●ネットワーク・アプライアンスの革新的ストレージ製品戦略

SAN/NAS統合とNetApp統合ストレージ・ソリューション


■ネットワーク・ストレージはSAN/NAS統合の時代へ

●SANとNASの相違点

 ストレージ・システムでは、可用性とパフォーマンスの向上、さらにはデータを保護するために、ひとまとまりのディスク群が通常1つのRAIDアレイにグループ化される。しかしSAN とNASでは、ストレージのホスト・システムへの提供方法が大きく異なっている。

 SANシステムでは、ストレージをロジカル・ユニット(LUN)に分割し、直付けの単一ディスクの場合とほぼ同じ方法でホストに提供される。LUNは比較的少数で、サイズは比較的大きく設定される。また、通常はサイズを変更せず、ブロック単位でしかアクセスできない。

 これに対し、NASシステムでは、ストレージを静的なLUNのセットではなく動的なファイルのセットと
して提供する点が、SANシステムとの決定的な違いである。ファイルは簡単に作成/削除/更新でき、階層的なディレクトリーに保存される。NASのデバイスは、数十または数百のLUNではなく、数千から数百万のファイルを管理する。このためNASシステムでは、SANシステムの単純なLUN管理に代わり、 複雑なファイル及びディレクトリー管理が必要になる。

●SAN/NAS システムの集約

 SANとNAS両方のプロトコルに対応する最も簡単な方法は、企業のITインフラの中に存在するSAN及びNASデバイスを併設することだ。長年、この形態のコロケーションが企業のデータ・センターで実施されている。しかしこの方法は、SAN及びNASが独立している環境という点で、次のような問題がある。

・独立したデバイスごとに、異なる管理インタフェースが必要。
・それぞれのバックアップ方式に互換性がない。
・ディスク領域をこれらのプラットフォーム間で共有できない。
・各ディスクがSAN またはNAS デバイスのいずれかの配下にあるため、使用可能なディスク群全体のスループットによるアプリケーションの作業負荷の分散ができない。
・アプリケーションを一方の環境から他方の環境へ移動するには、大幅なインフラストラクチャの変更が必要になる。

 このような課題解決には、SAN/NASのストレージ・システム環境の集約化が必要だ。このためSANのストレージ・ベンダーを中心に、SANデバイスの前にNASゲートウェイを配置することでSANとNASを集約するアプローチがとられた。つまり、図1のように、NASゲートウェイ・デバイスでSANとNASプロトコルをブリッジする方法だ。


図1 NASゲートウェイ・アーキテクチャー


 ゲートウェイを使用する方法は、異種システムの単純なコロケーションに比べ、SANとNASシステム間相互で双方向のストレージの再割当てが行えるとか、大規模なSANシステムでNASアプリケーションにも対応できるといった利点がある反面、集約化によるコスト削減効果が余り期待できないとか、パフォーマンスが悪いなど短所も多い。

■NetAppの革新的なSAN/NAS統合テクノロジー

 ネットワーク・アプライアンス社(NetApp)は、NASゲートウェイを凌駕する革新的な統合ストレージ・システムとして、SAN/NAS双方のプロトコルを単一のアーキテクチャー内の複数のピアとして統合することにより、業界で初めてファブリック接続型ストレージ(FAS)でSANとNASの統合を実現した。

 NetAppの統合ストレージ・アーキテクチャーは、図2に示すようにディスク、RAID、及びバッファ・キャッシュが全てのストレージ・システムと同じように階層化されている。バッファ・キャッシュの上には領域を管理するストレージの仮想化を司る階層が、その上にはLUNとファイルの両方のデータアクセスを司る管理層がある。


図2 NetAppの統合ストレージ・アーキテクチャー


 この革新的なアプローチには、次のような大きな利点がある。

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