NTTテクノクロス株式会社

NTT XR安全教育 powered by VR安全意識向上サービス

リアルなVR空間体験により 事故の怖さを心に刻む ─「NTT XR安全教育 powered by VR安全意識向上サービス」

(2023年2月号掲載)

NTTテクノクロス株式会社(以下、NTT-TX)のデジタルツイン事業部では、VR(仮想現実)技術を活用し、労働災害事故の削減を目指す安全教育のコンテンツ「NTT XR安全教育 powered by VR安全意識向上サービス」として提供しています。
現場の安全向上のために、労働現場に先端技術を取り入れるのではなく、VRを使った教育・研修によって作業者自身の安全意識やリスク回避を高めるバーチャル教育サービスです。

増加する労働災害を減らすため
VR技術を活用

厚生労働省の発表によると、2021年の労働災害による死亡者数は867人、死傷者数は 14万9,918人と、1998年以降の調査から最大となりました。交通事故の場合は死傷者数が30万人ほどになっており、労働災害も交通事故と並んで日常的に起こり得る災害といえます。
 NTT-TXのデジタルツイン事業部が提供する「NTT XR安全教育powered by VR安全意識向上サービス(以下、本サービス)」は、労働災害を削減することを目的としたVR技術を使った教育コンテンツサービスです。担当する高宮氏は「働いている方々の安全意識を高めることで、労働災害が限りなく少なくなるような世界を実現したい」とその目的を語ります。
 労働現場の安全教育の課題は、事故事例などの学習において当事者意識を持つことが難しいことです。講義やイラストによる解説や紙の資料による議論によって事故を学習しても、労働者たちの印象に残らないからです。そこで、NTT-TXはより情報量の多いVR空間で擬似体験をするコンテンツや、VRを使った危険予知トレーニングのサービスを開発しました。奥行きや高低差、角度などさまざまな視点で状況を把握しながら体験することで、事故の印象を深く刻み、問題解決のための意識を高める効果が狙いです。
 高宮氏は「若手など経験の浅い方から、ベテランで『もう自分は事故なんて起こさないだろう』と思っているような方まで、幅広い対象の方にお使いいただけます」と強調します。身体の危険を伴うことなく自身のスキルなども確認できることから、労働現場の運営者にも安全教育上メリットの大きいサービスです。

 

専門家の監修により、
事故状況をリアルに再現

本サービスは、実際の事故事例をもとにコンテンツが作られてきた経緯があります。そのため、事故の状況や危険性を再現するVRコンテンツは、転落、激突、転倒、崩落、感電など、発生頻度が高い事故を体験できるものが多数用意されており、すでにNTTグループ内の企業での教育に活用されています。
 採用企業によっては、全国の各拠点からVRデバイスを使った集合研修も行われています。これまで、NTTグループで本サービスを使って研修をしたのは1万人を超えており、参加者アンケート調査では86%が「体験前より事故が怖い」と回答しています。
 コンテンツ自体は、実際の作業に従事する人たちの監修を経て作られています。本サービスの担当者は、事故現場の従事者に対して事故の状況について取材をし、分岐するシナリオや複数視点でのシーンなど、CG映画さながらの行程でVRコンテンツを作成します。作成したコンテンツも現場担当者に監修を依頼し、実際のものに近い映像状態に仕上げています。
 高宮氏は「私たちの調査だけでは実作業に従事している方たちからすると的外れなコンテンツが出来てしまいます。ですからコンテンツ作成時には必ず現場を知る企業に監修を依頼します」とその理由を述べています。
 本サービスの利用料金は月額8万円のサブスクリプションで、コンテンツ利用と利用サポートが受けられます。サービスサイトからダウンロードして利用する形態で、安全研修などに導入が可能です。

 

NTTグループの実績をもとに、
建設業や食品製造業へ展開

NTTグループ向けに提供をしてきた本サービスは、引き続きグループ内の企業にさらに広く浸透させて労働災害の低減に貢献していく方針です。今後は、通信業界を超えて、さまざまな分野の労働災害削減に向けて貢献するため外部企業への展開を開始しています。その第一歩として大手食品製造企業への採用が決定しています。
 高宮氏は「食品製造企業に監修いただき、食品加工の現場で非常に多い、スライサーなどの機械への巻き込まれ事故用のコンテンツを制作し、2022年12月よりご活用いただいています」と説明しました(図1)。
 また、食品製造業に並び死傷者の数が多い建設業界向けのコンテンツ(図2)もすでにいくつか制作しています。「特に建設業は重機を扱いますので、ひとたび事故が起きてしまうとその被害は大きくなってしまいます。労働人口が減り、高齢者や外国人の労働者が増えている日本の産業界において、事故災害を減らしていくことは大きな課題です」(高宮氏)。
 VR安全意識向上サービスのチームでは、対応する業界と各業界における体感コンテンツを増やしていく方針です。高宮氏は最後に次のようにチームの考えを述べています。「最も大切にしているのは、お客様の声に耳を傾けることです。現場の事故再現と同様に各社の課題も千差万別で、その真意はお客様の声にあるからです。お客様がどんなことに困っているかを、安全教育の担当者様にヒアリングすると、想像していなかった困りごとに出会うことがあります。お客様の声を聞き出して、『真の困りごとは何なのか?』といったことを常に意識したサービス提供をしていきたいです。」

 

スライス作業

図1 食品製造向け、機械巻き込まれ事故体感コンテンツ

 

ショベル建物解体作業

図2 建設業界向け、重機巻き込まれ事故体験コンテンツ

 

 

 

 

NTTテクノクロス株式会社

デジタルツイン事業部
第一ビジネスユニット
マネージャー

高宮 駿介

 

お客様と一緒になって困りごと・解決策を考え、お客様の安全教育に真に役に立つサービスの開発を行っています。

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