●理想的なビジネスプラットフォームを構築するEAI ソリューション

企業におけるEAIソリューションの位置付けと
導入による戦略の方向性


■EAIの登場は時代の必然


 今日、国際テロの影響による景気の低迷に加え、企業会計数値そのものに対する不信感など、混迷の状態は世界規模で進行している。このような状況の中、円相場は乱高下を続けており、日本経済も膨張する政府債務、国債の格下げなど、かつてない深刻な事態となっている。加えて、企業規模にかかわらず「選別と淘汰」がますます進み、企業倒産、リストラ、早期退職制度等による高い失業率が、人々の不安を駆り立てている。

 このような厳しい経済環境のもと、企業は従来の方法論とは異なる、勝ち抜くための施策を必要としている。これまで多くの企業では、競争社会の動きをみながら半歩先んじた施策を打ち出し、シェアを獲得することを最優先として企業活動を行ってきた。しかし、今日の厳しい経済環境を勝ち抜くには、そうした他企業との関係よりも、M&Aなどの自社経営基盤を強化する施策を戦略的に実践するほうが先であるとの考え方が、先進的な企業の間で浸透している。具体的には、組織改革をはじめとした新たな事業体質を創造し、自社戦略による顧客への継続的な価値を提供していけるビジネス基盤を整備する。そして、拡大するブロードバンドインターネット環境を活用したグローバルビジネスをスムーズに展開していけるビジネスプロセスの構築こそが、勝ち組として生き残るために必須条件であるとの認識のもと、情報環境の再構築に取り組むことである。

 図1は、企業変革による勝ち抜くための施策と企業戦略を示したものである。「事業基盤&新体質の創造」「インターネットの最大活用によるグローバルビジネスの推進」は、企業のコアコンピタンスとネットワークビジネスに関わる戦略である。一方「絶対的な速度による顧客への継続的な価値の提供」は、企業内システムの統合や企業間システムの連携をはじめとしたビジネスプロセス統合による企業活動の最適化、情報化戦略による競争力の確保が、継続的な価値を提供していくということである。このような時代における戦略ツールとして、今、EAIが注目を浴びている。EAIは、これまで構築されてきたさまざまな情報環境の統合・連携をスピーディにしかも低コストで行うことを可能にしていることから、ビジネスシーンが大きく動けば動くほど、その役割はクローズアップされてくる。以下では、さまざまなケースにおけるEAIの必要性と、EAIを核とした戦略の方向性について考察してみる。


図1 企業変革による勝ち抜く施策と企業戦略

■企業環境とEAIの必要性

(1)ボーダレスな大競争時代

 各企業では、インターネット、イントラネット、エクストラネットなどを組み合わせた統合ネットワークを活用し、顧客、パートナー、グループ会社などとの新しいeビジネススタイルへの移行が今日の大競争時代を生き残る必須条件になっている。

 B2Bのマーケットプレイスによる各種調達、B2Cでの会員制メンバーによるオークション、逆オークションなどは、その参会者が多くなればなるほど、目的にかなったものが得られる機会が増えるので、企業の業務効率化、収益へ直接結びつく。

 これをバイヤーからみた場合、バイヤーは、安価で高品質な各種コンテンツ、資材、商品を入手するには、できるだけ多くの場に参加し、それぞれの場に多種多様なサプライヤーが多数参加していることを期待している。また、サプライヤーからみた場合は、流通経費を使わず地球規模のバイヤーに対して商品の販売が期待できることは、大きなメリットと可能性を引き出すことになると期待している。

 一方、企業からみた場合は、バイヤーであれサプライヤーであれ、eビジネス環境に1 日でも早く参入することが重要であると捉え、新しい情報環境と既存情報環境とで二重、三重の情報投入となることを防止するワンストップで業務遂行を可能とする、eビジネス系と既存業務、データべース群との統合による連携が不可欠であると感じている。

 EAIは、個々の情報環境との連携による業務統合化を得意とした技術であり、企業の情報化のために経営やITの変化に即応できる能力を提供する機能を装備していることから、eビジネスに参入する企業の情報アーキテクチャーの中核的な位置付けとして捉えることができる。

(2)合従連衡によるサバイバル戦略


 例えば金融分野では、金融ビッグバン以降、競争力と信用力の確保のためにM&Aが活性化し、銀行、証券、保険などの資本系列会社による縦の再編成・提携と、銀行同士といった資本関係がなく、従来は競争会社であった会社間の横の再編成・提携が進んでいる。また、インターネット接続されたお客様の急速な伸びに対応するために、リテールサービスの拡張やワンストップサービス化のためのSTP(Straight Through Processing)によるフロースルーの自動化が求められている。これらの縦・横の再編成・提携、STPなどが進展する中で、それぞれの企業の従業員、顧客に対して、一気に新しい情報化環境を提供することは困難なことである。そのため、変化に即応し、従業員、顧客への対応をスムーズに移行させること、再編成による新会社としての決算・連結の処理を特定の日時までに可能にすることが必要である。この統合化とスムーズな移行を容易に実現するのがEAIである。最近では、高機能EAIの普及をはじめ、攻めの経営を行う企業でEAI の特徴である「スピード」「柔軟性」の利点を重視して活用するケースが多くなってきている。つまり、高機能EAIを使用することで、ノンプログラミングでシステム開発が行えるうえ、カスタムEAIから高機能EAIへの移行といった投資の無駄を省くことができるのである。この点が、EAIが最大のROIを発揮するといわれる理由でもある。

(3)選択と集中


 例えば流通業界では、本格化するe ビジネス、eマーケットプレイス構築などへの取組みが活性化しており、サプライヤー、バイヤーの立場で主体的に展開している企業では、そのサクセスシナリオが検討されている。それぞれの企業では、既存業務内容の分析によるリストラクチャリング、アウトソーシング化を可能とするとともに、選択して継続する業務であっても従来の情報環境への投資を抑え、eビジネス装備化へ集中した投資が行われている。さらに今後は、異業種への参入・提携、視野の拡大も含め、B2B 、B2Cなどのeビジネス環境への投資が急務となっていることから、EAIによる業務の連携・統合の必要性がますます高まっていくことが予想される。

(4)部分最適で、かつ全体最適

 これまでの企業の情報化は、次の4段階で進展してきたと捉えることができる。まず、メインフレームによる本社最適のためのトップダウン的な機械化の段階。次に、お客様サービスの効率向上を狙った支店の最適化。そして、本社の各部門、支社、支店が各組織における業務最適化で、社内業務を意識した取組みが完成する。しかし、企業内だけでなく、他企業、インターネット取引など、全企業アクティビティを対象としたビジネスプロセスエンジニアリング(BPR)への取組みである4段階目が、企業活動の全体化へと導くことになる。

 これらのプロセスは、企業全体としての最適化を目指した情報環境構築であり、生き残るための取組みである。企業活動においては、本社、支社、支店などの部分最適と企業最適とをバランスよく整合させることが重要だが、EAIは、このような取組みを最も得意としている。

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(こちらは2002年12月号になります)

(この続きの内容)
■EAIを核とした戦略の方向性
■今後の展開

 

 


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