生活支援ロボット普及に向けた共同研究を開始

人とロボットの共生社会を目指して

NTT, トヨタ 2017年9月25日

日本電信電話(以下、NTT)と、トヨタ自動車(以下、トヨタ)は、人の役に立ち、人と共生するパートナーロボット普及に向けて、NTTグループ各社が保有するAI技術「corevo®(コレボ)」と、トヨタが開発を進めているパートナーロボットの一つである生活支援ロボット(Human Support Robot:以下、HSR)を活用して、日常生活の様々なシーンにおける行動支援を実現する共同研究を開始した。

 

ロボットは、これまで工場等での作業代行を目的とした産業用ロボットを中心に発展してきたが、最近ではロボット掃除機に代表されるように、家庭内での家事や介護、子育て等を手伝ったり、コミュニケーション相手になったりするパートナーロボットに注目が集まっている。このような状況の中、NTTは、世界最高レベルの精度を誇る音声認識技術に代表されるメディア処理技術や、「R-env:連舞®(れんぶ)」を中心としたインタラクション技術等、ロボットを含む擬人化されたエージェントが人の言葉や表情を理解し、身振り手振りも交えて人との高度な対話を実現するAI技術「corevo®」の研究開発を進めており、メーカー各社と連携しながら、様々な特徴をもつロボットを、より身近な存在にする取組みを推進してきた。

一方トヨタは、将来、家庭の中で、人と共に暮らし、より豊かな生活を支援することを目的に、「小型軽量」、「安全・安心」、「簡単操作」を実現した生活支援ロボットHSRの開発を進めてきた。特に2015年からは、複数の大学・研究機関と連携した「HSR開発コミュニティ」を立ち上げ、HSRの機能向上に向けた技術開発を加速している。

今回の共同研究では、AI技術「corevo®」を組み込んだコミュニケーションロボットやHSR等を中心に、両社が保有する技術やノウハウを組み合わせながら、多様なロボットやその他デバイスを連携させることで、人の行動を先回りしてサポートすることができる技術の開発を推進していく。またイベント会場や商業施設向けサービスプロトタイプを作成し、来場者や実際のお客様に体験いただきながら、今後の実用化に向けた受容性・有効性の検証と技術課題の抽出を行い、人の役に立ち、人と共生するパートナーロボットの実用化促進と普及を目指していく。

 

本共同研究における各社の役割は以下の通りだ。

NTTは、NTT研究所が開発した音声認識・対話制御・音声合成技術をはじめとする、人とロボットの自然言語による対話を実現する技術や、ロボット他各種デバイスが連携することで、人とロボットの非言語インタラクションを高度化する技術(「R-env:連舞®」)を含むAI技術「corevo®」を提供するとともに、サービスプロトタイプを構築し、多様なシーンにおける生活支援ロボット活用に向けた技術課題の抽出を行う。

トヨタは、日常の生活支援に必要な以下3つの基本機能を有するHSRと関連ノウハウ、並びに技術検証に必要な実験フィールドを提供し、HSRの利活用範囲の拡大に向けた受容性・有効性の検証を行う。

  1. 落ちた物を「拾う」
  2. 手の届かない物を「取ってくる」
  3. 家族や介護者との「コミュニケーション」

2017年10月3日~6日に幕張メッセで開催された「CEATEC JAPAN 2017」NTTブースにおいて、サービスプロトタイプを出展(図1参照)。その後、ロボット関連イベントやショールーム等実フィールドでの実証実験を実施することで、HSRを中心としたロボット連携サービスの可能性を探る。またAI技術「corevo®」の利用環境を外部に公開しながら、その他のメーカーや大学等研究機関とのコラボレーションを拡大していくことで、人とロボットの共生に必要となる機能の洗い出しと技術開発を推進し、「かしこさ」だけでなく「やさしさ」を備えたパートナーロボットが、日々人に寄り添い、人に働きかけ、人の行動や成長を促す世界の実現を目指す。

図1 サービスプロトタイプ(CEATEC JAPAN 2017)イメージ

 

※平成27年版「情報通信白書」(総務省)より一部抜粋。

 

NTT持株会社ニュースリリース
http://www.ntt.co.jp/news2017/1709/170925a.html