オペレーションサポートサービス

第2回の記事では、サブスクリプションビジネスで必要になる4つのプロセス(1.受注〜発注/2.デリバリー/3.課金計算〜請求/4.カスタマーサポート)のうち、3のプロセスを支援する「セールスサポート」を紹介した。今回は、「4.カスタマーサポート」のプロセスを支援する「オペレーションサポート」の機能について紹介する。

継続的な顧客接点の重要性

一般的に、売り切り型のビジネスでは、サービス提供事業者とエンドユーザーとの顧客接点は商品販売時が中心になることが多い。一方で、サブスクリプションビジネスにおいては、サービス提供開始から解約・廃止に至るまで、継続的かつ長期間に渡って、顧客接点を効率的かつ効果的にマネジメントしていく必要がある。そのため、サブスクリプションビジネスをこれから始めようとしている会社(サービス提供事業者)は、これまでと異なったプロセスやシステムを構築する必要がある。特にITサービスの場合には、保守運用監視プロセスが重要で、サービス提供事業者は故障等が発生した場合には速やかにエンドユーザーに故障を案内し、そして、とにかく早く故障を回復させる必要がある。エンドユーザーへは復旧の対応状況を定期的に連絡することが信頼感の醸成にも繋がる。

この点について、事故等で列車が止まってしまった場合の鉄道会社の対応をイメージすると分かりやすい。鉄道会社は、列車にトラブルがあったことをリアルタイムに把握し、列車の運行回復を最優先に対応しながらも、乗客へ定期的に復旧状況を伝えなければならない。状況を正確に伝えられた乗客は別路線への振替や、最近では在宅勤務を選択するなど臨機応変な対応を取ることができる。一方で復旧情報を伝えられていない乗客は駅員に詰め寄って問い合わせを行う。ここで駅員が的確に情報を伝えられなければ乗客の満足度はさらに低下する。

ITサービス(サブスクリプションビジネス)においても、対応すべき点は鉄道会社と同じで、①監視システムを利用してサービスの正常性を把握し、②故障が発生した場合には早期回復の措置を取り、③エンドユーザーに定期的かつ適切な情報を伝えることが重要である(図1)。

図1 ビジネスプロセスサポートサービスが解決する課題とソリューション

サービス監視プロセスの課題

サービス提供事業者は、提供しているITサービスを継続的に監視し、故障の発生を早期に発見する必要がある。故障の早期発見は、素早い故障回復につながり、また、エンドユーザーへの情報提供も充実する。そのため、サブスクリプションビジネスにおいては、リアルタイムでのITサービス正常性把握を可能にする監視システムの準備が重要である。

さらに、故障発生時には、故障回復措置のための関連部門や、エンドユーザーに対して、素早く故障発生を伝える必要がある。

一般的には、アラート情報は、監視対象システムの異常情報をもとに生成され、そのままでは、関連部門やエンドユーザーへの通知情報として利用できないことも多い。サービス提供事業者は、システムの異常情報をもとに対象のサービス、エンドユーザー、およびその影響範囲を特定し、ITサービスとしてのアラート情報を新たに作成する必要がある。NTTPCコミュニケーションズの「ビジネスプロセスサポートサービス」の「ユーザー統合監視」が提供している「サービス情報や顧客情報に紐付いたアラート管理機能」や「アラート毎に通知先を設定できる振り分け機能」は、こうした通知の際に役立つ。さらに、同サービスでは、システムの異常情報取得から、関連部門やエンドユーザーへの通知を自動的に実行することも可能だ。こうした機能により、サービス提供事業者は、故障時に毎回実施していた調査、通知の作業から解放され、故障回復対応に集中することができる。

故障回復プロセスの課題

サービス正常性監視で故障発生を検知した際には、速やかに故障回復プロセスを実行する必要がある。故障回復プロセスでは、故障回復の特定に時間を要する場合が多いが、前段で説明したシステムの異常情報から想定される影響範囲、原因等を事前にかつ正確に把握することで、故障の早期回復が可能だ。さらに「ビジネスプロセスサポートサービス」の「保守サポート」では、特にハードウェア交換の保守業務について、通信事業者やマネージドサービスのノウハウを反映させた「保守業務管理機能」を実装している。サービスレベルに合わせたステータスやプロセスの管理だけでなく、シリアル、ライセンス、設置場所といった資産情報も管理できる。こうした機能を利用することで、サービス提供事業者は故障回復プロセスを短時間で構築することが可能だ。

情報伝達プロセスの課題

サービス提供事業者は、故障回復対応を実行しながら、エンドユーザーに対して、定期的かつ正確な情報提供を行う必要がある。また、継続的な情報提供に加え、サービス提供事業者はエンドユーザーからの問い合わせに対応するサービスデスクを準備する必要がある。サービスデスクの費用はITサービスの提供料金内で回収することが多く、また人手不足の時代背景も相まって、より効果的かつ効率的な運営が必要だ。そのため、サービスデスクを支えるシステムやツールの準備が重要になっている。

さらに、サブスクリプションビジネスでは、サービス利用者の声をサービス開発にフィードバックし、顧客のニーズを満たしていくことが重要だ。そのためエンドユーザー対応を行った対応履歴情報を蓄積し、活用する必要がある。

こうした課題に対して「ビジネスプロセスサポートサービス」の「チケットFAQ管理」では、エンドユーザーごとに付与したIDで、問い合わせを管理できるため、どのエンドユーザーからどのような問い合わせがあったかを記録することができる。また、過去の対応履歴情報をもとに、FAQからチャットボットが自動的に質問/回答を抽出し、エンドユーザーに提示する。さらに、これらの一連の回答プロセスで得られた情報は全てデータベースに記録され、FAQと自動抽出される回答に反映される。こうした機能により、自動的な品質向上に加え、人的コストをかけることなくサービスデスクを構築することができる。

オペレーションサポートの成功の鍵

エンドユーザーの声やシステム/オペレーションの各種情報を最大限に有効活用し、サービスにフィードバックすることがサブスクリプションビジネスの成功の鍵である。NTTPCコミュニケーションズの「ビジネスプロセスサポートサービス」は、継続的な情報収集および価値ある情報への変換を自動的に処理し、さらに効率よく発信していく機能として「マネージメントサイト」、「サポートサイト」といったWebポータル機能を今後強化し、サブスクリプションビジネスの拡大に貢献していく予定である。

次回は、導入事例を交え、ビジネスプロセスサポートサービスの効果/評価について紹介する。

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