ADSLやCATV、FTTHなど高速・広帯域な加入者網の急増により、ブロードバンド化が急速に進んでいる。とくに企業においては、10/100Mbpsからギガレベルの高速インターネットアクセスが可能なイーサネットサービスに期待が高まっている。

 このようなことから、ブロードバンドの拡充とともにバックボーンとメトロ・ネットワークにおける高速化、大容量伝送システム化への要求はさらに高まり、既存システムの有効利用と新たな技術とをうまく融合させていくことのできるソリューションの提供が今後のメトロ・ネットワークを支える重要な“鍵”になるといわれている。

 本稿では、ネットワークの新たな情報環境である「MAN(Metro Area Network)」の市場動向と今後の展開、各社のサービスやソリューション、製品等の取組みについて紹介する。


ダークファイバーの開放で新たなネットワーク「MAN」が誕生した

 近年、一般の家庭にも8MbpsのADSLや100MbpsのFTTHなど、これまでの56kbpsのモデムや64kbpsのISDNとは比べものにならないほど高速化されたブロードバンドのアクセス回線が普及している。企業においては、さらに高速な1ギガビットのイーサネットがアクセス回線として提供されている。このようなアクセス回線のブロードバンド化にともない、そのアクセス回線を束ねる通信事業者のバックボーンでも高速化が進んでいる。これを支えるのが、「MAN(Metro Area Network)」と呼ばれるメトロ(都市圏)・ネットワークである。

 アクセス回線の主流がISDNを含めた電話回線だった頃は、現在のMANと呼ばれるネットワークの多くは156Mbps 程度の回線容量をもつ光伝送装置で構成されていた。当時は、MANという呼び方よりも「アクセス網」と呼ばれることが多く、同じ光伝送装置を用いて電話回線だけでなく企業向けの64k〜6Mbpsの専用線や、IPを中心としたデータ系のトラフィックを収容するフレームリレー、ATMサービスのアクセス回線が多重されていた。アクセス網は、この区間に光ファイバーをもっている地域通信事業者によってつくられ、光ファイバーをもっていない長距離通信事業者は、地域通信事業者のサービスを借りてアクセス回線を提供していた。

 この構成が一変するきっかけとなったのが、2000年12月にNTT東日本・西日本が行ったアクセス網でのダークファイバーの開放である。以来、これまでアクセス網をもっていなかった通信事業者も、ダークファイバーを借りて光技術が投入された機器を接続することにより高速で安価なメトロ・ネットワークを短期間で構築できるようになった。この新たなネットワークが、MANとして注目されるようになったのである。

 ダークファイバーの開放をきっかけに、ビジネスが集中する都市圏にターゲットを絞った通信事業者の参入によりMANの構築が広がっていった。また、ユーザーへのアクセス回線にもダークファイバーを用いることで、これまでLANの世界で使用されていた高速なイーサネットを直接アクセス回線として安価に提供できるようになった。こうして、多くの通信事業者がユーザーのアクセス回線からバックボーンまでを自ら構築したネットワークを使用してサービスを提供し始めたのである。MANの誕生は、ネットワークだけでなく通信事業者が提供するサービスをも変革した。

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