●注目を浴びる日本版ERPパッケージ/ソリューション−SCAW
 劾TTデータシステムズ
 取締役SCAW事業本部長
 佐藤 修三氏


【導入事例:SCAW生産管理システム】
地域の開発・保守部隊と段階的
システム導入による構築
−トリックス−

■工場を含めた全社内を統合管理する将来性に富んだERPパッケージ


 三重県鈴鹿市を本拠として複数の工場を持つトリックス鰍ヘ、本田技
研工業鰍フ一次部品メーカーとして、自動車用四輪、二輪車および汎用機の部品製造を行っており、部品開発からプレス、溶接、表面処理、出荷までを、一貫した生産体制で取り組んでいる。また、県下随一の表面処理システムを所持し、最新の自動倉庫による収納も装備している。その上、環境マネジメントシステムの国際規格「ISO 14001」と品質保証の国際規格「ISO9002」を津・津第二・鈴鹿の各工場で認証取得し、積極的な環境保全に取り組んでいる。

 工場が旧システムの管理下にあった頃は、業務及び生産管理担当者たちの多くが集中手動作業に頼っていた。運用面においても、製品の入出庫の流れを正確に把握できず、受注製品ごとの数量変更、納期変更にもシステムを利用した迅速な対応ができていなかった。したがって、完成品の納期から遡って製造進捗を推測するのが困難で、適正な在庫管理が出来ないまま、人間の勘と経験に頼った生産管理が主体であった。

 2001年の初めに、2002年中に主要顧客からトリックス社に流れるデータの配信形式の変更が決定し、当時使用していたシステムでは、この形式のデータを、正常に取込み展開するには大規模な仕様変更が必要になることが判明した。トリックス社はこれを機会に、各工場を含む全社内を管理するERPパッケージの導入を検討し始めた。

 トリックス社取締役管理部長の近藤吉宏氏は「弊社がERPパッケージを選定した基準は、将来の発展性を見極めているシステムかどうかだった。」と語っている。レスポンスが良いこと、柔軟にカスタマイズが可能であること、価格がリーズナブルであることが評価され、社内ERPパッケージにSCAW生産管理システムが採用された。

 また、SCAW生産管理システムの開発・保守サポートの体制が、トリックス社の近郊である名古屋にあり、ERPパッケージの内部情報を提供してもらったり、トラブル時には速やかに足を運んでもらえるという点も大きかった。開発・保守を担当している東海NTTデータ通信システムズ鰍ヘ、トリックス社の管理部ITチームを中心としたプロジェクトメンバーとの綿密な調査と打ち合わせを重ね、工程実作業レベルまで運用シミュレーションを行った。SCAW導入後も、徹底した運用説明と教育を実施した。

■二次元バーコードの利用で実績収集が省力化される

 トリックス社におけるSCAW導入は、2001年4月、システムの詳細設計から始まった。そこで当初より1年間でベースシステムを構築することを定めて、以後段階的に拡張する方式で、システム全体を構築するように策定した。

 まずBPRを兼ねて、課題の抽出およびシステムの要件を全社的な観点から洗い出した。そしてSCAW生産管理システム及び関連サーバー、クライアントを設置し、全品目マスターの整備・登録から実施。その後、全製造工場にPCを配置してSCAW生産管理システムを組込み展開した。また、取引先と現場との運用ルールも整備した(注文情報、実績情報、統一帳票化、検収・支払情報等)。次に仕入先・取引先とのWeb-EDIによるネットワーク構築を行い(図1)、さらに新物流センター内の製品自動倉庫システム稼働に合わせて、このシステムとデータ連結し、全システムが統合されて一括で処理できるようになった。現場では、バーコードハンディターミナルを活用して、各帳票、現品票の処理自動化及び業務分散化を実現した。例えば現品票は二次元バーコード(QRコード)を利用して実績情報を収集すると同時に現場サイドで次工程用現品票をその場で発行、添付するようにした(図2)。さらに、工場内に配置されたPCから自工程の計画、実績などの進捗管理ができる様にした。こうしてすべての構築を2002年6月に終えて実稼働に入った。

 導入後の効果として、トリックス社は、ペーパーレス化を推し進めて生産計画・実績収集を標準化し、発注業務や売掛・買掛業務の効率化を 実現した。また取引先側でも、受注業務の効率アップが可能となり、業務プロセスや統一帳票を使用した納入管理業務の標準化が実現された。


図1 システム構成図


図2 二次元バーコード活用よる実績収集(右下は二次元バーコード付き現品票)

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(こちらは2002年12月号になります)

(この続きの内容)
■データ分析ができる原価管理構想と次なるステップ構想

 

 


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