NTT先端集積デバイス研究所(以下、先デ研)は光、電子、材料科学、生物科学の各分野における最先端技術を活用し、通信や情報処理の限界を打破する技術の創出、サステナブルな社会の実現、生活を豊かにするデバイスの創出につながる研究開発を行っている。同研究所の活動について、岡田顕所長にお話を伺った。
NTT先端集積デバイス研究所 所長岡田 顕氏
NTTは2040年度までにグループ全体でカーボンニュートラルを実現することをめざし、再生可能エネルギー利用の拡大、IOWN導入による電力消費量削減など、さまざまな取り組みを進めている。そうしたなか先デ研では、さらなる二酸化炭素(CO2)削減を可能にするため、「人工光合成技術」の研究開発を進めている。
さまざまなモノがネットワークにつながるIoTの普及が進み、あらゆる場所にIoT デバイスが存在するような世の中になることが予想されている。先デ研では、膨大なIoTデバイスを安心・安全に利用できる、またIoTデバイスを煩わしく感じずに済むようにすることを目的とし、IoTデバイス向けの電池に関する研究開発を進めている。
先デ研は人々の健康維持に貢献することを目的に、食品由来の材料で構成され体内で分解される、飲み込み型センサーの実現に向けた研究を行っている。実現すればより安全・安心な検査が可能になり患者への負担が減るほか、在宅医療や遠隔医療の可能性が広がるなど、医療提供体制への好影響も期待される。
光には不可視であり人が意識することのない、多様な波長情報が含まれている。先デ研はこの情報の宝庫を有効活用するため、多様な波長のスペクトル情報をなるべく容易に取得できるよう「スペクトルカメラ」の小型化、および撮像の高速化に向けた研究開発を進めている。
光ファイバーと同じく石英ガラスを用い、平面基板上に光回路を集積する石英系PLC(Planar Lightwave Circuit: PLC)は、光通信ネットワークを支える重要な光デバイスだ。先デ研は、この石英系PLCに関する豊富な知見を活かし、プロジェクターなどの可視光デバイスを大幅に小型化・高耐振動化・高機能化する研究に取り組んでいる。
AI技術の進展を背景とする計算需要の高まりにより、計算機の処理速度や消費電力が問題となりつつある。半導体回路の集積密度が18ヶ月で2倍になるという「ムーアの法則」が頭打ちになる可能性も囁かれている。こうした問題に対する解決策の1つとして期待されるのが、先デ研)が取り組んでいる光回路の活用だ。
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