●注目を浴びる日本版ERPパッケージ/ソリューション−SCAW

【導入事例:SCAW人事・財務・生産管理システム】
仕掛かり在庫の減少と業務改革の徹底で
経営効率化を図る−信濃電気−


■パラレルで動く2つの旧システムをSCAWシステムにリプレース


 信濃電気鰍ヘ、ロボット、工作機械、各種自動機器等に使用される制御モーター、半導体製造装置等に使用される高速スピンドルモーター、およびそれらの駆動装置の生産を行っている。特殊環境用モーターの中でも、塗装ロボット用耐圧防爆モーターの開発や生産は業界随一であり、国内や海外で高い評価を受けている。

 同社は2000年6月に、21世紀に向けて企業として躍進していくために、長期経営計画『リニューアル21』を策定した。その目的は、事業運営を円滑に、かつ確実に実現するためにルールを再構築すること、そして経営基盤として情報システムを構築し、価値創造型経営に転換することである。その計画の一環として同社では、ERPシステムの導入を検討することとなった。

 SCAW導入以前に、同社で使用されているシステムは2つあった。一つは自社開発されて同社のシステムとして長年使用されていた「STAR」である。このシステムは販売管理、生産管理、財務管理、給与計算を業務範囲とする、バッチ処理メインの汎用機システムである。

 もう一つは95年から導入されていた「MOL2」である。このシステムは同社内で、生産管理において、部分的にMRP(Material Requirements Planning)を導入し、在庫最適化と短納期化を実現するクライアントサーバーシステムである。

 STARと後発のMOL2の間には、両システムを相互に連携する機能が不足していたため、情報の共有化が図りにくかった。また、STAR は汎用機でバッチ処理を行っているため、リアルタイムでの確認ができないという問題もあった。

■SCAW選定の理由は拡張性・柔軟性・低コスト

 同社は、これらの2 つのシステムを一元化し、業務のリアルタイム化、情報の共有化、業務の効率化を図るために、新たなシステムの導入を計画し始めた。そこで選定されたのがSCAWである。同社がSCAWを選定した理由として、同社の業務範囲をカバーしていること、システムの拡張性・柔軟性が十分保持されていること、低コストであり、既存システムからの移行が容易であることが上げられる。(MOL2はSCAW旧バージョン)

 同社は新規の全社システムの基幹業務としてSCAWの生産管理、財務管理、人事管理を採用し、PDM(Product Data Management)やグループウエアなどと連携して構築することにした。

 SCAWの各システムはそれぞれの業務特性により開発・設計が進められた。人事管理システムは一部旧システムをアドオンで使用し、平成13年7月から運用を開始した。財務管理システムはノンカスタマイズのまま同年10月から運用を開始し、そして生産管理システムは、カスタマイズとアドオンを行い、旧システムからデータを移行し、平成14年4月から運用を開始した。9台のSCAWサーバー群は長野県の茅野工場に置かれ、約130台のクライアント、PDMサーバーやワークフローサーバー、タイムカードサーバーや、さらに自動倉庫のピッキング装置などでシステムが構成されている。その上、東京本社や大阪営業所とはOCN回線で結ばれている。これらの構成により、情報をリアルタイム化、共有化して、全社的な効率アップを重要視した統合システムを実現している。

 SCAW導入によるシステム再構築で販売・生産・財務・人事の各管理業務を収束したことにより、情報の流通がスムーズになり、業務や経営に役立つ情報がすべて閲覧でき、同社のスピード経営の実現に大きく貢献している。


図1 全社的統合情報システムのイメージ


図2 システム概要図

■仕掛かり在庫の半減に大きく貢献するSCAWのMRP機能

 同社は以前から製番をキーにした多様な受注・生産形態(個別受注〜製品見込生産)で、生産管理を行っている。見込生産については、生産や部品調達が早過ぎると在庫コストが発生し、遅ければ顧客の納期要求に応えられない。

 つまり、販売/生産計画の精度が在庫コストを左右するということである。業務改革により、業務フローを変更し、営業担当者が立案する販売計画とリアルタイム連動して、見込生産を行うこととした。また、販売計画の見直しは、日常業務として行うこととした。
 SCAWの生産管理システムには、計画変更部分のみにMRP計算を行う「MRPネットチェンジ機能」や回答納期を算出する「MRP緊急展開機能」が備わっている。同社はこれらの機能を利用して、販売計画に基づき部品手配し、受注時に引当てる「先行手配方式」を実現した。

 また、製番管理機能を強化し、製番の進捗状況を一元化しステータス別管理を実現した。(製番登録→構成設計→工程設計→製造指示→緊急展開(回答納期)→出荷予定)

 これらの機能により、同社の生産管理は、計画変更に強く且つ情報が一元化され、また手配に関して政策的なコントロールが可能になり、仕掛かり在庫が減少してきた。MOL2導入時には、売上高が2億円/月に対して仕掛かり高が2.5億円生じていたが、現在は仕掛かり在庫の減少により、1億円に削減された。

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(こちらは2002年12月号になります)

(この続きの内容)
■SCAW導入を機に業務運用基準を徹底化

 

 


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