「KTN光スキャナー」が、CLEO/Laser Focus World Innovation Award大賞を受賞
NTTアドバンステクノロジ
2010年5月、NTTアドバンステクノロジ(以下:NTT-AT)がNTTフォトニクス研究所の光を自在に曲げられる電気光学結晶KTN(タンタル酸ニオブ酸カリウム、KTa1-xNbxO3)を用いた小型で高速な光ビームスキャナーの技術を基に開発し、評価用サンプルを販売している「KTN光スキャナー」が「CLEO/Laser Focus World Innovation Award」の大賞を受賞した。
写真 KTNスキャナーモジュール
「CLEO/Laser Focus World Innovation Award」とは、レーザや光技術の世界最大級の国際会議である「CLEO/QELS:2010」が、最もタイムリーで革新的と認められたレーザ科学分野における製品や技術を表彰するもので、第1回の2006年の表彰以来、大賞を受賞した日本企業はNTT-ATが初めてとなる。
KTN光スキャナーの特長
現在、レーザ加工、イメージング、プリンタ・コピーなどで光を曲げるのに広く使われているスキャナー素子にはポリゴンミラーやガルバノミラー、MEMSなどある。これらは素子のサイズや動作速度に限界があり、ランダムに光の方向を制御することは困難であった。しかし、KTN結晶を用いた光スキャニングは原理的にはこれらの課題を解消し、素子体積1/100、動作速度100倍という驚異的な性能が期待できるものである。
①従来の100倍以上の高速動作
機械的な駆動部分がなく、電子の移動と外部電界によって光を制御するため、ほぼ静止状態~1MHzの高速動作が可能な光スキャンが実現できる。これにより、レーザレーダ等に応用した場合、従来よりも高速で物体を識別することができる。
②従来の1/100以下の体積で、デバイスを小型化
結晶に電極を形成したシンプルな構造で、数mm角のチップサイズであるため、光偏向モジュールの筐体は約20×30×60mmと極小型である。
③ランダムスキャンが可能
加える電圧と光の進行方向が一対一対応であり、動作速度が極めて高速であるため、電圧印加方法を工夫することで、柔軟な光ビームスキャナー動作が可能になる。例えば、デジタル信号とアナログ信号を使い分けることにより、連続動作からランダムスキャンまであらゆる動作が可能となるので、レーザレーダやレーザスキャンディスプレイに活用できる。
これらの特長を持つKTNスキャナーは今後、レーザ加工、3次元計測、光通信、ディスプレイ、光記録媒体(DVD等)、イメージング、センシング、プリンタ・コピーといった幅広い分野において、従来のポリゴンミラー、ガルバノミラー、MEMSの代わりに活用され、デバイスの高速化や小型化に十二分に寄与できると考えられている。
生産体制の強化
NTT-ATでは、昨年6月にサンプル販売を開始し、これまで10社以上の納入実績を挙げているが、この4月より、KTN事業化を推進する準備室を、KTN結晶をベースとしたビジネスを担当する組織、KTN事業部に昇格・新設し、化学メーカとの連携を図るなどKTN結晶の生産体制をより一層強化した。今後は、早期に量産化へ向け体制を整えていく。
NEWS(2010年6月)
NTTグループ関連
- IT サービスマネジメント国際認証規格「ISO/IEC20000」の認証範囲を4 年連続で拡大(NTTコムウェア)
- 「CipherCraft® /Mail(サイファークラフトメール)サーバタイプ」 新バージョンを2010年3月31日より販売開始(NTTソフトウェア)
- 「KTN 光スキャナー」が、CLEO/Laser Focus World Innovation Award 大賞を受賞(NTTアドバンステクノロジ)
- 「gooウェブ検索」で、ユーザーが探している情報を優先的に表示する 「ダイレクト機能」を強化(NTTレゾナント)
SIer・ベンダ
- データセンタIT インフラの最適化サービスを開始(ネットマークス)
- 進化するIT 環境において企業の情報漏えい防止を支援(シマンテック)
- 金融市場向けの高速データ分析プラットフォームの最新版 「Sybase RAP - The Trading Edition R3」を提供開始(サイベース)
- リアルタイムのバックアップを実現し、標準でCDP 機能・アーカイブ機能・重複除外機能を搭載した「Double-Take Backup」を販売開始(CTCSP)
- Windows 7 対応のアプリケーションやクライアントPC に適用したシステムを 構築する「Microsoft Desktop 最適化ソリューション」を提供開始(日立システム)
- NTT ぷららの「ひかりTV」向けハードディスク内蔵ダブルチューナー「IS1050」を開発(NEC)
- コールセンターシステム「CTstage 5i」の性能を4 倍に向上(OKIネットワークス)
- ITIL サービスサポート管理ソフトウェア「Numara RapidTracker」のコンパクト版を提供開始(マクニカネットワークス)
- データセンター間の分散ストレージ連携を実現して仮想ストレージ時代を拓く新製品「VPLEX」を販売開始(EMCジャパン)
- ERPパッケージ「ProActive E2」の「包括利益の表示に関する会計基準」への対応概要を発表(住商情報システム)
- Web フィルタリングソフト「InterSafe WebFilter」の新版を発売開始(ALSI)
- ネットワーク仮想化機能VMready とデータセンター・イーサネット規格DCBをサポートする新ソフトウェアの提供を開始(ブレード・ネットワーク)