●NTTデータの先進的イメージ&GIS/ITSソリューションの全貌
 劾TTデータ
 ビジネス開発事業本部
 GIS ・ITS ビジネスユニット長

 和田 泰之氏


【インタビュー】
4層モデルに基づくGISビジネスの
推進と交通ソリューションの提供に注力


 空間データ流通技術・G-XMLやGPS技術を活用したGISソリューションに加え、電車・バスのICカード乗車券や道路・自動車におけるITSなど、先進的なシステムをインテグレートし、ソリューション提供するNTTデータ・ビジネス開発事業本部のGIS・ITSビジネスユニット。公共分野をはじめ様々な分野での導入が進んでいるGIS・ITS分野における最近の取組み状況を、和田泰之BU長に聞いた。

■社会情報インフラとしてのGIS・ITSに関連するビジネスを展開

―まず、GIS・ITSビジネスユニットの概要からお聞かせください。

和田 私どもの所属するビジネス開発事業本部のGIS・ITSビジネスユニット(BU)は、G-XML やGPS技術などを活用したGISシステムに加え、VICS、DSRC、ICカード汎用乗車券といった道路・交通関連システムの開発を行いながら、同時に新規ビジネスを開拓し、BUのコアとなるものに育てていくというのが主要なミッションです。ビジネスの領域としては、GISについては、図1に示すように、4層で構成されるGISビジネスの中で、特に第3層の「コンテンツ流通プラットフォーム」を武器に、社会情報インフラであるGISシステムの開発、並びに新規ビジネスの開拓を展開しています。また、ITSに関しては、VICS、DSRC、鉄道・バス汎用乗車券システムが当面のビジネス領域です。


図1 GISビジネスの4層モデル

―GISの市場はどの程度ですか。

和田 GIS事業に関わる民間企業を中心に構成されているNSDIPA(特定非営利活動法人国土空間データ基盤推進協議会)の試算では、2010年には6兆1,400億円の市場規模が見込まれています。このうち、カーナビや携帯電話による地図情報サービスといった民間業務市場が約3兆6,500億円、自治体業務市場が約3,000億円、国の業務市場が約800億円となっています。GISが高度情報化社会における重要なアプリケーションと位置づけられ、自治体や国の業務での利用が拡大傾向にあるのは間違いないわけですが、やはり民間での利用がGIS市場全体を牽引しているといえますね。

■GISビジネスはターゲット分野ごとに5つのグループを結成

―具体的にどのようなGISビジネスを展開しているのですか。

和田 GISの具体的なビジネスについては、中央官庁、地方自治体、法人、不動産、GPSの5つのグループでビジネスを展開しています。具体的なソリューションについては、図2を参照していただければと思います。


図2 GIS・ITSビジネスユニットが提供するソリューションの概要

―GIS ビジネスの特長及び強みは。

和田 私どもの特長は、NTTデータが開発した空間データ流通技術(Geointegration)やG-XML、GPS技術を活用して、様々な分野でシステム構築・アプリケーションサービスを行っているほか、イメージソリューションBUとの連携による衛星画像などのコンテンツ提供も行っている点です。特に、G-XMLは地図データを異なるシステム間で流通させるための標準仕様であり、空間データ流通技術(Geointegration)は、このG-XMLを活用しています。これを使って、自治体同士のGISの相互接続やスムーズなデータ流通を支援したり、携帯電話やカーナビ向けに、地図をベースとした位置情報コンテンツを広く配信したりしています。また、コンシューマ・モバイル用途の単独測位GPS(精度10m程度)から、GPSリアルタイムネットワークシステム(RTD)を利用した精密測量・地殻変動監視用の高精度GPS(精度o〜p)まで、広範囲な位置情報ソリューションを提供できるというのも特長であり強みです。

―貴社ではかなり以前から、GISの最終形態は、国家型GISであるといわれていましたが。

和田 私もことあるごとに、地図に関連した様々な空間データを、国、地方自治体、民間企業、国民が自由に利活用できる「地域空間ITセンター」の必要性を説いています。そ
のためには、空間データの流通技術が必要で、そのプラットフォームがG-XMLです。時間はかかるかもしれませんが、官民で共通して利用できるような空間データの整備とそれを自由に利用可能な環境の構築は絶対に必要であると思います。

■ITSは3つの領域でビジネスを展開

―ITSビジネスについてはどのように取り組んでいますか。

和田 交通関連のソリューション提供という観点で、多岐にわたるソリューションやサービスを提供しています。当面のビジネスの領域として、大別して次の3つに注力しています。一つは、VICS交通情報に付加価値を付けて提供したり、VICS交通情報コンテンツを蓄積し、渋滞を予測するサービスなどのVICS関連ビジネスです。2つ目が高速道路のETCで利
用されているDSRC(狭域無線通信)技術を利用したIBA(ITS ・DSRC Business Planning Association)事業、3つ目が電車・バスのICカード汎用乗車券・定期券システムです。

―VICSデータを活用した渋滞予測というのは面白そうですね。

和田 これはNTT研究所の技術をベースにしたもので、VICSセンターからの交通情報コンテンツをサーバに蓄積しておいて、渋滞予測エンジンによって、未来の渋滞を予測するサービスで、現在開発中です。

■今後のビジネス展開

―今後のビジネスの展開は。

和田 ITS分野では、前述したVICS、DSRC、交通ICカードビジネスの3つを中心に選択・集中して取り組んでいきたいと考えています。カーナビが市場に出て10年、台数は1100万
台、VICSは660万台、ETCは昨年から開始して、既に100万台、スピードだけでみるとETCのほうが普及が速い。カーナビと同じようなビジネスモデルがETCでも起こり得ます。つまり、自動料金収受だけではなくて、他のビジネスとの連携により、多目的に使えるとか、付加価値サービスをつけることによって普及が進むと思っています。またGISの分野では、リアルタイム防災システムといった、RTDをコアにしたリアルタイムモニタリングの社会情報インフラを作りたいと思っています。さらにe-japan戦略Uにもありますように、「国土空間における正確な位置を知ることができる環境の整備」等に関わるビジネスもおもしろそうですね。この場合、ビジネスのポイントは、“Timely&Locatinally”だと考えています。

―本日は有り難うございました。

(聞き手:本誌編集長 河西義人)

 

 


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