●今私が気になる技術と人材
 NTTコミュニケーションズ
 株式会社
 ITマネジメントサービス部
 与沢 和紀氏


より具体的なニーズを満たす技術と人材が、
お客様の業務に則したサービスを
提供していく最良の手段である。

新たな領域に向けたビジネスを推進

―はじめに、現在のお仕事についてお話していただけますか。

与沢 ITマネジメントサービス部は、私の前部署のEプラットフォームサービス部と、ソリューション事業部にてソリューションのアウトソーシングを担当していた部署とが統合して新設された事業部です。例えば、さまざまなネットワークインテグレーションやSIにより構築されたシステムは、その後、お客様のオフィスや建物、あるいは弊社のデータセンターにて運用されていきますが、その運用について専門的かつ総合的に取り組んでいくことが、我が部署のミッションです。これまでは、ネットワークおよびソリューションについて、個々の部門が取り組んでいましたが、お客様のシステム運用について全面的にサポートしていくために、関連部署を統合して対象範囲を広げ、さらに人員的にも拡大しました。

―情報通信キャリア、いわゆるオペレーティング・カンパニーを取り巻く環境は、サービスの低価格化など、厳しい状況にありますが。

与沢 同部署の設立の背景には、回線サービスの低価格化による売上の低下、コモディティ化といった市場状況への対応があります。このような市場の状況を踏まえて、我々オペレーティング・カンパニーは、回線を核としつつもサービス範囲を拡大して提供していくことが本来の事業でありますので、お客様にご利用していただいている回線から、その先のネットワーク機器、さらにはサーバーやPC等の端末までを総合的にマネジメント、メンテナンスしていかなければなりません。さらには、回線に接続されたキャッシュディスペンサーやレジスター、エアコン、KIOSK端末といった非IT機器についてもメンテナンス、オペレーションの対象に含めていくことも視野に入れています。

回線を取り巻くあらゆる技術に注目

―現在、関心のある技術についてお話していただけますか。

与沢 回線サービスを中心に事業を展開しますので、レイヤー3のテクノロジーには当然関心がありますが、前述したように、事業の対象が回線の先の部分、PCやサーバー、データベースソフト、さらにミドルウェア的なソフトウェアやパッケージソフトなども含まれてきますので、UNIXやLinuxのサーバーやデータベースについての知識や技術にも関心がありますね。また、各ソフトウェアのジョブごとの管理も行わなければなりませんので、これらに関連したツールとともに、それを扱える人材についても関心があります。さらに、非IT機器も対象となると、ファシリティー管理をするためのローカル・オペレーティング・ネットワーク(LON)をマネジメントするための製品にも注目していかなければなりません。

―ユーザーのPC やサーバーのマネジメントも行うとなると、セキュリティについても事業の対象に入るのでしょうか。

与沢 そうですね、セキュリティポリシーの策定も含めたセキュリティ管理についても取り組んでいきますので、ウイルスや不正アクセスについての侵入検知や、情報のアクセス管理に関連した技術、製品にも注目していきます。

―とても具体的な目的を持つ技術、製品に関心がありますね。

与沢 アウトソーシングサービスはユーザーの皆様の業務に直接的に関わっているものですので、当然、我々が求める技術も具体的なものになります。

緻密にプランを立ててアプローチ

―現在、関心のある人材についてお話していただけますか。

与沢 ご存知かもしれませんが、弊社では、全社員に対して「資格を取りましょう」という運動を推進し、目に見えるかたちで社員のスキルアップに取り組んでいます。しかし、私どもが担当しているIT系の部署では、事業方針に則した有スキル者が、まだまだ不足しているのが現状です。また、我々が目指している最終目標は、ビジネス・トランスフォーメーション・アウトソーシングですので、ユーザーの皆様に「仕事のやり方を変えていきましょう」というようなコンサルティングを行える人材を求めています。

 また、お客様一人ひとりのビジネスに対して、緻密にプランを立ててアプローチしていく、本来の“営業”のできる人材も求めています。特にプロジェクト・マネジメントのできる指導者層の人材については、とても関心がありますね。

インターネット検定の有資格者を適材適所に登用

―インターネット検定の有資格者を想定した人材登用のプランをお持ちだと伺いましたが。

与沢 NTTコミュニケーションズが行っている「インターネット検定(.com Master資格試験)」のビジョンの中には、IPマネジメントサービス部の方針とリンクした部分があります。例えば、データセンターにてオペレーティングされているサーバーや、ユーザーのPCやモバイル機器等について、遠隔操作でコントロール、モニタリングといったマネジメントについて即座に行うエンジニア。あるいは現地で作業を行うエンジニアやコールセンターにてユーザーからのお問い合わせに対応するオペレーターなど。このような人材について、.com Masterのシングルスター、ダブルスター、将来予定しているトリプルスターの有資格者で対応していこうと考えています。

 さらに、これまで確かな実績を持つ中高年者の方々の雇用対策の一環として、.com Masterのダブルスター以上の有資格者に、ユーザーのネットワーク・セキュリティの管理業務を担当していただくことも考えています。それは、セキュリティ・マネジメントを行う場合、管理者はユーザーのネットワークに深く関わることになりますので、その人材に対しては高い信頼性が求められます。この要求に応えるには、確かなセキュリティ・スキルとともに、その人物がもつ倫理観と確かな経歴が必要です。企業におけるネットワーク上の不正やデータ漏洩等の原因の80%は、内部からの犯行によるものといわれています。これを防ぐためには、信頼のある人材の登用と育成が不可欠だと思います。

―本日はありがとうございました。

(聞き手:本誌副編集長 菊地勝由)

 

 


Copyright:(C) 2002 BUSINESS COMMUNICATION All Rights Reserved