毎秒100ギガビットの無線伝送を、世界で初めて新原理(OAM多重)を用いて成功(NTT)

5Gの次世代を実現する革新的無線通信技術を開拓

NTT 2018年5月15日

NTTは2018年5月15日、OAM(Orbital Angular Momentum:軌道角運動量)多重という新原理を用いて、毎秒100ギガビットの無線伝送に世界で初めて成功したと発表した。

OAM多重による毎秒100ギガビットは、LTEやWi-Fiのおよそ100倍、また現在予定されている5Gの5倍、という大容量の無線伝送に適用できる可能性を持つと期待されている。NTTは、2030年代の無線需要を支えるテラビット級無線伝送の実現を目指しており、今回新原理により作りだされる電波にデータ信号を乗せ、広く利用されている送信機と受信機の双方で複数のアンテナを用いて通信品質を向上する無線信号処理技術のMIMO(Multiple Input Multiple Output)技術を組み合わせて処理するNTT考案の方式により、飛躍的に大容量化を実現できることを実験室の環境で確認したという。

OAMとは、電波の進行方向の垂直平面上で位相が回転するように表される電波の性質の1つで、この位相の回転数をOAMモードと呼ぶ。OAMの性質を持つ電波は、送信時と同じ位相の回転数を持った受信機でないと受信できないため、それぞれのOAMモードに合った位相の回転数で受信できる受信機を用意すれば、互いに干渉することなく分離できる。この特徴を利用して複数の異なるデータを伝送する技術が、今回の実験で用いられたOAM多重伝送技術だ。

OAM多重伝送技術の原理

 

 

NTTは今後、更なる空間多重数の増加、伝送帯域幅の拡大を実現する研究開発に取り組んでいくとしている。また、今回の成果はOAM多重の可能性を示したものであるが、実社会で利用するためには、多様な環境における大容量無線伝送の実験評価、及びそこで顕在化する課題の解決が必要で、次のステップとして、屋外での伝送実験によりフィールドでの実現性を検証する予定である。最終的に本技術が利用可能になれば、コネクテッドカーやVR/AR(仮想現実/拡張現実)、高精細映像伝送、遠隔医療等が普及する5Gの次世代を実現する革新的無線通信技術に貢献し、無線による臨時回線、非圧縮8K/16K伝送、IoT等により増えるトラフィックの収容などの用途に利用することが可能になるとしている。

 

詳細はNTTによるニュースリリースを参照
http://www.ntt.co.jp/news2018/1805/180515a.html