●今私が気になる技術と人材
NTTソフトウェア株式会社
取締役
モバイル&セキュリティ・ソリューション
事業グープ長

大南 正人氏


知的な好奇心と達成感を
抱きながら
社会への貢献を
視野に入れた
取組みを進めていくことが大切

■ユビキタス社会を支える
 
モバイル&セキュリティ技術

―はじめに、現在のお仕事についてお話していただけま
すか。

大南 モバイル&セキュリティ・ソリューション事業グループ(以下、MSBG)では、NTT ソフトウェアとNTT 研究所が開発した技術や製品をベースに、「モバイル応用ソリューション」、「モバイルネットワーク構築ソリューション」、GPSやBluetoothなどと通信を融合させた「テレマティクスソリューション」、そして、これら全ての基盤となる「トータルセキュリティソリューション」を開発・提供することで、ユビキタス社会を視野に入れたビジネス領域の拡大に取り組んでいます。

―「モバイル」、「セキュリティ」という、ユビキタス社会を形成する上で最も重要なテーマに向けたビジネスを展開されていますが、MSBGの特長は何でしょうか。

大南 モバイル分野は、?NTT ドコモをはじめとしたNTTグループ向けのソリューション開発をはじめ、移動体通信を活用したネットワークシステムの構築などの実績で得た技術とノウハウにより、モバイルネットワークを端末から基地局、ネットワーク、サービスを提供するサーバ群まで、トータルにサポートできる力をもっていることです。
 また、ユビキタス社会のインフラを担うモバイル技術を活用したソリューションの開発や実証実験にも力を入れています。セキュリティ分野は、まず国内有数のPKI技術者を抱える高度なセキュリティ技術のプロフェッショナル集団であること。そして、この経験豊かなスペシャリストを中心に、NTT 研究所の暗号アルゴリズムを開発してきた経験や知識により、PKIをはじめとしたセキュリティインフラからセキュリティアプリケーションまでを数多く構築・導入してきた実績などが特長としてあげられます。

―現在、注力されている製品やサービスを教えていただけますか。

大南 モバイルソリューションでは、携帯電話から作業報告などの一連の現地派遣業務をモバイルでICT(Information & Communication Technology)化した「モバイルERM(Employee Relationship Management)」や、電子メールを活用して、“いつでも、どこでも”、さまざまな端末での情報共有を実現するグループウェアツール「ゆびこら」。そして、テレマティクスソリューションでは、PDA とGPSを利用した「BizNavigent(ビズナビジェント)シリーズ」、GPS情報に車速やジャイロなどの情報を加えたハイブリッドGPS 方式による精度の高い「バスロケーションシステム」などがあります。
 セキュリティソリューションでは、純国産のセキュリティ製品を核に、プランニングからシステム構築、運用・保守、システム監査・運用監査までを提供する「トータルセキュリティサービス」を中心に、EU が認定した純国産次世代暗号である「Camellia」と「PSEC-KEM」に対応した暗号セキュリティソリューション群「CipherCraft シリーズ」、シングルサインオン認証環境を提供するパッケージ「CSLGuard」。そして、ISMS/BS7799 スペシャリスト資格者がセキュリティ構築を支援する「ISMS 認証取得支援・構築サービス」と「情報セキュリティポリシ策定支援サービス」などがあります。

■技術の可能性とサービスの可能性の両方から応用分野を追求

―モバイルおよびセキュリティ技術の動向は、ますます活発化していますが、ビジネスを展開していく上で、どのようなことがポイントになるとお考えですか。

大南 モバイル技術は、企業のビジネススタイルを変えていくだけでなく、今後は人々の生活を支える重要なツールになっていくと思います。しかし、現在のモバイル技術は、その可能性のほんの一部分しか活用されていません。私どもMSBGでは、モバイル技術の特長である、「個人にフォーカスできる」、「時間や場所を問わずにアプローチできる」、そして、さまざまな機器がモバイルネットワークを経由することで「長距離通信が可能になる」ことを最大限に発揮できるソリューションの開発に取り組んでいきます。また、官公庁や自治体におけるバリアフリーナビゲーションや観光案内、都市計画のための情報収集システムなどの実績をベースに、BtoB やBtoBtoC の分野へもビジネスの領域を拡げていきます。
 セキュリティ分野では、認証・公証局、暗号ライブラリ、ICカード管理、RFID認証などの開発実績をベースとしたセキュリティシステムの構築ビジネスの拡大と、SE ・コンサル支援ビジネスの拡大。そして、独自開発パッケージの普及拡大にも注力していきます。
 モバイルおよびセキュリティともに、来るべきユビキタス社会に向けて、技術の可能性とサービスの可能性の両方から応用分野を追求し、さまざまな提案活動などを積極的に行っていきます。

■一つの技術を掘り下げるのではなくその周辺にある技術も含めて学んでいく

―このような取組みの中で、関心のある技術はありますか。

大南 技術の進歩はもの凄く速く進んでいますので、「この技術さえ身に付けていれば大丈夫」というものはありません。つまり、一つの技術を掘り下げていくよりも、その技術を核に、それを取り巻く技術についても学んでいくアクティブさ、ダイナミックさ、が必要だと思います。例えばモバイル関連技術は、その進化とともに今後も適用先/応用先を拡大していくことでしょう。“いつでも、どこでも”、そして“誰とでも、何とでも”というように、あらゆる通信をワイヤレスネットワークでつなぐユビキタス社会は、すぐそこまで来ています。ここでは、多種多彩なニーズに対して、あらゆる可能性を備えた技術が求められてくるでしょう。ここで力を発揮するためにも、視野をさらに拡げて、さまざまな技術を学んでいくことが必要だと思います。

―ユビキタス社会でのビジネスを進めていく上で、どのようなことがポイントになるのでしょうか。

大南 ユビキタス社会に限ったことではありませんが、何か新しいことに取り組む際には、「知的な好奇心」と「達成感」を抱きながら、その技術や製品で「社会に貢献していく」との思いが必要です。このサイクルで取組みを進めることで、人々や社会のニーズに合致した、より優れた技術、製品を開発・提供できると思います。

―本日はありがとうございました。

(聞き手:本誌副編集長 菊地勝由)


 



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