NTTテクノクロス株式会社

ContractGate/VC

電子証明書にブロックチェーンを活用した “ContractGate/VC”を開発

(2023年3月号掲載)

様々な分野でDX推進が期待されている一方で、今もなお紙やカードなどの物理媒体による証明書との目視確認を利用する企業が多くビジネス全般の高度なDX化を阻害しています。
NTTテクノクロス(以下、NTT-TX)では、検証可能な資格情報である「Verifiable Credentials(以下、VC)」とブロックチェーン技術を活用した「ContractGate/VC」を開発しました。本サービスは、VC活用によるDX化を目指すお客様に、実証検証から本格ビジネス化までをサポートするものです。教育、医療分野における個人の資格情報などの適切な管理や、物流・サプライチェーンにおける各種証明書の流通といったビジネスへの応用が期待されます。

 

NTT-TXにおけるブロックチェーンへの取り組み

NTT-TXは、国内企業としては比較的早い時期であった2015年よりブロックチェーン技術に着目しました。そして、2018年1月にブロックチェーン技術を利用したサービス、ビジネス検証、プログラム開発の支援などを行うContractGateシリーズの第一弾として「ContractGate/Monitor」を提供開始しました。また、ブロックチェーンの応用技術であるNon-Fungible Token(NFT)、が社会に浸透する前の2020年3月には、他社に先駆けてNFTを電子チケット流通に活用した「ContractGate/Pass」を展開しました。
 ブロックチェーン技術の特徴には、①改ざんが不可能、②データを多くのステークホルダー間で共有可能、③データ更新のトレーサビリティを確実に検証可能、があります。この特徴を生かせる案件にブロックチェーンを適用することが重要で、単にデータベースをブロックチェーンに置き換えてもビジネス上の効果をもたらすことはありません。
 不特定の利用者全員に対して「誰がいくら、あるいはどのコインを持っているか」を、前述の①②③に基づいて共有することで、暗号資産やNFTといった世界は成り立っています。NTT-TXでは、投機目的といった限られた分野での活用ではなく、実ビジネスへの応用を中心にソリューションの提案を進めてきました。物流トレーサビリティ、MaaS(Mobility as a Service)、電力やCO2排出権取引へのブロックチェーンやNFTの応用などへの実績があります。
 これらの取り組みを通して、NTT-TXの宮崎氏は「ブロックチェーン技術の特徴である『全てを共有する技術』は非中央集権型であり参加者全員で信頼性を担保する一方で、パーソナルデータや個社間の取引条件といった『特定の関係者間だけで共有したいデータ』を扱う場合には適していなかった」と語ります。

 

Verifiable Credentials(VC)への適用

こうした中、NTT-TXではVCという新しいモデルに注目しました。VCは、World Wide Web Consortium (W3C) にて標準策定が進められており、既にそのデータモデルを標準ドキュメントとして公開しています(図1)。

図1 Verifiable Credentials(VC)とは

 

 このモデルでは、証明書となるVCデータに対して、発行者(Issuer)、保有者(Holder)、検証者(Verifier)という役割が定義されています。Issuerにより発行された個々のVCは、主にはHolderにより管理され、必要なVerifierのみに開示されます。発行されたVCデータは、Verifiable Data Registry(検証可能データレジストリ)を通じて電子的にその真正性を検証することが可能です。このモデルでは、Holderのコントロール外でIssuer-Verifier間の直接の通信を行う必要がないため、Issuerによる更なるデータ寡占を防ぎ、主に個人を想定したHolderによる適切なデータ管理を目指しています。これはつまり、GAFAモデルへのアンチテーゼという側面もあります。
 宮崎氏は「VCを実現するために、ブロックチェーン技術を使うことは必須要件とはされていません。しかしながら、複数のステークホルダーにまたがって真正性を担保するという点において、VCモデルにおけるVerifiable Data Registryの実現にブロックチェーン技術を活用するというのは最も自然であると思いました」と語ります。
 このような経緯で、NTT-TXはContractGateシリーズの最新バージョンとして、2022年にブロックチェーン技術を活用したVC実現のソリューション「ContractGate/VC」を開発しました(図2)。

図2 ContractGate/VCの仕組み

 

ビジネス環境も含め、
お客様に寄り添うSIとして提案

NTT-TXの唐澤氏は「ブロックチェーンもそうでしたが、より新しい概念であるVCは、自社の実ビジネスにどのように応用していくべきか、お客様もまだ手探りで進めている状況です。そのような中で、当社のContractGateシリーズは、実証実験やPoC検証からスタートして実ビジネスで本格的に使っていただくまで、お客様と一緒に当社も歩んでいきたいという想いで展開しています。単体の製品としてだけでなく、PoC検証に必要なサーバ環境や端末も含めてご提供する『ContractGate PoC Service』も展開しています。SIを含めてNTT-TXにお任せいただき、お客様に新しいビジネスの第一歩を踏み出すサポートをしていきたい」と意気込みを示しています。

NTTテクノクロス株式会社
デジタルトランスフォーメーション事業部
第一ビジネスユニット
(左)統括マネージャー 宮崎 泰彦
(右)マネージャー 唐澤 光彦

 

デジタルトランスフォーメーション事業部では、さまざまな自社ソリューションを活用して、お客様のビジネスの成長をお手伝いしています。

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