オペレーションサポート導入事例

前回の記事では「ビジネスプロセスサポートサービス(以下BPaaS)」の機能の一つである「セールスサポート」の導入事例を紹介した。今回は、BPaaSのもう一つの機能である「オペレーションサポート」の導入事例を紹介する。

事例① 通信事業者 A社

A社は、法人向けVPNサービスをはじめインターネット事業・クラウド事業を展開する通信事業者だ。

A社のVPN事業において、A社はNTTPCコミュニケーションズ(以下NTTPC)のサービスを仕入・販売することで、サービスポートフォリオを補完し、幅広いお客さまからの要望に応えてきた。そのサービスのお客さま数の増加に伴い、故障申告対応の課題が顕在化しつつあった。

A社は、故障受付フロントにて、お客さまからの故障申告を受付し、サービス提供元である仕入先へ問合せ、仕入先からの調査結果を受領後、お客さまへ回答するプロセスで業務を行っていた。そのため、卸で仕入れているサービスは、オペレータ自身で調査・回答できる自社サービスと比べ、お客さまへの回答までに時間がかかってしまい、故障申告対応時間の短縮が課題となっていた。

【導入効果】故障状況をリアルタイムで確認でき、お客さま対応品質が向上

NTTPCが提供する「BPaaS」のオペレーションサポート機能によって、故障申告対応時間の短縮を実現した。

これまでA社のオペレータが仕入先へ問合せしなければ取得できなかった設備(ルーター等)のステータス情報をサービスサイトから取得できる機能を提供した。具体的には、インターフェースのリンク状態、VPNトンネルの生成状況、ARP情報、および起動後の経過時間といった情報だ。

A社のオペレータは、問合せすることなく、当該設備のステータス情報と申告内容とを突合しながら、リアルタイムでの切り分け業務が可能になった。

その結果、申告から対応完了までの時間について、30分から1時間程度かかっていた状態から、2分程度で1次回答を実施できるまでの大幅な時間短縮を実現した。

また、本機能で入手できるステータス情報はAPIによる取得も可能だ。問合せ管理に使用しているチケットシステムとの連携により、更なるお客さま対応業務の効率化の検討が進められている。

事例② 通信機器メーカー B社

B社は、ビジネスフォンの開発・販売・保守を主たる事業とし、一般の事業所/SOHO向けに、ビジネスフォンを中心としたコミュニケーションシステムの販売、導入を行っている通信機器メーカーだ。

B社は、ビジネスフォンの開発だけでなく、自社の販売員や保守サポートを強みに、ビジネスフォン単体の事業から社内ICTの統合サポートへの事業拡大に取り組んでいた。そこで、社内ICTの主要機器であるPCの管理をサポートするサービスの拡充を模索しており、B社お客さま自身では対応が難しいエンドポイント製品を活用したセキュリティ運用サービスの開発に着手していた。

しかし、エンドポイントセキュリティ製品の知識が社内に乏しいだけでなく、製品サポートに必要な運用のノウハウ・ツールも持ち合わせていなかった。また、サービスの早期提供開始に向けて、社内業務フローや各種マニュアルの整備についても短期間で実施する必要があった。

【導入効果】サービス選定から約2ヶ月でサービス開始

NTTPCが提供する「BPaaS」のオペレーションサポート機能によって、B社のセキュリティ運用サービスの早期立ち上げ、提供開始を実現した。

NTTPCでは、「BPaaS」のオペレーションサポート機能に対応した次世代型エンドポイントセキュリティ製品を事業者向けサービスとして提供しており、エンドポイント製品からセキュリティ運用ノウハウまで同時に手に入れることができる。セキュリティアラートのリアルタイム通知機能だけでなく、アラート対処に必要なオペレーションやステータスまで管理が可能だ。そのため、B社は業務フローや各種マニュアルを最初から作成することなく、保守サポート部門での早期体制作りが可能になった。

本機能の導入の結果、提案から約2ヶ月という短期間でサービスを開始でき、PC管理サポート事業のタイムリーなサービスラインナップ強化を実現することができた。

事例③ ソフトウェア開発 C社

C社は、自社開発の建築業向けソフトウェアを開発、販売する会社だ。

C社は、新たな事業領域拡大のため、クラウドインテグレータとして、C社の既存顧客や地場の中小企業をターゲットにOffice 365の販売に取り組んでいる。Office 365は、メールやスケジューラ、Officeクライアントなどさまざまなツールが含まれており、C社は、ITリテラシーが低い中小企業の顧客への導入直後の技術サポートに不安を抱えていた。

【導入効果】顧客のIT管理者のOffice 365導入直後のサポート稼働を削減

NTTPCが提供する「BPaaS」では、販売パートナーがOffice 365を導入した顧客へ提供できるFAQチャットボットを提供している。

このFAQチャットボットは、Office 365のコラボレーションツールであるSkype for BusinessやTeams上で動作する仕組みとなっており、利用者が知りたいことをボットへ問いかけることでOffice 365の初期設定や利用方法をすぐに知ることができる。チャットベースのテキストではわかりにくい情報は、外部サイトのWebページや動画コンテンツに誘導し、より詳細情報を確認することで、利用者自身で解決することができる。

C社は、Office 365とあわせてFAQチャットボットを顧客に提供することで、導入時の利用者への操作マニュアルの配布などのサポート稼働の削減に成功した。

表 BPaaSの事例一覧

サブスクリプションビジネスの課題解決に向けて

今回紹介した事例からも分かるとおり、ひとくちに業務プロセスの課題解決と言っても、その内容は、業態や事業規模によってさまざまだ。

NTTPCの「BPaaS」は、今後も様々なケースのオペレーション業務に対応し、業務プロセスのさらなる効率化と、取扱う商材拡張の両面から、サブスクリプションビジネス拡大に貢献していく予定である。

次回は、NTTPCが目指す「BPaaS」の将来像について、本連載の結びにかえて紹介する。

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