NTTデータ、RFIDタグを用いた医療材料トレーサビリティーの実証実験を開始

医療材料領域におけるオープンかつセキュアなプラットフォームの創出と標準規格の形成を目指す

NTTデータ, ボストン・サイエンティフィック ジャパン 2018年3月07日

NTTデータとボストン・サイエンティフィック ジャパン(以下、ボストン・サイエンティフィック)は、カテーテル等の医療材料領域において、製造販売業者、販売代理店・特約店が共同利用できるオープンかつセキュアなプラットフォームの創出と標準規格の形成を目指し、3月7日から実証実験を行うと発表した。

この実証実験では、医療機器製造販売業者が貼り付けたRFIDタグを用いて医療機器販売代理店・特約店や医療機関の利用状況を追跡することで、医療機関外からのリアルタイムな在庫/使用確認、受発注業務の迅速化を図り、販売代理店・特約店の業務効率化および製造販売業者の在庫削減や滅菌切れによる廃棄削減の実現を目的としている。

2018年4月までに本ソリューションの有用性を評価し、2018年度内をめどに医療材料領域の製造販売業者、販売代理店・特約店が共同で利用可能なプラットフォームサービスの提供開始を予定している。将来的には医療材料の使用実績と患者情報を紐付けて、医療機関におけるアウトカム(治療や予防による臨床上の成果)分析等のデータ分析にも利用できるサービス展開を目指している。

背景

現在、わが国では、カテーテルなど高額でさまざまな規格が存在する医療材料は、製造販売業者が代理店・特約店経由で医療機関に商品を一時的に預け、手術等での商品利用により医療機関が買取る預託販売形態と、代理店・特約店に直接販売し必要に応じて医療機関に販売する方式が主流となっている。このため、医療材料を販売している代理店・特約店は、医療機関が手術等に利用する商品の在庫不足防止と、医師や看護師に対し商品の使用を確認するために、医療機関を頻繁に訪問する必要があり、補充作業や受発注業務などに多くの時間を要している。また、医療費削減に向けて医療材料の償還価格が下がる中、製造販売業者も預託商品の棚卸しや機会損失、余剰在庫の増加、滅菌切れによる廃棄等を防ぐための受発注業務に時間を要しており、従来のやり方の見直しや業務効率化が大きな課題となっている。

この課題を解決するため、NTTデータとボストン・サイエンティフィックはこれらの業務効率化に向けたプロトタイプとなるシステムが完成したことから、RFIDタグを用いた医療材料トレーサビリティーの実証実験を開始するもの。

実証実験概要

この実証実験では、医療機器製造販売業者であるボストン・サイエンティフィックが商品にRFIDを貼付し、個別識別IDを記録することで、医療材料を取り扱う製造販売業者および代理店・特約店が一元的に預託販売商品と通常販売商品の情報が管理可能なサービスを提供する。これにより、医療材料預託と通常販売におけるRFIDタグの有用性と、製造販売業者、代理店・特約店における業務効率化の可能性について、検証を行う。

また、NTTデータのデジタル技術を活用し、モバイル端末等による在庫の確認や受発注予測機能を開発し、リアルタイムな在庫状況の見える化、医療機器製造販売業者の生産管理への情報活用と、サービス化に向けたプラットフォーム機能拡張の可能性について検証を行う。

3月7日~3月31日を実証実験期間、3月~4月を効果検証期間としている。

 

実証実験の概要

今後について

今後、2018年4月までに、本ソリューションの有用性を評価し、現場における声を反映させるとともに、2018年度内をめどに循環器、消化器、整形領域の製造販売業者、代理店・特約店が共同で利用可能なプラットフォームサービスの提供を予定している。また、SPDサービス(Supply Processing Distribution/物品物流管理)を行っている医療機関へ本サービスを広げ、医療消耗品等の不活性在庫・過剰在庫の解消、請求・発注業務の軽減、保険請求漏れを防止し、病院経営全体をサポートするソリューションを提供していく。将来的には医療材料使用実績と患者情報を紐付けて、医療機関におけるアウトカム分析等への活用を目指している。また、直面する人手不足や市場の課題を見据えつつ、両者は、医療業界全体で利用できる最先端のサプライチェーンを実現していくとしている。

 

詳細はNTTデータによるニュースリリースを参照
http://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2018/030700.html