NTTテクノクロス株式会社

みるソラ

画像処理技術を活用し、太陽光パネル点検を効率化

(2023年9月号掲載)

2012年7月に再生可能エネルギーの普及を目的として導入されたFIT制度(固定価格買取制度)を契機に、メガワットクラスの太陽光発電所(以下、メガソーラー)が日本各所に建設されました。メガソーラーで利用される太陽光発電パネル(以下、太陽光パネル)の耐用年数は一般的に約25年とされているものの、劣化は徐々に進行し、発電量低下の原因となります。FIT制度始動から11年が経過した今日、劣化を前提とした点検の重要性が再認識されると共にメンテナンス作業の効率化が求められています。
 こうした状況を背景に、NTTテクノクロス株式会社(以下、NTT-TX)は、株式会社ミライト・ワン(以下、ミライト・ワン)と、株式会社ミラテクドローン(以下、ミラテクドローン)の協力の下、2023年8月2日から太陽光パネル点検アプリ「みるソラ」の販売を開始しました。

太陽光パネルメンテナンスの課題

従来、太陽光パネルのメンテナンスは、点検メンテナンス作業者が太陽光パネル設置現場に赴き、目視にて実施していました。しかし、広大な面積の太陽光パネルサイトを目視で点検するには限界があり、「メンテナンス業務にIT技術の積極的な活用を推進する」という政府の方針とも相まって、今日ではドローンによる点検が多用されています。
一般的に、ドローンによる太陽光パネルの点検は、図1のような流れで実施されます。この中で「撮影画像の分析」は、メンテナンス作業者がドローンで、撮影された大量の画像データから “異常があるように見える箇所”を自らの目で抽出せねばならず、大きな負担となっていました。また、画像から異常箇所かどうかの判断ができない場合は、再度現場に足を運んで撮影せざるをえないケースもあります。さらに、点検後に異常箇所や原因について報告する「一次報告書の作成」にも多くの手間と時間を要していました。

 

図1 「みるソラ」による太陽光発電パネル点検の流れ

課題を解決に導く「みるソラ」

NTT-TXは、長年にわたり画像処理技術の技術開発に取り組み、その成果をさまざまなソリューションに展開してきました。また、ミライト・ワンは太陽光発電のO&M(オペレーション&メンテンナンス)サービスを展開し、ミラテクドローンはドローン活用のスペシャリスト集団として各種ドローンサービスを提供しています。
この度、NTT-TXがミライト・ワンとミラテクドローンの協力の下に開発した「みるソラ」は、画像処理技術を活用した異常箇所の検出や報告書作成機能により、点検作業の大幅な効率化を実現します(図1)。

メンテナンス作業の効率化を実現

「みるソラ」の画面は効率的な作業ができるよう設計され、かつ誰でも簡単に3つのステップで操作を完了することができます(図2)。

ステップ1: ドローン撮影画像からサイト全体図を自動生成

ドローンで撮影した画像データを「みるソラ」に取り込み、ボタンをクリックするだけで自動的に太陽光パネル全体の俯瞰図が自動生成されます。

ステップ2:異常箇所を視覚化

赤外線画像上に、パネル表面の温度の閾値を超えた箇所が異常箇所としてマーク(四角形)されます。可視光画像と共に表示されることで、容易に異常箇所の原因を確認できます。2種の画像の並列表示により、これまで点検作業者が多くの時間をかけて人力で行っていた「画像分析」を瞬時に行うことが可能となります。

ステップ3:一次報告書の作成

全体図から報告書に記載する画像をリストアップします。メモ欄に「周辺樹木などの影」「鳥の糞などの固着汚れ」「パネル破損」といった異常の原因や、点検作業者のコメントを入力することで、簡単に一次報告書をパワーポイント形式で作成・出力することができます。

図2 「みるソラ」画面イメージ

3つの特長(時間短縮と操作性)

特長1 異常箇所の原因特定を迅速化

約1メガワットの点検作業時において「みるソラ」を利用した場合、ドローン撮影画像から異常箇所の特定までにかかる時間は約30分。「みるソラ」を利用しなかった場合に比べ約8割の時間を削減します。

特長2 一次報告書作成時間の短縮

画像と入力した所見から、点検現場でパワーポイント形式の一次報告書を作成し、出力も可能。従来のように事務所や宿泊所にデータを持ち帰って報告書を作成する必要はありません。

特長3 簡単・快適操作

スタンドアローンPCで快適な動作を実現。インターネット回線を介さずに、ローカル端末のみで作業が可能なため、回線環境が整備されていない現場での作業も安心して行えます。

今後の展開

2050年の脱炭素社会の実現に向け、太陽光発電などの再生可能エネルギーは益々注目されます。これまで、国土面積が狭く平地の少ない日本では、休耕地・ゴルフ場跡地など比較的郊外の広大な土地を中心にメガソーラーが設置されていました。現在、軽量ソーラーパネルの開発などを背景に、工場やビル屋上にソーラーパネル設置を検討する企業が増加しています。
NTT-TXは、こうした企業の新しい取り組みにもさまざまな技術を駆使して全力でサポートします。

 

(左から)
NTTテクノクロス株式会社
IOWNデジタルツイン事業部 第一ビジネスユニット
 統括マネージャー     清水 淳
 マネージャー       柏柳 豊
 アシスタントマネージャー 沼田 名菜
株式会社ミライト・ワン
みらいビジネス推進本部 アライアンスビジネス推進部
 担当部長 立道 英俊
 主任   新城 卓哉
 担当   中島 健太郎

お問合せ先

NTT テクノクロス株式会社 IOWNデジタルツイン事業部 第一ビジネスユニット
URL:https://www.ntt-tx.co.jp/products/miru_sora/    

E-mail : codec-sales.info-ml@ntt-tx.co.jp