量子ニューラルネットワークをクラウドで体験可能に

NTT研究所がQNN計算装置のハードウェアや計算スケジュールの管理を担当

NTT, NII, 東京大学 2017年11月20日

NTTは2017年11月20日、国立情報学研究所(以下、NII)や東京大学などと「量子ニューラルネットワーク(以下、QNN)」をクラウド上で体験できるシステムを開発し、11月27日より公開すると発表した。

これに先立ち2016年10月には、内閣府 総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の、山本喜久プログラム・マネージャーの研究開発プログラムにおいて、現代コンピュータでは効率よく解くことが困難とされている組合せ最適化問題の解を高速に求めるQNNを開発したことが発表されていた。

この研究開発プログラムにNTTも参加しており、これまで大規模な光学実験装置であったQNNをデータセンター等に設置できる筐体に納めた、コンパクトなQNN計算装置を開発した。従来は困難であったQNNの長時間安定動作も実現した。一週間以上にわたり安定して大規模な最適化計算を実行可能であることが確認されている。

 

QNNを体験できるクラウドシステム

上記QNN計算装置を一般のユーザーに体験してもらうためにQNNクラウドシステムを構築し、2017年11月27日より公開を開始した。

このシステムは、ユーザーが直接触れるウェブページを提供するウェブアプリケーションサーバと、NTT物性科学基礎研究所に設置されているQNN計算装置との計算リクエスト・結果リスポンスのやり取りを制御する計算タスク制御サーバから構成されている。運営・管理はNIIの研究開発グループが行う。

QNNクラウドシステムの構成概要

このクラウドシステムにより、複雑で専門的技術が必要であった光学実験装置の調整を行うことなく、QNN計算装置を体験することが可能だ。

今回の公開では、大規模かつ難しい組み合わせ最適化問題の一つであるMax-Cut問題注1について、最大2000要素からなるQNNにおいて、全ての要素間に結合があるような難しいケースを解くことができる。

QNNクラウドシステムへのリンク
https://qnncloud.com/

 

  • 注1 Max-Cut問題(最大カット問題):複数のノード(点)と、ノードを結ぶエッジ(線)からなるグラフにおいて、ノード群を2つの部分集合に分割する際、異なるグループに属するノード間に張られたエッジの数が最大となる分け方を求める問題。

 

NTTによるニュースリリース
http://www.ntt.co.jp/news2017/1711/171120a.html