキャッシュサーバ の配置、サーバ負荷分散スイッチ技 術などにより、ネットワーク上にコ ンテンツを分散配置させるコンテン ツ配信ネットワークアーキテクチャ が議論されつつある。 特に、今年5 月にB C D F (Broadband Content Delivery Forum )という国際フォーラムが設 立され、本格的な議論が期待される。

データマイニング技術

データマイニング技術は、現在 WWW (World Wide Web )を用い たBtoC の電子商取引における CRM (Customer Relationship Management )やアンケート結果 の傾向分析、さらにはネットワーク の不正侵入検出などの広い分野に応 用されつつある。たとえば、学習理 論を応用した選択的サンプリング法 や新たな情報量基準によって顧客の 属性データベースを分析して、顧客 の嗜好を発見することにより、配信 するコンテンツのターゲティングを 行うなどの応用が考えられる。

21 世紀はライフサイエンスも含め、 膨大な情報・知識が世界的規模で体系 化され、新たな知見と知恵とを生み出 す時代と考えられる。ここで注目した 3 つの技術は、こうした来るべき知恵 社会を支える基本インフラ技術であ り、それだけに、ブロードバンドイン ターネット時代の多彩なビジネスを開 花させるキー技術であると考えている。




Brio Technology Japan
代表取締役
奥島 晶 子



私がこの5 年間関わってきたデータ ウェアハウスそしてBI の分野で最 も注目している技術が以下の3 つで ある。この3 つの技術を中核にした、 日本における分析ASP 事業の進展 を大いに期待している。

EIP (エンタプライズ・イン フォーメーション・ポータル)

EIP は標準のブラウザー技術を介 して、企業内外のユーザの意思決定 に必要なあらゆる「情報オブジェク ト(レポート、文書、スプレッドシ ート、データ・キューブなど)」に 容易にかつ透過的にアクセスするた めの、ウィンドウのような役割を果 たし、また分析ツールやアプリケー ションを「ダイナミックに実行」さ せ、あらかじめ設定されたレポート を生成・配信したり、新たなレポー トを生成することを可能にする。逆 オークションで有名なPriceline. com では45 ,000 社のパートナー企業 (航空会社、ホテルなど)がEIP を 通じて同社に接続し、消費者の要求 する商品・サービスの価格ポイント と自社の通常チャネルとのコンフリ クトの状況を分析したレポートを受 け取って分析、収益の最適化に生か すことでパートナー企業との共存共 栄を計っている。

分析アプリケーション

先に述べたEIP を経由して、社員、 顧客そしてパートナーに提供される 情報の提供方法も定型的なレポート から分析アプリケーションに進化し つつある。定型的なレポートの場合、 何故このような結果になっているの か?もう少し突っ込んで分析したい と思ってもそれ以上望めない。かと いって非定型な検索を実行するには データベースの内容やツールの専門 知識を駆使する必要がある。分析ア プリケーションはこうしたギャップ を埋めるもので代表的な分析パター ンとワークフローを予めモデルとし て組み込んであるガイドつきの分析 である。代表的なアプリケーション には企業の業績をいくつかの尺度で 多面的に評価し改善に導くパフォー マンス・ダッシュボードやバラン ス・スコアカードがある。1 で述べ たPriceline.com では各部門の社員 が管理すべき3 〜7 つ程度の指標を ダッシュボード型の分析アプリケー ションの形で提供し内容を2 分おき に更新している。

データマイニング

データマイニングは大量のデータ 群を分析して人間が気付かない隠れ た法則すなわち業務的に意味のある 関係やパターンを抽出する手法であ る。マイニングは定型レポート、非 定型検索、OLAP (多次元分析)に 代表されるBI (ビジネス・インテ リジェンス)と補完関係にある技術 で従来から併買分析や不正検知、信 用リスク管理等の分野で成果をあげ てきたが昨今のe-business の進展に 伴い、クリックストリーム情報など を元にネット上での消費者の行動を 分析して予測を行い、商品やサービ スの組み合わせを最適化するために マイニングの技術が利用され改めて 脚光を浴びている。マイニングは生 データを収集しツールを用いれば有 効な結果が得られると言うものでは なく、分析の目的に応じた形でデー タを整理し結果を業務の面で評価す る人間系の仕組みとノウハウが非常 に重要であり、企業内でこうした人 材を育成するあるいは初期には専門 業者のノウハウを活用することが成 功のポイントである。