NTTオートリース(株)
代表取締役社長
中嶋登喜雄氏
 

サービスの高度化で、オートリース業から
車の総合管理サービス業へ


堅調に市場拡大するオートリース業界にあって、事業が拡大基調に乗り始めたNTTオートリース。さらなる飛躍に向け、資金の効率的運用と車両の維持管理サービスの提供というオートリース業から、車の総合管理サービス業への脱却を目途に、テレマティクスをはじめとするサービスの高度化に取り組むNTTオートリースの最近の状況について、中嶋登喜雄社長に聞いた。

NTTグループ外の一般法人ユーザー
拡大で、事業は拡大基調に

―ようやく景気回復の明るい兆しが見え始めたとはいえ、まだまだ先行き不透明な経済環境下にあって、オートリース市場は昨年同様、相変わらず堅調に拡大しているようですね。

中嶋 日本の自動車保有台数もここ数年、年間100万台程度ずつ増加しており、平成15年10月現在で7,760万台を超えるまでになっています。その中でリース車両の占める割合は3.4%(260万台)であり、自動車リースの普及はまだまだ拡大できるものと考えられています。
 景気の先行き不安が払拭されない経済環境下で、今年の1月〜12月までの自動車リース契約台数は117万台を超えており、一昨年同期比4%増を示しています。市場の伸びはやや鈍化しているものの自動車リース市場は堅調に推移しています。

―昨年、中嶋社長は「事業をいかに拡大基調に乗せるかが重要」と言われましたが、経営概況はいかがですか。

中嶋 NTTグループの車両管理会社として、1987年2月に発足して以来、主にNTTグループ会社関連を中心として拡大してきましたが、昨年お話したように、2002年のNTT構造改革において、契約車両台数が激減しました。しかし、一般法人のお客様へ営業活動を拡大し、販売体制・社内体制・仕事の仕組みなどの環境整備を図り、NTT構造改革による影響をカバーしてまいりました。平成15年度末における取扱台数は8万台となる見込みで、取扱台数も拡大してきております。その意味では、事業拡大に向け起動がかかり、さらに拡大基調に乗り始めたといえます。

一般法人ユーザーのさらなる拡大と、マイカーのリースにも注力

―拡大基調に乗り始めた段階から、さらに大きく飛躍するために、今年はどのような施策を展開されるお考えですか。

中嶋 昨年同様、NTTグループ以外の一般法人ユーザー市場をさらに開拓したいと考えています。そのため、一般法人のお客様への営業活動を強化するに当り、平成16年度当初から走り出せるように、今年の1月1日に組織体制の見直しを実施しました。

―どのような体制にされたのですか。

中嶋 間接部門から営業部門へのパワーシフトを行うとともに、営業担当とサポート担当を同一組織内に配置して、迅速・タイムリーな支援によって、営業効率をできるだけ向上させるような組織体制にしました。

―マイカーの分野については、いかがですか。

中嶋 個人のお客様向け「リースDeマイカー」は、ここ数年リース業界のトップを走り続けています。平成15年末現在、約1.8万台のご契約をいただいています。今後、NTTグループ社員はもちろん、各企業の社員様に向けて積極的な販売活動を展開していきたいと考えています。
 いずれにしましても、カーライフ、カービジネスのベストパートナーとして、法人・個人を問わず、契約されたお客様がNTTオートリースを使って良かったと思っていただけるよう、さらなる顧客満足度向上に取り組み、個々のお客様から口コミで販売拡大につながるようにしていきたいと考えています。

―平成16年度の事業計画のポイントをお聞かせください。

中嶋 取扱台数が10万台を超すと、加速度的な成長があると考えております。業界の上位を目指すため、平成16〜平成18年度の中期事業計画において、平成17年度早期取扱台数10万台達成を目標に掲げました。
 目標達成のためには平成16年度には具体的取組みを実施していかなければなりませんが、社員のモチベーション向上を図るため、「自分がすべきだと思うことを目標にする」《強制的目標》でなく、「その目標が達成できるとこんな楽しいことがある」《納得目標》で事業計画を策定致しました。

オートリース業から車の総合管理サービス業への転換を図る

―市場が堅調に拡大しているということは、競争が激しくなってきているということだと思いますが、そのような状況の中で、今後のビジネスの抱負をお聞かせください。

中嶋 冒頭お話したように、オートリース市場は堅調に推移していますが、お客様の求めるものも非常に多様化しています。自動車リース会社においては、ユーザーニーズの多様化に応えるため、サービスの高度化を図るなど、車両総合管理サービスやテレマティクス等による独自サービスによる差別化を狙って取り組んでいます。私どもも、今回、中期事業計画に「オートリース業から車の総合管理サービス業への脱却」を掲げました。今までは、資金の効率的運用と車両の維持管理サービスの提供を実施してきましたが、お客様のビジネス環境もさまざまに変化してきており、車を通していかにお客様のビジネスに貢献していけるかを第一に考え、取り組んでいきたいと思っています。


         図1 NTT オートリースが目指す方向

―現在提供しているサービスについては、後掲の頁でご紹介しますが、最近注目を集めているテレマティスサービスについての取組みについてお聞かせください。

中嶋 テレマティクスは、自動車・車載端末(携帯端末)・通信ネットワークが連携して実現するサービスで、いつでも・どこでも・誰(何)とでも豊かなコミュニケーションが実現できるというユビキタス環境にはなくてはならないサービスです。各自動車メーカーは独自のサービスを開発してきており、トヨタは「G-BOOK」、ホンダは「インターナビプレミアムクラブ」、マツダは「マツダテレマティクス」の商標ですでにサービス提供を開始していますが、これからが本格的なサービス開発競争になるのではと考えています。
 NTTオートリースとしては、国内最初のテレマティクスサービスである日産自動車の「カーウィングス」にNTTドコモとともに取り組んでおり、GPSとカーナビゲーションシステム及び車の走行距離をベースにしたさまざまなサービス開発に参画しています。また、NTTドコモが実施しているテレマティクスゲートウェイを活用した実証実験にも参加しています。


―本日はありがとうございました。

(聞き手:構成:編集長 河西義人)


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