NTTデータ
「ユビキタス生産システム研究会」が、
製造企業におけるRFID タグ実証実験の実施結果を報告
NTTデータ、慶應義塾大学、日本プラントメンテナンス協会、東洋精器は、製造業の生産プロセスにおけるRFIDタグを利用して、製造情報とものの流れを可視化する方法や有効性を検証する実証実験を実施した。本実験は、昨年4月に発足した「ユビキタス生産システム研究会」における取組みの一環として実施したもの。同研究会では、受注から生産計画作成、指示、製造、出荷までの“情報の流れ”と“ものの流れ”の整合性をRFIDタグで担保して、一連の注文処理の流れを可視化する「ユビキタス生産システム」の研究・開発を推進している。
フィールド実験の概要と成果
機械部品を製造している東洋精器の工場内の生産ラインに、NTTデータが提供するユビキタス・プラットフォームを活用したRFIDタグ情報システムを導入し、ものの流れをリアルタイムに可視化し、製造工程を管理する実証実験を実施した。生産指示票にRFIDタグを貼付し、素材の払い出し、旋削と穴あけの2つの工程での入りと出の各ポイントにリーダライタを設置し、通過時刻を測定することで、ものと情報の流れの可視化が可能になることを実証した。
- 実施期間:3月14日~3月25日
- 実施場所:東洋精器 本社工場
- 使用タグ: FRAM タグ(ユビキタスIDセンター準拠)
- 生産指示票:159枚
- 使用タグ数量:100枚(タグは循環利用を実施)
- 登録品種:13品種
- タグの読み取り回数:560回
実験では、NTTデータがRFIDタグ情報システムの開発を、慶應義塾大学が生産プロセス理論の検討と実験結果の分析を、社団法人プラントメンテナンス協会が製造業全般における生産ノウハウ提供を、東洋精器がフィールドの提供、タグ情報システムの実験運用とデータ収集、現場ノウハウの提供を担当した。
実験の成果(結果)として、以下の3点があげられている。
- ①RFIDタグつきの生産指示票を使った今回の製造作業は、現場に負担をかけることなく、スムーズかつ効率的な運用が行えた。また生産指示票により、作業内容や期日などが明確になるといった具体的な効果があったため、製造現場の担当者に受け入れられることを実証した。
- ②RFIDタグ情報システムが効果をあげるために、ものの流れを整備する等、予め製造現場で改善すべき内容が明らかになった。
- ③生産プロセスに関する情報と実際のものの流れを可視化する方法とその有効性を実証した。
今後の展開
同研究会では、今回の実験で得られた結果について、継続して評価・分析を行うことにより、製造業務プロセスにおけるRFIDの効果的な活用法の確立を目指していく方針という。なお、研究会における成果の詳細については、11月16日(水)・17日(木)に開催される日本プラントメンテナンス協会の第45回「設備管理全国大会-TPM Conference 2005-」で発表する予定としている。