NTTが日本ソフトボール協会と脳科学に関する共同実験協定を締結

スポーツ脳科学プロジェクト 日本ソフトボール協会と共同実験

NTT 2017年11月13日

NTTは2017年11月13日、日本ソフトボール協会との共同実験協定締結を発表した。

ソフトボールのトップ選手や若手選手の実験的・実戦的な計測を実施し、多様な能力を持つアスリートのパフォーマンスと脳情報処理の研究を進めるとしている。

 

背景

野球やソフトボールでボールを打つ動作は、投手からボールがホームベースに届くわずか0.5秒程度のうちに行われる。この短時間にボールの軌道を見極め、スイングするかどうかを決定し、ボールの軌道に合わせて最適なスイング軌道を生成する。

今回の取り組みの背景には、この一連の非常に複雑な処理が無自覚的(潜在的)な脳の働きにより行われており、そのような脳の働きがアスリートのパフォーマンスを決定づけているという想定がある。

2017年1月にはNTTグループのAI関連技術corevo®の研究開発の一環として、スポーツ脳科学(Sports Brain Science:SBS)プロジェクトを発足していた。

関連ニュースリリース
http://www.ntt.co.jp/news2017/1702/170207a.html

SBSプロジェクト
http://sports-brain.ilab.ntt.co.jp/index.html

 

SBSプロジェクトでは野球・ソフトボールに焦点を絞って脳の潜在的な情報処理のしくみの解明を目指しており、これまでにも、東京大学運動会硬式野球部、慶應義塾体育会野球部、日立ソフトボール部との共同実験を行ってきた。

2020年に向けてトップチームの強化に取り組む日本ソフトボール協会は、選手のパフォーマンスを多角的手法で測定し、脳科学的なアプローチから選手のパフォーマンス向上を目指す取り組みに強い期待を寄せている。また、、ソフトボールの競技力向上につながる新たなトレーニング法の確立につなげる狙いもある。

 

実験の概要

世界ランキング1位であるソフトボール日本代表チームの選手を計測し、トップレベルの打者の脳の使い方を調べる。

また、将来的な人材の発掘・育成・強化を目指して日本ソフトボール協会が進めている「GEMプロジェクト」における各年代の代表選手を継続的に計測する。これにより選手の成長に伴う能力の獲得過程を調べ、多様な能力を持ったアスリートの脳情報処理を総合的に解明していく。

NTT研究所のスマートブルペンでの投打対戦型の実験

NTT研究所のスマートブルペンにおいて、実際に投手が投げる投球に対して打者がどのような情報を使い、どのように判断し、どのように打撃動作が行われているかを調べる。

具体的には、投手、打者の同時モーションキャプチャを用い、球種の違いによる打者の反応を解析する。

VRを用いた打者の知覚と反応の実験

投球の途中で消えるボールや、実際にはありえない変化でタイミングを変えるなどした時の打者の反応を調べ、無自覚的に行われる打者の対応能力を明らかにする。

具体的には、実フィールドでは実現できない特殊な投球軌道や投球フォームなどをVRで作り出し、打者の反応を解析する。

VRを用いた打者の知覚と反応の実験

実戦での生体情報やパフォーマンスの計測

機能性素材hitoe®(東レ株式会社とNTTが共同で開発した生体情報を計測可能な機能素材)を用い、試合中の投手の心拍数の計測等により緊張状態を可視化する。

これにより成長や試合慣れによる変化、パフォーマンスとの関係性を調べ、試合に臨む最適な心の制御を科学的側面から追求する。

 

NTTによるニュースリリース
http://www.ntt.co.jp/news2017/1711/171113a.html