NTTグループのソリューションガイド

ICTソリューション総合誌 月刊ビジネスコミュニケーション

ビジネスコミュニケーション

金融機関の価値向上に向け、
一歩先を行くソリューションを提供

昨年9月、1万6000人月に及ぶ巨大プロジェクトである、りそな銀行の「統合シ ステム」を完全成功させたNTTデータ。激動する金融マーケットに対して、金融機 関の抱える経営課題の解決と価値向上に貢献することを目途に展開するNTTデータ の金融サービス向けビジネス戦略について、岩本敏男執行役員・金融ビジネス事業 本部長にうかがった。

(株)NTTデータ 執行役員 金融ビジネス事業本部長 岩本 敏男氏
(株)NTTデータ
執行役員
金融ビジネス事業本部長
岩本 敏男氏

金融機関の抱える課題解決と収益拡大に貢献

昨年6月に組織改編されましたが、そのへんを含め、最近の取組み状況からお聞かせください。

岩本NTTデータは昨年6月、経営機構改革ならびに組織体制の見直しによる組織機構改革を実施しました。これに伴い、金融システム事業本部、金融ビジネス事業本部、リージョナルバンキングシステム事業本部、決済ソリューション事業本部に加え、信用金庫・信用組合・労働金庫様向けビジネスを中心とするコミュニティバンキングシステム事業本部を設置し、お客様対応の強化とともに、機動的なビジネス展開を図ることとなりました。

私ども金融ビジネス事業本部は、金融機関の抱える課題の解決と収益拡大に向けたIT 投資を積極的に支援することを目指しています。内部組織としては、金融IT マネジメント、日銀・政府系金融、都銀、資金証券、保険・共済、クレジット・リースの6 つのビジネスユニット(BU)と、金融戦略ビジネス推進室、企画部からなっています。

6つのBU の主な役割を簡単にお聞かせください。

岩本金融ITマネジメントBUは、金融機関の経営統合や事業提携にあたって、そのIT 戦略を支援する部隊で、統合支援やフルアウトソーシングの受託ビジネスを展開しています。その一例として、昨年5月から5回の移行作業を経て9月11 日に完遂した、りそな銀行様の「統合システム」があげられます。これは、1万6000 人月にも及ぶ巨大統合プロジェクトでしたが、当初のスケジュール通りに、ほとんどパーフェクトにやり遂げ、お客様からも高い評価をいただきました。日銀・政府系金融は、小泉首相が進める政策金融改革の動向を踏まえた各政府系金融機関の取組みを支援するBUです。都銀BUは、メガ金融機関同士の統合により誕生した3大金融グループにおける差異化と新たなビジネス拡大を目指したIT 投資をサポートします。資金証券BUは、証券・信託業界のIT投資を支援します。株価上昇の流れもあって、証券・信託業界の経営環境は好転しており、決済インフラを含め今後IT投資が拡大すると捉えています。保険・共済BUは、生損保及び共済業界のシステムを担当しています。この業界は、合併や業態間の連携が一段落しましたが、規制緩和を踏まえた銀行窓販、代理店チャネル、コールセンターなど、ビジネス拡大に向けた戦略的分野でのIT投資が期待できます。最後にクレジット・リースBUは、クレジット及びリース業界のIT投資を支援する部隊で、共同化を含めた次世代システムに取り組んでいます。

金融メカニズムの変革に伴う金融機関のIT 投資を確実に支援

最近の金融ビジネスを取り巻く市場の動きをどのように捉えていますか。

岩本日本の金融ビジネスと取り巻く環境は、銀行・保険・証券が融合する金融コングロマリット化の動きに代表されるように大きく変わってきています。一つには製販分離ではないですが、商品を創るところと、それを販売するところが少し明らかになり始めました。2 つ目は、不良債権問題を含め失われた10 年などといわれましたが、業界によって差はあるものの間違いなく処理が終わり、右肩上がりの回復基調にあります。このように最近の金融ビジネスを取り巻く状況は、経営統合及び事業提携が進むと同時に、各金融機関とも収益拡大、他社との差異化に向けて、新商品の開発や新チャネルの開拓を含め、新しい金融サービスを提供するためにますますIT が重要な意味を持ち、金融機関における戦略的なIT 投資が加速し始めていると捉えています。

そのような状況を踏まえた事業の展開方針をお聞かせください。

岩本まず、IT のグローバル化と技術革新は止まることはありません。CPU、メモリ、外部記憶容量、ネットワークについては、指数関数的に伸び続けています。また、ハード/ソフトを含めたオープン化の動きが加速しています。このような中で、お客様のIT 化をきちんとサポートする様々なソリューションの開発に注力しています。もちろん、ワールドワイドでの技術動向・製品動向を把握し、お客様に最適な先進ソリューションを提案します。こういうことができるのもベンダフリーな私どもならではの強みだと思っています。

2つ目は、私どもの事業本部だけでなく全社の施策ですが、ソフトウェアの生産技術の向上に向けた取組みです。昨年6月に設置したソフトウェア工学推進センタ、さらにはビジネスモデリング方法論「MOYA」を展開している公共システム事業本部と連携しつつ、お客様の期待に応えられるような地に足の着いたソフトウェア生産力の強化と品質の確保を図っていきたいと考えています。

3つ目は先程もお話しましたが、お客様の経営環境が好転してきたこともあって、将来に向けた戦略的なIT投資が加速していることから、新しい金融商品の開発、新規チャネルの開拓、BIS規制への対応やリスク対応に貢献できる一歩進んだシステムの提案を行っていきたいと考えています。特に最近は、リレーションシップバンキングの動きに見られるように、新しいチャネルと金融機関のお客様を結びつけて、いかにマネジメントするかが重要になっていますので、これに関連するソリューションの開拓に力を入れています。さらに、金融業界全体が新しい動きをし始めていることから、そのための新しいITの仕掛けを先行して創っていくことが必要だと考えています。

例えばどんな仕掛けですか。

岩本私が10 年前から言っていることですが、1400 兆円を超える個人の金融資産に着目しています。10年間で年間20 兆円以上増え続ける個人金融資産の55%が預貯金です。この10 %がリスクマネーにシフトするだけで140 兆円が動きますし、そのための仕掛けが必要になるわけです。郵貯民営化は、その動きを後押しすると思います。このような動きを含め、金融メカニズムの変革に合わせたネットワークや決済インフラ、チャネルの共有化などの仕掛け、さらには個社別の新規システム開発に貢献したいと考えています。また、財務情報の世界標準言語であるXBRLを用いた財務情報のシステム間連携にも注目しています。これは金融戦略ビジネス推進室が取り組んでいますが、企業や金融機関・公共機関が絡んだ非常に裾野が広いビジネスであると思います。

進化する資金証券マーケットへの対応などに注力

最後に今年の抱負をお聞かせください。

岩本一つには、平成21年6月までには公開会社の株券が電子化されます。こういった動きを含め、証券決済に関する具体的な動きが加速し始めることから、進化する資金証券マーケットへの対応に注力します。2つ目は、クレジット業界の次世代システムの共同化です。3つ目は、政府系金融機関の統合を支援することです。4つ目は、構造改革を進める金融機関を積極的に応援し、サポートしていきたいと考えています。5つ目として、保険業界が抱える商品性と販売チャネルの課題解決にも取り組んでいきたいと思います。

本日は有り難うございました。

(聞き手・構成:編集長 河西義人)

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