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ICTソリューション総合誌 月刊ビジネスコミュニケーション

ビジネスコミュニケーション

災害時の緊急迂回通信路となる「災害時車両通信ネットワークシステム」を開発

~ネットワークインフラが損壊した2km四方内の通信手段確保を30分以内で実現~

OKI

OKIは、「車車間通信・路車間通信技術」を利用して災害時の緊急迂回通信路となる「災害時車両通信ネットワークシステム」を開発し、東北大学青葉山キャンパス(宮城県仙台市)での実証実験において、ネットワークインフラが損壊した2km四方内で30分以内に通信路を確保できることを検証した。本システムは、総務省が推進する「情報通信ネットワークの耐災害性強化のための研究開発」の「災害に強いネットワークを実現するための技術の研究開発」において、OKIが担当し開発したものだ。


2011年3月11日の東日本大震災では、通信ネットワークが通信不能や深刻な輻輳状態に陥り、災害救助・応急措置活動のための緊急重要通信や、避難時および避難所での安否確認に支障をきたし、被災地域のみならず社会全体が混乱に陥った。このときの反省から、災害に強く壊れないネットワークの必要性への認識が高まり、「災害に強いネットワークを実現するための技術の研究開発」がスタートした。本研究開発は、総務省より東北大学、KDDI、KDDI研究所、OKIの4者が受託し共同で取り組んだ。災害時に緊急重要通信を可能とするための「重層的通信ネットワーク」の構築に必要な総合技術を開発するもので、OKIは、その一環として「災害時車両通信ネットワークシステム」を開発した。


「重層的通信ネットワーク」は、災害時に公衆ネットワークが損壊による通信不能や深刻な輻輳状態に陥ったときに、平常時には個別に運用されている地域ネットワークが連携して迅速に迂回通信路を構成するものだ。災害時に、携帯電話/WiMAX用いる公衆ネットワークに加えて、地方自治体などが運営する地域WiMAX/Wi-Fiネットワーク、車両アドホックネットワーク、衛星ネットワークなどの複数のネットワークが連携することを想定している。

OKIは、ITS無線通信技術への長い取り組みのなかで開発を行ってきた「車車間通信・路車間通信技術」を用いて、災害時の緊急ネットワークとして利用可能な「災害時車両通信ネットワークシステム」を開発した。本システムは、平常時ITSサービスに利用される無線通信機器を活用して、災害時に不通となった拠点間の通信路を緊急に確保するためのアドホックネットワーク構築を実現するものだ。車両がその機動性に加えて通信機器の電源としての役割も果たせる点からも災害時車両通信の有効性が期待できる。

例えば、災害が発生して携帯電話が使用できなくなった場合、災害時の拠点となる防災センター、災害現場、病院、避難所などの間の通信路を確保するために、災害現場へ可搬型路側機および車載無線機を搭載した車両を出動、配置し、ネットワークを短時間で構築する。これにより、通信事業者のネットワークが不通となった場合でも、災害拠点間にて、スマートフォンなどのWi-Fi通信機能をもった端末の通信路を速やかにバックアップすることが可能となる。


耐災害ICT研究協議会により東北大学青葉山キャンパスで本年3月に行われた実証実験では、災害発生時に携帯電話がつながらない場合を仮定し、複数の地域ネットワークを利用して通信サービスをバックアップする「重層的通信ネットワーク」の一つとしてOKIの開発した「災害時車両通信ネットワークシステム」を用い、その性能検証を実施した。

OKIは、今回の「災害時車両通信ネットワークシステム」の開発を踏まえ、次世代の協調ITS構築の技術開発を進めるとともに、本研究開発にて検証したITS無線通信の災害時利用の展開検討も進めていく。

お問い合わせ先

●OKI 社会システム事業本部
 TEL:046-847-5139

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