●個々の力と、連携の力と、ITはいま、グループ戦略へ。NTTコムウェアグループ発進
 NTT コムウェア株式会社
 代表取締役社長
 松尾 勇二氏


INTERVIEW
地域が独り立ちすることでコムウェアの力が倍化する


2002年9月に創立5周年を迎えたNTTコムウェア株式会社(以下、
NTT コムウェア)は、同年10月、地域に密着した経営による競争力強化と市場の拡大を図るため、新たに設立された地域会社の営業を開始し、NTT コムウェアグループとして発進した。今回、設立された地域会社は、NTTコムウェア北海道株式会社、同東日本株式会社、同東海株式会社、同西日本株式会社、同九州株式会社の5 社。これに、ビリング分野、印刷・配送分野におけるソリューションを提供するNTTコムウェア・ビリングソリューション株式会社(2001年4月設立)と、コンビニVAN・情報システム開発等を手がけているNTTインターネット株式会社(2001年9月協業開始)、そして、グループ各社を統括するNTTコムウェアを加えた8社による新体制となった。

本稿では、グループ経営の狙いと行動指針「CoACTS(協働する)」に基づいた事業展開等について、NTTコムウェア椛纒\取締役社長の松尾勇二氏にお話を伺い、また、グループ各社の概要と事業の特徴等について紹介する。

■基礎固めの段階から成長軌道へと移行する段階に

――2002年9月に創立5周年を迎えましたが、はじめに、現在の事業の構成について、お話していただけますか

松尾 事業開始から3年ほどは、NTT再編への対応があり、続いて2000年問題など、NTTグループからの受託業務で手いっぱいという状態が続いていました。これを経て、2000年11月に社名を現在のNTTコムウェアに変更し、NTTグループ以外の一般市場に向けた対応を本格化するために組織を大幅に改編。以来、営業部門の強化や新規顧客の開拓を精力的に推進してきました。その結果、2001年度の決算では、売上高4,300億円、経常利益が130億円ですが、売上高ベースで20%、受注ベースで30%がNTT再編4社外での占めるようになりました。

――2001年5月にお話をお聞きした際に、2003年度受注ベースで4,500億円、その内40%をNTT再編4社以外で獲得したいと言われていましたが、この目標についての手応えを、どのように感じていらっしゃいますか。

松尾 これまでは、「社名を知っていただく」といったことも含めた、一般市場に対して本格的にビジネスを展開していく基礎固めの段階でした。これからは、いよいよ成長軌道へと移行する段階に入りますので、その数字は十分達成可能だと思っています。

――御社がどのような会社であるかということは、テレビCM等のPR効果で、かなり広く衆知されたのではないでしょうか。

松尾 まだ十分ではないですが、NTTコムウェアという社名はかなり衆知されたようですね。しかし、当社が「どういうことを提供できるのか」といった事業内容については、まだまだ知られていないようですので、広報宣伝活動については、会社の「中身を知ってもらう」方向へとシフトしていきます。

■2006年度までに売上高を現在の2倍の8,000億円にする

――一般市場の中で、特にフォーカスしている分野はありますか。

松尾 金融機関や地方自治体等があげられますが、特徴的なものとしては、NCCがあります。例えばTTNetさんの輻輳を制御するシステムを当社が構築しました。これは、着信輻輳という特定の交換機に全国から電話が集中して、ネットワークの麻痺を防ぐものです。TTNetさんは、こうした現象で困られた経験があったようで、それを「何とかコントロールできないか」との相談を受けました。このように当社の強みを生かして、他の情報通信キャリアの仕事も積極的に手がけたいと思っています。当社の特長は、インフラ部分である通信ネットワークの構築、管理、運用に強いことです。その中でも注力しているのが、IP網と電話網を統合するVoIPです。もちろん、NTTグループに対してもVoIPのビジネスの話をしていますが、NTTグループ以外の情報通信キャリアでも同じような取組みがあり、企業内の通信手段としても有効ですので、当然、ターゲットとしていく市場です。

――ソリューションについては、何か注力しているものはありますか。

松尾 ERPパッケージを利用した人事・給与システムがあげられます。既にNTTビジネスアソシエと協業して、NTTグループの構造改革により新設された108社の新オペレーション会社に対して、システムを構築・納入しています。このソフトウェアは、ASP形態でWeb上での利用としたため、会社ごとに構築するシステムと違ってコストが安く、品質も良く、これまで、NTT、NTT東日本、NTT 西日本、NTTファシリティーズなど、約20万人に対してサービスを提供しています。昨今、企業の合併や再編などで多くの企業が人事・給与システムを見直す必要に迫られていることから、こうした巨大なマーケットは、大きなビジネスチャンスだと捉えています。

――このようなことから、2003年度の達成目標である受注ベースで4,500億円、40%をNTT 再編4社以外で獲得することは「間違いない」と感じていらっしゃるのですね。

松尾 それほど簡単に達成できるとは思っていませんが、当社は経営ビジョンとして、2006年度までに売上高を現在の2倍の8,000億円にするという目標を掲げています。これは売上高というより、今より2倍の成長を遂げて、IT業界で確固たる地位を築かなければ達成できません。そのためにも、売上高4,500億円、40%をNTT再編4社以外で獲得するという数字は、当然クリアしなければいけないということです。


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(こちらは2002年11月号になります)

(この続きの内容)
■地域が独立することでコムウェアの力が倍化する
■全社員が一丸となって意識改革を
■グループ全体のシナジー効果が出るような経営を推進

 

 


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