社会と調和したデータ活用を

ITが進化する中、データ活用への期待は膨らむ。暮らしを便利に安全にする、働き方を変え産業を活性化する、地域創生や社会課題を解決する上で、データ活用は今や世界的なテーマである。
データによる可能性が広がれば広がるほど、一方で自分のデータがいったいどのように使われているのだろう?と不安を感じる機会が増えているはずだ。今どういう状態かが「わからない」ということが不安を掻き立てる大きな要因である。ご自身のデータがどのように活用されているのか、それによりどのようなメリットがもたらされるのか、ということを丁寧にお伝えしてご理解をいただくことが、社会に貢献するデータ活用において非常に重要だと考える。前回パーソナルデータ憲章についてご紹介したが、当社は2019 年12月にデータ活用の透明性を高めることを目的に、2つのWeb コンテンツ「知ってナットク!ドコモのパーソナルデータ活用」と「パーソナルデータダッシュボード」をリリースした。

知って納得いただく努力の継続

「知ってナットク!ドコモのパーソナルデータ活用」(図1)は、パーソナルデータとは何か?から始まり、活用目的、メリット、管理運用方法、プライバシー対策など、生活者にとって大事ではあるけれど、取っつきにくいような内容について、少しでも読んでいただきやすいようイラストを交えて説明を加えた。今後もお客様のご意見をいただきながら改善を続け、お客様のご納得をいただけるように尽力していく。

図1 新設 「知ってナットク!ドコモのパーソナルデータ活用」

お客様の意思を尊重

データ活用について、ご自身がどのような内容に同意しているかわからない、という方も多いのではないだろうか。「パーソナルデータダッシュボード」(図2)では、現状のお客様に同意いただいている内容が一覧でき、データの第三者提供についての同意の可否を選択可能とした。知ってナットク!などを通じ、ドコモのデータ活用についてご理解いただく努力をしながら、実際のデータ活用でお客様に喜んでいただく。そして社会に多くの価値をご提供し続けることで、お客様と共に社会に貢献するデータ活用を進めていきたい。

図2 新設 「パーソナルデータダッシュボード」

地域のデータ活用推進Ambassadorプログラムの展開

データの力をフルに活用し、社会に価値を提供していくためには、社員の一人一人がその価値を理解し、より効果的に活用しうる力を伸ばしていかなければならない。

全社のデータドリブン文化を広めるべく、可視化基盤を構築し、その活用を推進中であることを第2回で触れたが、今回は各地域が推進主体となるための取り組みとしてAmbassadorプログラム(図3)をご紹介したい。
迅速にデータウォッチができるダッシュボードは現在約450件、利用が増えるにつれ、各地域、現場に応じたダッシュボード開発要望も急拡大している。そのニーズに対応するために、本社主導の研修に加え、各地域の現場で自らが率先してデータ活用し、推進しうる人材育成が急務となった。そこで可視化基盤で活用しているTableau Japan社とタイアップし、今年度から開始したプログラムである。

本プログラムは、データドリブンをリードしうるマインドと技術力を兼ね備えたDATA Saberのリーダーのもとで、基礎技術を習得し、地域のエンドユーザ育成やデータ活用コミュニティの活性化を担うAmbassadorを輩出していくことをめざしている。参加者は2か月半内に9日間のOff-JT含むプログラムを通じ、Tableauの技術と共に、データドリブンカルチャーを広める力を習得する。最終日に自身の業務に沿ったデータ活用事例の発表会と技術試験を経て、正式にAmbassador として認定される。認定後は各地域の事情に応じたユーザ会を企画開催する、というミッションまでをプログラムとして用意した。

図3 地域のデータ分析をリードするAmbassadorを育成
図4 エンドユーザ育成を担う中級レベルを習得

ビジネスマインドの高いマネージャーをリーダーに

このプログラムを進めるにあたって、こだわったのがリーダーだ。全社に広がる活動とするために、ビジネスマインドの高いマネージャーがDATA Saberの認定を取得した。各地域から共感を得られる企画を計画し、力強く推進しうるマネージャーの存在が、プログラム成功のキーとなるからだ。そして、自らがDATA Saber認定を受けるまでの苦労を肌で知ったマネージャーだからこそ、Ambassadorの悩みどころに寄り添いながらリードできている。

励まし合い、楽しみながらネットワークを拡大

Ambassador プログラム期間中、多くの課題に参加者は悪戦苦闘しているが、ネットコミュニティを活用して互いに教え合い、励まし合いながら乗り越え、12月までに2期、41名がAmbassadorとして認定された。認定の証にお揃いのエンブレムをつけたポロシャツを贈呈。各地域でのデータ活用活動で着用している姿は楽しく誇らしげだ。コミュニティはプログラム卒業後も継続され、1期生は2期生の発表会に参加するなど、その輪を広げる努力を続けている。

データは社会課題解決の資源

世界中でデータ活用がどんどん進んでいる。少子高齢化などの社会課題先進国である日本こそ、その解決にデータを有効活用しなければならない。プライバシーを尊重しながら、社会により多くのHAPPYを生むデータ活用を全社をあげてこれからも追求していく。