日本ヒューレット・パッカード（略称：日本HP）は、Software-Defined Network（以下、SDN）の実現に向けたソリューションポートフォリオを強化し、SDN制御ソフトウェア「HP Virtual Application Network SDN Controller（以下、HP VAN SDN Controller）」の提供を開始する。さらに、ネットワーク統合管理ソフトウェア「HP Intelligent Management Center（以下、HP IMC）」のプラグインとして「HP IMC VAN SDN Manager」、「HP IMC VAN Fabric Manager」の2製品と、仮想環境で稼働するソフトウェアルータ「HP Virtual Services Router」シリーズも提供を開始する。

HPは、システムの全体最適化を実現するためのプラットフォーム戦略「HP Converged Infrastructure」を2009年に提唱し、推進している。様々なITリソースが仮想化技術等の活用により抽象化され、柔軟性と俊敏性を持つことでデータセンターの構成要素をソフトウェアの制御下で最適化されるべきと考えており、SDDC（Software-Defined Data Center）というコンセプトの元に製品を投入している。SDDCでは「アプリケーション実行環境の最適化」という観点から、ネットワークの最適化に関する改善を取り組むべき重要課題としている。サーバやストレージと比較すると、ネットワークに関しては業界標準規格を活用したオープン化が遅れている点が原因としてあげられる。

HPは2012年にアプリケーションの実行環境に最適化したネットワークを迅速に提供するために「HP Virtual Application Networks（以下、HP VAN）」というコンセプトのもと対応製品を発表した。HP VAN では、オープンで業界標準技術への対応が最も重要であると考えており、今回HP VANのSDN対応が実現した。

HPは、SDNの構成要素である“インフラストラクチャ”から“コントロール”、“アプリケーション”のすべての階層で製品やソリューションを提供する。各層の間は業界標準規格やオープンなAPIを経由するため、対応する複数のベンダー製品で実装が可能だ。SDN化を進めることがベンダーロックインとはならないため、機器導入コストおよび維持運用管理コストの最適化が期待できる。インフラストラクチャ層においてはOpenFlowの実装を進めている。現在29機種が対応し、ファームウエアを無償で提供している。2014年には合計50機種に対してOpenFlow1.3対応ファームウエアの提供を計画しており、SDN基盤構築を中長期と言う観点で検討されているお客様においても、対応機種を選定いただくことにより投資保護が約束される。

今回、コントロール層を担う新製品「HP VAN SDN Controller」を発表した。アプリケーションのSDN化実現のための制御ソフトウェアとして、REST/JAVA APIを提供し、ネットワークとアプリケーションの連携を容易にする。アプリケーション層からの指示に応じて、インフラストラクチャ層に対してOpenFlow1.0および1.3を活用したデバイスの制御を実現する。

アプリケーション層においては、SDN対応のアプリケーション開発を行う方々に向けたHP SDN Dev Centerの開設を発表。SDK（開発キット）の無償提供や関連技術文書を公開する。SDN developer forumにおいては、SDN対応アプリケーションの開発に関するコミュニティの醸成を進めていく。

さらに、SDN対応アプリケーションの流通の効率化を目的としたHP SDN App Store（仮称）の開設を予定している。SDNを“作りたい人”と“使いたい人”をつなぐエコシステムの形成を通して、「アプリケーション実行環境の最適化」を進める。HP SDN App Storeは2014年中盤の開設を予定しており、対応アプリケーションの公開も順次進めていく。