●NTTデータの先進的イメージ&GIS/ITSソリューションの全貌
 劾TTデータ
 ビジネス開発事業本部
 イメージソリューション
 ビジネスユニット長

 高石 哲氏


【インタビュー】
衛星画像処理という尖った技術と、
高付加価値コンテンツでビジネスを拡大


 衛星画像処理という非常に尖った技術をコアに、フロンティアなビジネスを展開しているNTTデータ・ビジネス開発事業本部のイメージソリューションビジネスユニット。衛星画像をベースに、高度な画像処理・解析技術を駆使して付加価値の高いコンテンツ提供ビジネスを展開するイメージソリューションBUの最近の取組み状況を、高石哲BU長に聞いた。

■フロンティアな衛星画像ビジネスを展開

―まず、イメージソリューションビジネスユニットの概要からお聞かせください。

高石 私どもイメージソリューションBUは、血脈としてはNTT研究所のファクシミリ開発の血筋をひいています。いわゆる画像処理技術ですね。この画像処理技術は、ビデオテックスサービスであるNTTのキャプテンに活用されました。私どもでは、画像処理技術をコアに、衛星で撮影した画像の解析処理や、地上系カメラからの情報の解析処理を中心としたビジネスを展開しています。衛星画像処理については数年前からビジネスへの取組みを始めましたが、2002年からはマルチソース(複数の衛星、情報源)という観点で、ライセンスを取得した複数の衛星を使って、本格的なビジネスを開始しています。私どものイメージソリューションBUは、自らコンテンツの著作権を持ってビジネスを展開することをコンセプトにしており、ある意味では放送に近い分野だと思います。著作権を持つというのは強いですから…。

―主要ミッションは。

高石 衛星を使ったビジネスには、現在、通信・放送、GPS、地形観測の3つがありますが、衛星画像ビジネス自体が非常にフロンティアな事業領域です。研究所レベルでは10年以上取り組んできて、やっとマーケットが生まれてきたかなという感じです。極めてフロンティアなビジネス領域ですが、図1に示すように、今後非常に広範囲な分野での活用が期待できる分野です。私どもは、衛星画像処理という尖った技術をベースに付加価値性の高いコンテンツの提供で、会社全体のビジネスを拡大することが最大のミッションです。


図1 衛星画像の利用分野

■衛星画像に付加価値を付け著作権を持ったコンテンツビジネスを展開

―具体的なビジネスについてお聞かせください。

高石 まず、「Geoコンテンツサービス」ということで、米国のOrbView衛星、フランスのSPOT衛星、イスラエルのEROS衛星などの複数の衛星から、ニーズに合わせた最適な衛星画像をタイムリーに提供しています。画像の提供とともに、図2 に示したように画像解析で得られた情報や関連する情報と組み合わせ、付加価値性の高いコンテンツを提供しています。また、衛星によって日本全土を撮影/整備した画像地図データである「BASEIMAGE」を用いて、図3に示すような付加価値ビジネスを行っています。

 
図2 「Geoコンテンツサービス」の概要
  図3 衛星画像を核にした付加価値ビジネスへの取組み

―衛星画像は、天候の影響もあるし、いつ画像が入手できるか分からないといった問題もあるようですが。

高石 確かに従来の衛星サービスでは、そういった問題がありましたが、私どもでは、@被雲予測システムの構築、A地上局(受信局)の設置・運用、B衛星運用会社との緊密な関係、C計画的アーカイブの実施によってタイムリーに画像を提供しています。

―衛星画像サービスのメリットは。

高石 衛星画像の良いところは、デジタルであり、人間がいけないところ、赤外線などのセンサーで人間の目では見えないところも撮影できる。つまり、非常に広い範囲や不可視の領域を見ることができます。しかも複数衛星の特性をうまく使うことで、用途に応じていつでも、見たいものが見える。様々な衛星の特性を理解し、うまく活用するといったところが私どもの強みですね。

 また、正確な地図を作るためには非常にコストがかかります。航空写真の場合、航空機のゆらぎを補正してデジタルにするのにコストがかかります。お金の話をすると、アナログの航空画像だと10かかるのが、衛星だと1でできるというメリットがあります。さらに、衛星画像は2つの方向から撮影することで、人間の目と同じように高さ方向のデータも撮ることができます。この高さ方向のデータを利用して3D画像の作成が可能です。ただし、日本国内の場合は、国土地理院が持っている高さデータを活用して3D画像が作成できます。私どもでは、衛星画像に独自の解析処理で地形を立体化した3Dバーチャル空間コンテンツ「OverScene」を、高速3次元ビューア(Windows環境)とともに提供しています。

―3Dコンソーシアムという組織ができ貴社も幹事会社になっている。

高石 3D映像の本格的な市場形成と拡大・発展に貢献することを目的に、今年の3月に3Dコンソーシアムという組織を作りました。現在、デバイスメーカー、ソフトウェアハウス、SIer、CSP、映像プロダクション、学術団体など、100社近くが参加しており、私は、幹事会の中のコンテンツ部会のリーダーをやっています。

■今後のビジネスを展開

―今後のビジネス展開について、お聞かせください。

高石 衛星画像を利用した付加価値コンテンツビジネスに加え、高度な画像解析処理技術を利用して、カメラ映像をベースにした高精度のリアルタイム人数計測のパッケージ商品「UVIT(Ubiquitous Vision Technology Series)人数計測」というパッケージ商品を提供しています。これは人の動き情報からより高度なマーケティングやセキュリティに活用していただけるものです。衛星画像の解析技術はもっと広がっていくと思います。例えばタンパク質の含有量は衛星画像の解析から分かるので、お米のおいしさが予測できます。画像解析技術を利用して、植生解析を行い森林管理業務に役立てたり、農地の管理や作った人のデータまで取りますよというところまで、手を広げていきたいですね。いずれにしても、衛星関連のビジネスは今後10年間で大ブレークする可能性のあるビジネスです。宇宙ビジネスとリンクして弊社が成長できればと考えています。

―本日は有り難うございました。

(聞き手:本誌編集長 河西義人)

 

 


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